では実際に、水環境中で界面活性剤が生態系に影響を与えることはないのでしょうか? それを科学的にチェックするために「リスク評価」が行なわれます。評価する際の指標として、PNEC(Predicted No-Effect Concentration:予測無影響濃度)と、PEC(Predicted Environmental Concentration:予測環境濃度)が用いられています。
PNEC(ピーネック)
水生生物に影響がない濃度を求める
水系生態系を構成する生物を対象に、界面活性剤が与える影響をさまざまな角度から調べるため、主に右図のような生物種を用いて試験を行なっています。
得られた有害性(ハザード)のデータを解析して、最も強く影響が出た生物種のデータをもとに、界面活性剤の「予測無影響濃度(PNEC)」を求めます。
PEC(ペック)
現実の環境中での予測濃度を求める
河川モニタリングでは、水中の界面活性剤濃度を定点観測し、水生生物が摂取したり接触するであろう量や濃度(暴露)を推定しています。全測定結果を統計処理した95パーセンタイル値を、界面活性剤の「予測環境濃度(PEC)」として採用しています。
現実的なリスク評価を行なうには、どの河川のどの場所を調べるかも重要です。もともと魚が棲んでいないような排水路などを調査しても、河川の実態把握にはつながりません。
◆日本石鹸洗剤工業会が長年自主的に取り組んでいる
界面活性剤濃度の測定(河川モニタリング)
|