暮らしを支える“水”を未来に引き継ぐために
シリーズ・水循環を考える
第2回「水はどこから来てどこへ行く?」
●● 自然の「水循環」と人が整備した
「水インフラ」のつながりをイメージする大切さ
雲は小さな水や氷の粒の集合体で、雨を降らせます。雨水は陸地や海を流れ、太陽の熱で蒸発して雲になります。この自然の「水循環」があることで、人は繰り返し水を利用することができます。ただ、水の循環は地域や時期によって偏るため、安定的に貯留・利用・排水するには自然の水循環だけでなく、“水インフラ”の整備が必要です。
水インフラは、さまざまな河川管理施設(ダムや堤防など)、水力発電施設、農業水利施設、工業用水道施設、水道施設、下水道施設などで、自然の「水循環」とも密接につながっています。人が水を利用すると自然の「水循環」にも影響を与えます。下図のような全体像と水の用途について知り、持続可能な方法で水を利用していきましょう。
森林の「水源かん養機能」
洪水緩和・水資源貯留 ・水量調節 ・水質浄化は「森林の水源かん養機能」と呼ばれます。森林の土壌は隙間が多く、裸地や草地よりも多くの雨水が浸透し貯留され、河川へ流れ込む水をゆるやかにして洪水を防ぐ効果があります。雨水は土壌を通るうちに浄化されて綺麗になり、地下水や湧水になります。
田畑の「雨水浸透能力」
水田や畑にも、雨水を地中へ浸透させる機能があります。
ダムの「利水補給機能」
水を溜め、降水の少ない時期や渇水のときなどに河川へ放流して、農業用水・工業用水・生活用水を補給しています。
浄水場の「浄水処理」
水道法の水質基準を満たす安全な水道水を作るため、河川や湖沼などから原水を取水して浄水処理します。全国の水道普及率は98.1%(2019年度)です。
都市の「雨水貯留浸透施設」
都市化により自然の水辺が減ったため、浸透ますを設置して、雨水を地中に浸透させて地下水をためたり、浸水対策用の調整池を整備したりしています。
下水処理場の「排水処理」と「再生利用」
河川や海の水質悪化や汚濁を防ぐため、生活排水や工業排水などを綺麗に処理してから放流します。処理水の一部は「再生水」として雨水とともに環境用水や水洗トイレの洗浄水、工業用水、農業用水などに再利用もされています。全国平均の下水道普及率は80.1%(2020年度)です。
工業用水の「再利用」
工場などで使用した水(回収水)を再利用しています。
●● 次号「毎日の生活に必要な水はどれくらい?」へつづく