リサイクルと聞くと「容器を回収して、新たな容器の原料にする」ことを連想するかもしれませんが、それはマテリアルリサイクルと呼ばれる一つの手段にすぎません。
リサイクルという言葉を世に浸透させることにもなった、容器包装リサイクル法(以下、容リ法)では、消費者と自治体によるごみの分別排出・収集と、事業者による「再商品化」を推進しています。容器包装を製造したり利用する事業者には、その量に応じた再商品化とコスト負担を義務づけています。
しかし、リサイクルの仕組みはまだ過渡期にあり、自治体と事業者が負担する費用の増大が問題となったり、上図のうちサーマルリサイクルに関しては、容リ法の再商品化手法として固形燃料化など一部が条件付きで認められるにとどまるなど、これを疑問視する向きもあるようです。
また、廃プラスチックの収集量は大幅に拡大し、全体のリサイクル率も向上していますが、重要なのは、環境負荷低減の観点から適切なリサイクルが行なわれているかどうかです。
一口に廃プラスチックといっても、容器の多くは、薄肉化しつつ強度や品質保持機能を持たせるため、数種類のプラスチックを多層化しています。ペットボトルや食品の白色トレーのように単一素材であることのほうが少なく、必ずしも製品原料としてマテリアルリサイクルに適しているとはいえません。また容器ごみは、内容物で汚れた状態のものが多いことも特徴です。これを資源回収に出すときは、各家庭である程度洗浄しなくてはなりませんが、その洗浄にお湯を使ってしまうと、リサイクルがもたらすCO2削減効果を相当打ち消すことになるとの試算結果もあります(環境省・2011年度)。
つまり、場合によっては資源回収に出すよりも、可燃ごみとして焼却するほうが環境負荷が少なくなることもありえるのです。さらに、リサイクルする過程においても必ず新たなエネルギー消費がおこり、CO2も発生することを考えれば、第一義にリデュースがくるのは至極当然のことといえます。 |