プラスチック容器包装リサイクル推進協議会は、容器包装リサイクル法(容リ法)の本格施行を受け1998年に発足しました。容器包装の製造者と、利用する事業者の両方で構成されるユニークな団体で、会員は家庭用品や食品などの19業種にわたっています。
日本石鹸洗剤工業会は設立発起人団体のひとつとして、容器包装の3R推進の一翼を担ってきました。2012年には、当工業会会員社から小林三喜雄(花王株式会社 購買部門 包材部長)が会長に就任しています。この機会に、推進協議会の活動や、容リ法見直しの動きへの対応についてお話しいただきました。
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↑プラスチック容器包装リサイクル推進協議会の
小林三喜雄 会長(左)、久保直紀 専務理事(右)。
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○昨年の重点的な活動について |
2013年度には、2006年改正容リ法の見直しが実施される予定ですので、法改正に向けた議論も活発になっています。容リ法の目的は、ごみの減量と資源の有効利用にあり、実際の運用では容器包装の3R*推進が軸となります。
当協議会は、プラスチック製容器包装の効率的な再商品化や3Rに取り組むとともに、容器包装8素材団体と3R推進団体連絡会を結成し、容器包装全体のリデュース、リユース、リサイクルの推進にも取り組んでいます。
また、容リ法による市町村と事業者の役割分担のもとで、容器包装ごみの分別収集とリサイクルを行なう仕組みがつくられ、その成果もあがってきています。しかし、現行のプラスチック製容器包装の再商品化手法(リサイクル方法)については、コストや効率の面から、その運用の見直しが次の法改正の焦点となっています。
当協議会も、リサイクル手法の技術的課題を検証しながら、効率化実現のため内外への働きかけを行なってきました。国の審議会には委員として参加しているほか、昨年は現行制度に関する提言もさせてもらっています。
* "3R" とは
Reduce リデュース(発生抑制)
Reuse リユース(再使用)
Recycle リサイクル(再生利用) |
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○2011年度のリデュースの成果、リサイクルの現状 |
3R推進では、第一にリデュース、リユースの取り組みがあります。関係団体と一体となって、プラスチック製容器包装の簡素化や、付け替え容器によるスプレーの再利用などの環境配慮を推進してきた結果、2011年度は全体で2004年比10.4%の削減を達成しました。
取り組み当初は、容器包装の使用量を把握していない業界が多く、日本石鹸洗剤工業会のように早くから調査をしている業種は限られていました。各方面にご協力をお願いしてデータを集め、4年ほどかけて整理しました。今では19業種にわたるリデュースの進捗を数値化することができています。
一方、プラスチック製容器包装のリサイクル率は、単一樹脂でできたPETボトルと、その他のプラスチック製容器包装では材質や特性が異なりますので、単純比較はできませんが、2011年度はPETボトルが85.8%、プラスチック製容器包装が40.6%となっています。
プラスチック製容器包装が、PETボトル、金属缶やガラスビン、段ボールなどと決定的に違うのは、1つの容器包装に数種類のプラスチックが用いられるなど複数の材質が使われている点です。プラスチック材料は種類が多く、素材を組み合わせることで容器包装に多くの機能を付加しています。材料リサイクルでは元のバージン材料の品質には戻せないので、材料リサイクルが優先される現状では効率が悪く、コストも増大する結果となっています。このことから、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルなど他の手法を含めてよりよい仕組みにできないものかと、国への提言では、材料リサイクル優先の方針を撤廃して複数の再商品化手法を適切に組み合せることを要望しました。なお、固形燃料(RPF化)は前回改正時に補完的手法として追加されましたが、現在まで実施例はなく、今後の進捗が期待されます。
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○プラスチック製容器包装の役割を啓発する重要性 |
製品をお客様のもとにお届けするために容器包装は不可欠であり、限界まで削減してもゼロにはなりません。そのため、廃棄後に有効に再資源化することが重要な課題です。事業者や自治体だけでなく、市民の方々やNPO団体などの関係者全員で考える場をつくっていかなければと思います。
当協議会は今年度、市民の方々との対話集会を新たに企画し、全国4地区で開催しました。プラスチック製容器包装の機能を簡単にご紹介するため、調味料や顆粒薬の包装に使われるアルミ小袋を例に挙げ、プラマークがついている場合は大半がプラスチック素材でできていることをお話ししています。この袋のシートは、ごく薄いアルミ層と複数のプラスチックとの多層構造になっていて、酸素の透過を抑えて中身を長持ちさせたり、密閉度や強度を高めているのです。
プラスチック製容器包装には、他の素材で代用できない役割や利便性がありますが、見ただけでは分かりませんし、ましてや廃棄後のリサイクルの実態や課題を知っていただくのは簡単ではありません。地道なコミュニケーションで、少しずつ理解を得られるように努力してゆきます。
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○3R推進を含むトータルな環境対応をすすめていく |
今後、当協議会が果たすべき役割には、製品のライフサイクル全体における容器包装の機能を正しくお伝えし、ご理解をいただいて、リサイクル手法の価値評価や効率化に取り組みながら、トータルに環境負荷の低減をはかっていくことがあります。さらに容器包装にかかわる関係者に広く助力をあおいで、日本石鹸洗剤工業会や会員団体とともに、3R推進と啓発を中心とした活動をすすめてまいります。
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