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2022年9月21日更新
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参照カテゴリ> #01.社会 #06.CLEAN AGE 271号 

* シリーズ
水循環を考える
WATER CYCLE STORY

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暮らしを支える“水”を未来に引き継ぐために
シリーズ・水循環を考える

第4回「安全できれいな水を確保するには?」

河川は人と生態系にとって大切な存在


 地球上の淡水はほとんどが氷雪で、河川のように地表に存在する淡水はごくわずかです。人が利用しやすい河川は貴重な水源となり、昔から流域には産業や生活の拠点が築かれてきました。一方で、河川は自然環境の一部として流域の生態系や、海などのほかの水域とも密接につながり、多くの恵み(生態系サービス)をもたらしています(図🅐 )。

A河川水の大切な役割

 たとえば、河川の水が上流の森林や土壌を通って下流の海へと流れることで、植物プランクトンなどの光合成に必要な栄養(窒素、リンなど)が運ばれ、食物連鎖によって魚や貝類をはじめ、多様な生き物が育まれています。そして水中では、微生物による有機物の吸収や分解など、複数の自浄作用が働いており、ある程度の汚濁は時間の経過とともに浄化され、きれいになります。
 こうした自然の仕組みが、人の活動や産業・生活排水の流入によって阻害されないよう注意しなければなりません。


産業・生活排水の規制と浄化の必要性


 かつて、高度経済成長期の只中だった1960年代後半に、水質汚濁や大気汚染が原因の公害が次々に提訴されました。経済活動の集中で河川の水質汚濁が起き、湾の赤潮が漁業に打撃を与えました。これをきっかけに国は法律による排水規制を強化し、汚水を浄化してから河川に放流する仕組みが整っていきました(図🅑)。

B排水の規制と浄化の仕組み(イメージ)

 しかし現在も、排水に含まれる汚濁物質の負荷が河川の自浄作用を超えてしまい、水質汚濁が発生するケースがあります。都市部では大雨が降ると、初期に整備された合流式下水道(下水と雨水を同じ管に集める仕組み)から汚水を含む雨水があふれて河川への影響が心配されており、既存設備の改善が課題となっています。反対に、山間部や過疎地では下水道の整備が難しく、未処理の生活排水が河川に放流されている問題があり、各戸に設置できる合併処理浄化槽の導入が急がれています。
 また、地域によっては河川よりも、地下水や湖沼が重要な水源になっているところもあります。地下水や湖沼は水の滞留時間が長く、水質の汚染が長期化する傾向があります。全国一律の規制だけでは不十分なため、個別の水質汚濁対策がとられています。
 将来にわたり安全できれいな水を確保するには、排水規制や浄化の仕組みを、地域や水域にふさわしい形で発展させながら、よりよく維持していくことが大切です。


公共用水域の環境政策の変遷 〜公害対策から環境保全へ、そして水循環基本法の制定へ


  21世紀の水質対策については、排水だけでなくさまざまな水質劣化のリスク対策が重要になりました。ここからは、公共用水域※3の水質に関わる法律の制定を振り返り、水環境政策の変遷をみていきましょう。

※3.公共用水域は「河川、湖沼、港湾、沿岸海域その他公共の用に供される水域及びこれに接続する公共こうきょ、かんがい用水路その他公共の用に供される水路(以下省略)」と水質汚濁防止法で定義されている。


❶公害対策・産業排水の規制強化
   四大公害(水俣病、新潟水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜん息)の発生後、公害対策は主に自治体によって行なわれていました。1970年の「公害国会」を経て国は「水質汚濁防止法」を制定し、産業排水の規制強化と、東京湾や瀬戸内海などの水質汚濁対策のため、有機物や栄養塩類の排出量の規制などを始めました。
❷生活排水の対策強化
   1983年には「浄化槽法」が制定され、汚水処理施設が普及していない地域から未処理のし尿や雑排水が放流される問題に対し、浄化槽の改善と導入が推進されました。また、既存の法律では対策しきれなかった湖沼の水質保全のため1984年には「湖沼水質保全特別措置法」が制定されました。1990年の「水質汚濁防止法」改正時にも、生活排水対策が強化されています。
❸総合的な水環境対策
   1990年代は気候変動問題や生物多様性の保全、持続可能な社会などの幅広い地球環境問題が議論され、水環境対策も前進しました。1993 年の「環境基本法」は日本の環境政策の統合的な指針となる法律で、大気・水質・騒音・土壌に関する環境基準が定められました。
❹健全な水循環の推進
   2000年代には「循環」「共生」「参加」などが環境施策の重要キーワードになりました。2014年の「水循環基本法」や、2015年に採択されたSDGsの目標達成に向けては、地域や水域を限定しない“流域”における横断的な取り組みが重要とされ、水資源を人類共通の財産として、健全な水循環を守り、その恵みを将来に引き継ぐことを目指しています。

 <公共用水域の水質に関わる主な法律の制定年>

日本石鹸洗剤工業会による河川環境のモニタリング


 日本石鹸洗剤工業会は、水環境と生態系の保全に関連する活動として、1998年から主要な界面活性剤の河川水中濃度の調査「環境モニタリング」を毎年4 回計7地点で実施してきました。その結果と、国内外の研究の最新データなどをもとに、水生生物への影響を科学的に確かめる「リスク評価」も継続的に行なっています。
 この取り組みは20年以上におよび、「環境モニタリング」は当工業会の自主的な取り組みですが、これだけの長期間、毎年同じ場所での定点観測というのは世界的にも類をみないため、蓄積された調査データは貴重な資料としても役立てられています。


次号「水辺とわたしたち〜環境学習の大切さ(仮)」へつづく



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