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2013年9月15日更新
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参照カテゴリ> #06.CLEAN AGE No235 

*人にやさしい製品の工夫(2)

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人にやさしい製品の工夫誰もが使いやすい製品を提供する取り組み

2 「超高齢社会とユニバーサルデザイン」


 高齢者や障がいを持つ人が、日常生活で不便を感じて困っているとき、その障壁(バリア)を取り除くことをバリアフリーといいます。これに対し、はじめから誰にとっても使いやすいモノのあり方を考えるのが、ユニバーサルデザイン(以下UDと略記)の発想です。今、約4人に1人が65歳以上という世界でも類を見ない超高齢社会を迎えつつある日本では、このUDの考え方が、高齢者を含む多様な人々が暮らしやすい社会の実現に力を貸し、広がっていくものと期待されています。
 UDを理解したり、運用する際の基本とされているのが、1980年代にロナルド・メイス氏が提唱した7原則です。


UDの7原則 ロナルド・メイス氏(1941-1998)は、建築家であり自ら障がいを持つ立場から、特定の人々を対象としたバリアフリーとは異なる、すべての人々にあてはまるユニバーサルデザインの概念を提唱しました。

 (1〜7は『大辞泉』より)

1) だれにでも公平に利用できること。
2) 使う上で自由度が高いこと。
3) 使い方が簡単ですぐわかること。
4) 必要な情報がすぐに理解できること。
5) うっかりミスが危険につながらないデザインであること。
6) 無理な姿勢を取ることなく、少ない力でも楽に使用できること。
7) 近づいたり利用したりするための空間と大きさを確保すること。



UDの捉え方や取り組みについて、 花王(株)の事例をうかがいました…

 花王は、さまざまな人が日常用いる製品のメーカーとして、これまでも“よきモノづくり”を追求してきましたが、これからの超高齢社会によりよく対応していくために、UDは有効な手段だと考えています。具体的な取り組みの例を、当社のUD指針にそってご紹介しましょう。

▼ 指針1.人にやさしいモノづくり

 誰もが、ふつうにわかりやすく、ふつうに使いやすく、安心して使っていただけること、これは製品の基本です。しかし店頭では、見た目の似通った製品が増え、識別しづらくなっています。柔軟剤なら、“素肌に優しい”というコピーよりも、これは柔軟剤だと、先にわかることも大切です。製品ごとに用途の表示方法や位置がバラバラで、伝わりにくかったところは、2010年にルールを決めて改善しました。使う人は意識していなくても、自然とわかる、ふと気づけば便利に使えている、そんな製品を増やそうとしています。

▼ 指針2.「うれしい」をかたちにするモノづくり

 便利さだけではなく、製品を使う先にあるうれしさをつくり出すための指針です。消費者窓口に寄せられる製品へのご要望は、欠陥ではないけれどちょっと不便、というものが大半です。たとえば、洗剤を詰め替えるときに中身を少しこぼしてしまう、といったこと。上手に注ぐことができる容器に改善すれば、「うれしい」と感じていただけるのではないかと考えます。また、障がい者の方が使いやすいモノもUDに含まれますが、思い込みで押し付けず、本当に欲しいのはどういうモノなのか、よく考えてみる必要があります。

▼ 指針3.人や社会とつながるモノづくり

 あるご高齢の女性から、こんな感想をいただきました。自分は年をとって身体の自由がきかなくなり、息子夫婦と同居をはじめたが、家事を手伝いたくてもできることがなかった。でも床掃除用のクイックルワイパーなら少しの力で使えるので、自分の役割ができてうれしかった、というものです。1994年発売のこの商品は、特に高齢者を意識して開発されたものではありませんが、生活に密着した製品は、暮らしのなかで人の手助けができるという好例です。人は、いろいろなモノを使いますが、人とのつながりや社会との関係性をよくしたい、そのための道具として、使っているのだと考えています。

広くはソーシャルインクルージョンの視点で

 こうしてみても、UDは特別なことではないのです。UDを広く捉えると、ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)という、多様な人々を包みこみ共に助け合う社会にも通じていきます。そうした広い視点や気付きが得られるよう、商品を開発する社員が、高齢者がふだん感じている不便さを実感できるよう、特殊な装具をつけて疑似体験することも行なっています。誰でも年をとると、体力や運動機能が劣ってきて、それゆえモノの見方や使い方が変わってきます。その変化の中に、わかりやすさや使いやすさへのニーズが現れていると考えれば、製品のアイディアやUDの可能性も、広がっていくのではないでしょうか。

(生活者コミュニケーションセンター センター長 登坂 正樹さん 談)



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