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■「洗剤問題」はすでに解決されています |
1960年代から1970年代にかけて、「洗剤問題」として注目されたものは、今では安全性の再確認および技術改良によりすでに解決し、問題のないことが明らかにされています。国の見解としても、1979年6月の国会での議員の質問主意書に対する当時の総理大臣の答弁書で「誤飲等洗浄の目的を著しく逸脱した場合以外は、人体に対する安全性は問題ない。」としており、1980年以降、専門家の間では、「洗剤の安全性論争は解決した」と考えられています。
また、環境問題に関しても、環境庁は1990年5月の国会答弁で「総合的に判断いたしまして合成洗剤と石けん、いずれの方がよりいいかというものはなかなか一概に判定できないのではないか、一長一短のところもある」との見解を示しています。
過去の洗剤問題には次のようなものがありました。
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- 人体安全性論争
洗剤の安全性、急性毒性や慢性毒性に関しては、界面活性剤では他の化学物質に比較して非常に多くの研究が行われており、洗剤の通常の使用条件での安全性は十分に確認されています。
- ABSの発泡問題
60年代の合成洗剤が発売された当初に使用されていた界面活性剤ABS(分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩)は生分解が遅かったため、河川の堰や下水処理場などでの発泡が世界的に問題となりました。その対策として、1960年代後半から、洗剤は生分解の優れた界面活性剤LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩)への切り替え(いわゆるソフト化)が推進され、問題の解決がはかられました。
- 石けんとLASの生分解性の比較問題
石けんとLASの生分解性を比較して、「石けんの生分解は早いがLASは遅いのでこれが環境汚染の原因になっている」との主張がありました。LASの生分解が遅いというのはあくまでも実験室のデータであり、実際の環境中ではLASは下水処理場で99%、また都市型の河川でも6km流れる間に90%も生分解されていることが知られています。また、洗剤の洗濯1回当たりの有機物負荷量は粉石けんよりかなり少なく、LASが石けんに比較して特に環境を汚すということはありません。
- リンによる富栄養化問題
富栄養化とは、湖沼や内海などの閉鎖水域で、長年にわたり流域から窒素やリンなどの栄養が供給され、生物生産の高い富栄養湖に移り変わっていく自然現象です。ところが、1975年頃から産業や人口の集中・増加などによりこのプロセスが加速され、藻類の異常繁殖等による水道水の異味臭、赤潮の発生などといった被害が問題となりました。洗剤由来のリンの寄与は低いものの、洗剤メーカーでは、洗濯用洗剤の性能向上剤として配合していたリン化合物(トリポリリン酸塩)を使用しない無リン洗剤を開発し、この問題に対処しました。
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