洗剤類のように普段よく利用する製品ほど、多少不具合があっても、使う人自身は気付かないことが多いものです。頻繁に家庭訪問をして調査を実施しているのは、生活の現場を見て、ユーザーの行動を知り、製品への潜在的な要望を汲み取ることが大切だと考えているからです。
<実例1.衣料用漂白剤>
アンケート調査で、漂白剤を衣服に直接塗布する人が約7割と多かったため、家庭訪問して、実際に部分漂白する様子や動作を観察しました。すると、計量時や塗布するときに姿勢が不自然になることや、エリ・袖や小さなシミには、キャップからだと漂白剤が上手くつけられないことがわかり、容器の形状を変更して改善する方法を考えました。部分漂白のしやすさを追求し、たどり着いた形がノズル付2WAYキャップと、16度傾斜ボトルです(図1)。
図1.「直効ブライト」改良例
<実例2.食洗機用粉末洗剤>
食洗機用洗剤のように、普及率がさほど高くない製品の場合は、不満の声がなかなか表に出てこない傾向があるので、よく調査して問題の発見に努めています。
従来の製品を、複数の家庭でテスト使用したところ、返却された計量スプーンは柄の部分まで洗剤の粉がついて汚れ、中の洗剤まで固まっているものも多くありました。原因は、食器を予洗いし、濡れた手でスプーンを使った後、洗剤容器の中に入れてしまうからです。「時間がない・面倒だ」との心理がはたらいた結果、既存のスプーン置き場はほぼ使われていないことがわかりました。
改良後の容器は、誰でもラクにスプーンが戻せる専用ポケットをつけたほか、きちんと閉めなくても、防湿性が保てる位置まで蓋が自然に降りるよう工夫し、粉の固化対策をしました。また、食洗機の洗剤投入口が小さく、家庭ごとに設置場所も違う点に着目して、どの方向から投入しても粉が細く入れやすいスプーンに変更しました(図2)。
図2.「CHARMY クリスタパウダー」改良例
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