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2012年6月15日更新
01.*石洗工の容器包装と3R対策 *目次へ 
参照カテゴリ> #06.CLEAN AGE 230号 

*プラスチック資源回収の ゆくえ 第1回

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どうなっているの?

プラスチック資源回収の ゆくえ 第1回

現実的なリサイクル方法は場合によっても異なる…



 国内の産業廃棄物を除くごみの排出量は、2000年度の5,483万トンをピークに近年は減少が続いています。環境省によると2010年度のごみ総排出量は4,536万トンで、ピーク比約17.3%減でした。現状で1人あたり毎日976gのごみを排出しており、このままいくと19年後には埋め立て処分場も満杯になってしまう計算です。豊富な製品やサービスが暮らしを支えている現代では、ごみ問題は依然重要な課題なのです。
 特に、家庭から出される生活系のごみは、総排出量の約65%(2010年度)を占め、そのうちの約5〜6割(容積比)が食品や日用品の包装容器に用いたプラスチック類を中心とするごみだといわれます。


容器ごみに、どう対処すべきか…?

 洗浄剤製品の多くは、ボトルやパウチ容器にプラスチック類が使われています。このため洗浄剤業界では、早い段階から、容器包装廃棄物の発生そのものを抑制する「リデュース」に取り組んできました。一方で容器は、中身を保護し品質を維持するために不可欠なものであり、製品をご家庭で安全かつ便利に使っていただくため、注意点などを容器上で知らせる役割も持っています。
 日本石鹸洗剤工業会は、1995年から家庭用洗浄剤の包装容器に使用したプラスチック量などを調査し、データを公開しています。会員各社においても、内容液の濃縮化による容器ボトルのコンパクト化や、詰め替え・付け替え用製品の発売に努力してきました。その結果、2010年にはコンパクトタイプの製品出荷量が1995年比約5倍に、詰め替え・付け替え用製品群は同比約12倍(当工業会調べ)に増えるなど、業界として廃棄物の削減に大きな成果を上げています。


国の方針も、まずリデュースから

 世界的にも資源には限りがあり、より効率的なエネルギー消費を行なって、環境負荷を低減しつつ経済活動を発展させなければ、先行きが成り立たないところまできています。
 このような考えから、日本では2001年に「循環型社会形成推進基本法」が施行され、ごみ対策の基本方針も固められました。この法律では、ごみ対策方法の優先順位が示されており、資源消費を抑えるためにも、まずごみを出さない発生抑制(リデュース・Reduce)が先決で、次が再使用(リユース・Reuse)、その後も、ごみを単に埋め立て処分するのではなく、「循環資源」として再生利用(リサイクル・Recycle)や、熱回収(サーマルリサイクル)をすることとしています。
 洗浄剤業界におけるリデュースは、他業界に先んじる積極的な取り組みとして評価されています。また詰め替え・付け替え用製品の普及は、容器を繰返し使うことと同じで、リユースにも貢献します。これらの施策をしたうえで、資源回収された廃プラスチックのリサイクルも行なわれています。このように、3R(スリーアール)全体で取り組むことが大切です。


実は、リサイクル方法にはいろいろある…

 リサイクルと聞くと「容器を回収して、新たな容器の原料にする」ことを連想するかもしれませんが、それはマテリアルリサイクルと呼ばれる一つの手段にすぎません。

廃プラスチックのリサイクル方法は大きく3つある

 リサイクルという言葉を世に浸透させることにもなった、容器包装リサイクル法(以下、容リ法)では、消費者と自治体によるごみの分別排出・収集と、事業者による「再商品化」を推進しています。容器包装を製造したり利用する事業者には、その量に応じた再商品化とコスト負担を義務づけています。
 しかし、リサイクルの仕組みはまだ過渡期にあり、自治体と事業者が負担する費用の増大が問題となったり、上図のうちサーマルリサイクルに関しては、容リ法の再商品化手法として固形燃料化など一部が条件付きで認められるにとどまるなど、これを疑問視する向きもあるようです。
 また、廃プラスチックの収集量は大幅に拡大し、全体のリサイクル率も向上していますが、重要なのは、環境負荷低減の観点から適切なリサイクルが行なわれているかどうかです。
 一口に廃プラスチックといっても、容器の多くは、薄肉化しつつ強度や品質保持機能を持たせるため、数種類のプラスチックを多層化しています。ペットボトルや食品の白色トレーのように単一素材であることのほうが少なく、必ずしも製品原料としてマテリアルリサイクルに適しているとはいえません。また容器ごみは、内容物で汚れた状態のものが多いことも特徴です。これを資源回収に出すときは、各家庭である程度洗浄しなくてはなりませんが、その洗浄にお湯を使ってしまうと、リサイクルがもたらすCO2削減効果を相当打ち消すことになるとの試算結果もあります(環境省・2011年度)。
 つまり、場合によっては資源回収に出すよりも、可燃ごみとして焼却するほうが環境負荷が少なくなることもありえるのです。さらに、リサイクルする過程においても必ず新たなエネルギー消費がおこり、CO2も発生することを考えれば、第一義にリデュースがくるのは至極当然のことといえます。


ケミカルリサイクルとサーマルリサイクル

 マテリアルリサイクルに比べ知名度は低くても、ごみ処理効率が高いのが残り2つの方法です。ケミカルリサイクルは、選別された廃プラスチックを化学反応させ、石炭や石油、天然ガスなどを代替しようというものです。サーマルリサイクルは、廃プラスチックを可燃ごみとして扱い、紙ごみや生ごみなどといっしょに固形燃料にしたり、焼却する際の熱を利用したうえで、発電も行なうことができます。現状、国内に発電能力を備えたごみ焼却施設は全施設の約25%あり(環境省・2010年度)、それ以外の既存施設についても発電可能な施設へと転換が急がれています。発電方法は一つではなく、なかでも効率を高めたスーパーごみ発電などの技術が注目されています。


環境負荷低減につながるごみ処理方法は…?

 ごみの種類や状態によって、適切なリサイクル方法が選択されるべきなのはあきらかです。しかし各処理方法の良い面と悪い面を合わせて最終的な環境影響を見積もることは、たやすくありません。製品が作られる段階から廃棄された後の処理方法まで含めて、総合的な環境分析をする方法にLCA(ライフサイクルアセスメント)がありますが、この分析方法についても、精度向上や効率化が課題です。
 業界、そして個人も、まずリデュースへの意識を高めるとともに、ごみのゆくえや環境分析の進展にも関心を持ち、ごみ問題に対処していくことが求められているといえそうです。



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