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2012年12月15日更新
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参照カテゴリ> #06.CLEAN AGE 232号 

*プラスチック資源回収の ゆくえ 第3回

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どうなっているの?

プラスチック資源回収の ゆくえ 第3回

可燃ごみで“発電”する・東山クリーンセンターを見学しました


 北信濃の緑豊かな温泉地としても知られる長野県中野市にあって、周辺地域のおよそ2万7千世帯分のごみ(年間約2万1千トン)の焼却処理を担う東山クリーンセンター。施設最大の特徴は、ごみ焼却時の廃熱から蒸気をつくり、熱源利用するとともに「ごみ発電」をしていることです。
 廃熱を活用したごみ発電は、エネルギーを無駄にしない「サーマルリサイクル(エネルギー・リカバリー)」手法のひとつです。ごみ処理場のCO2排出量削減や、プラスチックごみを可燃ごみとして燃やすことで総合的なリサイクル推進につながるとも考えられ、近年注目を集めています。

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↑城を模した外観の「東山クリーンセンター」。地下3階地上5階建て。北信保健衛生施設組合が運営・管理している。
↑案内してくださった佐藤三男さん(工場長補佐兼管理係長)

○家庭から直接搬入される可燃ごみも多い

 旧清掃工場の建て替えにともない、平成10年4月から、発電設備をそなえた東山クリーンセンターが稼動しました。現在は、中野市、山ノ内町、長野市(豊野地区)、小布施町から排出された可燃ごみを、1日に平均約80トン(収集車50台分)受け入れています。地元の人々がマイカーで可燃粗大ごみなどを持ち込むケースも多く、地域に密着した施設でもあります。
 2基の焼却炉(ストーカ式)はコンピューターで24時間燃焼管理され、1日130トンのごみを効果的に焼却できます。はじめの点火に灯油を使うだけで、あとはごみの燃焼する熱で焼却されます。焼却に必要な電気は、施設内での発電と、電力会社から購入した電気でまかなわれますが、この規模で発電設備までそなえたごみ処理施設はめずらしいため、「世界一小さなごみ発電所」といわれています。

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↑軽トラックで持ち込まれたごみを直接ピット(右の写真)へ投入。建物の出入口は、エアーカーテンで臭いの流出を防いでいる。

↑ピットに溜めたごみは自動クレーンで焼却炉に運ばれる。ごみは炉の中を移動しながら、850 ℃以上の高温で燃焼され灰となり、臭いの成分やダイオキシンも完全に分解される。

○資源回収されなかったプラごみも燃やす

 当センターで扱うごみの収集対象地域では、プラスチック容器などプラマークのついたごみの多くは分別収集され、別の施設でリサイクルされています。しかし、汚れたプラスチック容器はリサイクルに適さず、可燃ごみとして処分することになります。また、山ノ内町では、プラスチック容器の分別はまだ検討中であり、容器以外にも多くのプラスチック製品があるため、収集されたごみ全体の約6%はプラスチックごみとのことです。しかし、可燃ごみとして燃やされる場合も、廃熱利用や発電という方法で、サーマルリサイクルが行なわれているのです。

○「世界一小さなごみ発電所」をつくったわけ

 発電方法は「蒸気タービンによる誘導発電」と呼ばれるもので、蒸気で2 基の発電機を動かし、1日合計220kwの電気をつくります。その電気と蒸気で、施設で消費する電力の2割程度をまかなうほか、近隣の温浴施設や冬期の道路融雪へ熱源供給をしています。
 国内では、大規模な焼却施設におけるごみ発電の導入が進む一方で、小さな処理場が発電設備を持つのは難しいともいわれています。しかし、田畑の多い農村地帯、積雪も多い地域で、より広域からごみを集めることは経済的ではなく、大きな焼却炉があっても効率がよくありません。そこで、センターの設計時には、小さくても効率的に発電ができる方法を技術者と検討し、施設のCO2排出量を徹底して削減することを目指しました。その結果、小規模でも効率的に燃やせる炉が完成し、従来消費していた熱源のかわりに廃熱利用と発電によるエネルギーが利用できる、先進的な施設が実現できたそうです。

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↑「廃熱ボイラ」。廃熱利用を可能にする設備。炉の上に2基設置されている。燃焼熱から蒸気を1時間に約10トンつくり出す。

↑「発電室」。意外に小さなスペースに、蒸気タービン、発電機、誘引ファンが2基分収められている。

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→斜面に建つセンターからの景色。

付近の道路約1kmにわたり、路面にパイプを埋め込み、その中に温熱を通して冬期の融雪を実施。廃熱利用の融雪としては日本最大規模。

地域の多目的施設「帯の瀬ハイツ」にお年寄りも楽しめる浴場があり、廃熱利用の一環で給湯などを行なっている。

○公害防止設備にも世界トップレベルの技術を導入

 また周辺環境の保全も考慮し、公害防止設備には最新技術を惜しみなく導入しました。排ガスに含まれる有害物質は大気汚染防止法などにより規制されますが、より厳しい自己規制値を設定しています。排ガスは「ろ過式集じん機」などの設備を通し、有害物質を完全に除去した後、煙突から外へ出されます。プラント内で使用した水は、一切外へ流さないクローズドシステムがとられ、循環させて施設内で再利用されています。こうした高い性能を維持するには、継続的なメンテナンスと知恵の投入が不可欠です。将来的には蒸気タービン設備を復水式に替えて効率をあげると、1基で500kw/日の発電が可能になるとの試算もあるといいます。
 これからも「世界一小さなごみ発電所」の挑戦はつづきます。

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↑小学生向けに約1時間半の見学プランがある。立体的な映像で設備を紹介する「マジックビジョン(↑写真)」や、環境問題を学ぶための「アースビジョン」も用意されている。

ごみ発電ひとくちメモ
 発電方式は、蒸気タービンのほか、ガスタービンと複合型のスーパーごみ発電などがあります。国は高効率ごみ発電設備を推奨し、売電などの制度面も整備をすすめています。



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