こちらの記事でお知らせしたように、洗浄剤の包装容器に使用するプラスチック量について、業界の新たな削減目標は、2015年までに1995年比で40%削減と決まりました。2010年時点で、すでに37%(1995年比)の削減を達成していますが、その後の5年間で3%の上乗せがたやすいかといえば、決してそうではありません。
当工業会は、容器包装プラスチック使用量の効果的な削減方法として、リデュース(排出抑制)を重視しています。既存製品についてはすでに、容器の軽量化や、詰め替え・付け替え用製品の発売などの対策が充分にとられているため、新目標を現実のものとするには、これからもよりいっそう積極的な姿勢で取り組むことが肝心です。
リデュースには、容器の軽量化や簡素化、梱包資材等の減容化のほか、中身の改良によるものがあります。目に見えないところで、容器の厚みを薄くする努力がなされていたり、近年の技術開発によって内容液を濃縮し、少量で使えるようにした結果、容器ボトル自体の大きさもコンパクトになりました。また、詰め替え用パウチや付け替え用製品を利用すれば、本体容器のリユース(再利用)にもなります。
当工業会の調査では、2010年のコンパクトタイプの製品出荷量は1995年比で約5倍に、詰め替え・付け替え用製品群は同比約12倍に増えています。コンパクトタイプや、詰め替え・付け替え用製品が順調に普及し、プラスチック使用量の削減にも大きな効果が出ています。
容器包装プラスチック使用量削減事例 |
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○花王株式会社
1.0kgの従来製品(左)に対して、中身を濃縮化した400gのコンパクト洗剤(右)を発売。容器重量を約45%削減(2009年)。 |
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○ライオン株式会社
2500mlボトル(左)を720ml(中央)にコンパクト化し、プラスチック使用量を33%削減(2005年)。後年に720mlボトルのハンドルをなくし(右)、さらに14%を削減(2008年)。
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下のグラフは、1995年から16年間の、プラスチック使用量の推移です。棒グラフは、製品の包装容器に使ったプラスチック量を表わしています。それを、製品の内容量あたりに換算して、業界が削減の指標として用いている原単位で表わすと、折れ線グラフのようになります(1995年を100%とする)。
棒グラフでは、年によってプラスチック使用量が増減していますが、これは新製品が上市される時に、本体ボトル容器での販売となることが影響しています。たとえば、洗濯用洗剤は、粉末から液体へとニーズが移行するなかで、液体の新製品が次々に発売され、必然的に本体ボトルの出荷量が増加します。また、シャンプー・リンスは、比較的短かいサイクルで新製品が発売される傾向があります。
このように、製品量は増えていくとの前提では、原単位を用いて相対的な削減率をみるほうが、取り組みの効果が出ているかのチェックもしやすく、適切な対応ができます。なお、新製品発売にあたっては、各メーカーが包装容器の設計に工夫を凝らしたり、詰め替え・付け替え用製品を発売するなどの対策をとっています。魅力的な製品を開発すると同時に、いかにプラスチック使用量を削減していくかが、知恵の絞りどころです。
現在、業界全体で、包装容器のリデュース、リユースのほか、再生材料を使用するリサイクルなどが進められています(3R活動)。その活動の効果を検証したり、随時改正される関連法とのかねあいについて考えていくことも重要です。自治体などによる3R活動の現場を参考に、どのような取り組みが行なわれているのか、今後の紙面でも取りあげていく予定です。
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