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■無条件・無制限に100%安全な物質はありません |
洗剤の安全性に関しては、誤った情報が流れるほかに、評価の前提条件に問題があるものがあります。厚生省が『洗剤の毒性とその評価』を取りまとめた時に総括代表をつとめられた三重大学医学部の吉田克巳教授(公衆衛生学)は、同書の中で、次のように述べています。
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「安全か有害かを問題にする場合に最も問題なのは、その前提、特に現実の場における定量的な条件をはっきりさせておくことである。この点が、時に意識的に曲げられ、現実には起こり得ない条件下での議論から結論へもっていかれる場合があるのは、たいへん残念な点である。安全か危険かの問題は常にその前提条件を考えておく必要があり、これを無視すれば、塩、砂糖、ラード、わさびなどはもとより、菓子やチョコレートなども明らかに危険物質になりうるのであって、議論の前提、使用目的、使用量、使用法その他の前提条件をはっきりさせて、現実の問題として議論することが不可欠であり、この点を無視すれば全く実りのない不毛な論争となるのは当然のことであって、この点を国民やマスコミに良く理解してもらう必要がある。そうでなければ、世界からみて、なぜ日本だけでそれが問題になっているかということになり、水俣病、カネミ問題、四日市喘息などについては十分に理解されても、この洗剤問題については、外国でもくりかえし検討ずみの問題であるだけに、奇妙な顔をされることになる。」
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安全性の問題は、常にそれが実際に使用される現実の場における使用条件をはっきりさせておく必要があります。つまり、洗剤の場合には、実際に洗剤として使った時の安全性が確認されているのです。この前提条件を無視すれば、ほとんどすべてのものが、使う量によっては私たちの身体に害を与える可能性があるのです。コップ1杯の塩を一度にとれば命にかかわるのと同様に、無条件・無制限に100%安全なものがあるのではなく、安全に使用できる量があり、すべてのものには正しい使い方が求められているのです。これまでに洗剤の安全性に疑問が出される場合には、決まって現実には起こり得ない条件下での実験結果をそのまま都合のいい結論に導いていこうとする傾向がありました。
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