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■洗剤の安全性について
科学的根拠のない情報が流されています |
今でも、「洗剤は危険だ」との記述が主に消費者向けの書籍に見られます。ここで問題なのが、消費者への情報の伝わり方です。たとえば、LASの慢性毒性に関しては、学術的にも公的にも「通常の使用法においては問題ない」と考えられていますが、一部の消費者団体などでは「通常の使用でも危険だ」と主張しています。どうしてこのような違いがでるのでしょうか。
通常、科学的情報は、専門学術誌に投稿され、複数の専門家によって内容が審査され、そして掲載された研究論文のみが学術文献として認められ、意味を持ちます。当然、その内容は再現性がなければならず、他の人が追試しても同様な結果が得られるものであることが必要です。こうした専門学術誌に掲載された研究論文が消費者リーダー向けに加工され、さらに一般消費者向け情報になって流されることがあります。この間に、情報が変わってしまう場合があります。次の図は、その例を横浜国立大学・大矢助教授の研究から示したものです。
◆情報伝達の問題点

「絶対安全」と断定できる物質は存在しないので、学術的な表現である「ほぼ安全」は「事実上安全」を意味します。しかし、この「ほぼ」にこだわり、「ほぼ安全である」を「完全には安全でない」と解釈し、この考え方の流れにのると、上に示したように最後には「〜は危険物だ」と逆の結論になってしまうことがあります。洗剤についての情報も、初めの学術情報が末端の消費者向けにはまったく逆の結論になってしまうことがあるのです。
さらに学術的に否定された話であるにもかかわらず「以前から発ガン性の危険性が指摘されています」といった表現が相変わらず使用され、消費者向けの情報として流されています。また報道では、冷静で公平な研究者レベルの情報を取りあげることは少なく、その一方で、たとえば「脳が破壊される」といったセンセーショナルな情報は、科学的に検証されてなくても取りあげるといった傾向があり、これも洗剤の安全性情報が消費者へ正確に流れない一因であると思われます。
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