人の体や、動植物はもちろん、世の中のすべての物は、天然物・合成物にかかわりなく、化学物質でできています。そして、どの物質も何かしらの有害性を持っていて、それをゼロにすることはできません。
人が化学物質を安全に利用していくためには、リスク評価を行ない、事前に想定される事故や危険性を、一つ一つ回避していくことが重要なのです。
洗剤の主成分である界面活性剤のリスク評価は、日本石鹸洗剤工業会をはじめ、国内外の複数の機関で、長年にわたり実施されてきました。こうしたリスク評価の方法や、専門的なデータを理解する入り口として、「安全性の基本的な考え方」から見直していきましょう。
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●安全性の基本的な考え方 |
「物質にはすべて毒性がある。
毒性のないものはない。
量が、毒か薬かを区別するのだ。」
スイスの医師パラケルスス(1493〜1541)は、物質の安全性は、その量と使い方次第で変わることを、初めて世に提唱しました。

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●量が増えれば、人の健康への影響は強くなる |
たとえばお酒の場合、少し飲んで顔が赤くなる程度なら「生理機能変化」のうちですが、酒量が「最小毒性量」を超えると、アルコール中毒などの危険性が生じてきます。

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●リスク評価は、有害性だけでなく、暴露を含めて考える |
リスク評価は、物質の安全な量や使い方を決めるために、多面的に実施されます。「リスク」の大きさは、「ハザード」と「暴露」という科学的な根拠に基づき評価されます。

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●界面活性剤のリスク評価の結果は… |
主要な界面活性剤には、LAS、AE、DAC、AOなどの種類があります。リスク評価の一端として、当工業会が自主的に調査してきた結果を次に示しました。

下の絵のように数値を比較して、環境や人の健康に無影響とされる濃度や量(左)を基準に、実際の濃度や摂取量(右)の方が、値が小さくなることを確かめています。

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