日本石鹸洗剤工業会(JSDA)
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2011年12月15日更新
01.*石洗工の容器包装と3R対策 *目次へ 
参照カテゴリ> #06.CLEAN AGE 228号 

*プラスチック使用量削減に貢献 詰め替え用パウチ

 

プラスチック使用量削減に貢献 詰め替え用パウチ

〜 サプライヤーに聞く、技術の変遷と今後の発展性 〜


pouchお話を伺った東洋製罐株式会社の方々:営業本部 フィルム販売部 部長 岡村 秀次朗さん、プラスチック容器開発部 FP・カップ開発グループ 副主任部員 小沢 和美さん、同グループ 桜井 毅人さん、開発本部 開発本部室 副主任部員 芋田 大輔さん、資材・環境本部 環境部 課長 小松 郁夫さん。(写真は左から、桜井さん、小沢さん、岡村さん、芋田さん)


 容器包装リサイクル法の改正(2006年6月)後、事業者には容器包装廃棄物の排出抑制(リデュース)の促進がいっそう求められています。日本石鹸洗剤工業会と会員会社は、容器包装におけるプラスチック使用量の削減に努め、ボトル容器の薄肉化、洗剤液の濃縮による容器の小型化、詰め替え・付け替え用製品の発売などの対応を行なってきました。
 特に、ボトル容器に比べプラスチック使用量が少ない詰め替え・付け替え用製品のニーズは年々高まり、その出荷量は、1995年の約7万4千トンから、2010年は約87万トンに増加が見込まれています。(当工業会調べ・会員企業14社のプラスチック容器を使用している主要8製品群*を対象として)
 そこで今回は、プラスチック使用量削減に大きく貢献している詰め替え用パウチにスポットをあて、包装容器の研究開発を手掛ける東洋製罐(株)の方々からお話を伺いました。

*8製品群:ボディ用洗浄剤、手洗い用洗浄剤、シャンプー・リンス、洗濯用液体洗剤、柔軟仕上げ剤、台所用洗剤、住居用洗剤、漂白剤・かびとり剤


東洋製罐の洗剤向け「詰め替え用パウチ」のあゆみ
1989 洗剤向けの、スタンディング(自立型)パウチ容器が初めて登場。
開封するとき、ハサミが必要だった。
1992 手で開封できるよう、特殊なフィルムを加えた3層構造のシートを採用。中央に注ぎ口を設け、注ぎやすさを改善した。
1998 中栓付きボトル容器に注ぎやすい、非挿入型パウチを考案。角にノズルを付け、口はレーザー加工し、手でちぎって開封できるようした。シートも2層構造になり軽量化に成功。注ぐ際に液で張り付き口が閉じるのを防止するため、フィルムの一部を立体的(楕円型)に成形した。
2000 口径が小さめで、中栓がないボトル容器に対して注ぎやすい挿入型パウチを考案。ボトル容器の口径に合わせて、パウチの注ぎ口も細くなったため、新たにV型の立体成形を加え、注ぐ際の液圧で口が閉じるのを防止した。
2005

スプレー用トリガーボトルなど小口径の容器に対応する挿入型パウチを考案。細長いノズルをカーブさせ、ボトルの口に引っかけて安定的に注げるようにし、液飛びや泡立ちも抑えた。切り口は湾曲させ開封性を向上。フィルムシートのゲージダウン(軽量化)も行なった。

2006〜 1kgもある大容量パウチのニーズが出てくるなど、年々開発の幅が広がっている。

◆改良を重ねつづけて20有余年

 スタンディングパウチ容器は、レトルト食品の分野で比較的早くから使われていましたが、洗剤製品の詰め替え用目的で、本格的に販売されるようになったのは1980年代後半からです。
 現在のように普及した背景には、環境問題に対する意識の高まりがあり、詰め替え用パウチを利用する消費者からは、「環境に良いことをしている気分になれる」との声も聞かれます。実際に、詰め替え用パウチを利用すれば、家庭から出る廃棄物量の削減と、ひいてはCO2排出量の削減につなげることができます。
 また、毎回ボトル容器で購入するより安くすむので経済的にもメリットがありますが、ボトル容器へ詰め替える手間が増えるデメリットもあります。パウチ容器が世間に受け入れられていく過程では、使い勝手を向上させることも重要でした。
 東洋製罐は、パウチ容器のプラスチック製フィルムシートの開発から製品の成形まで、自社で行なっています。詰め替え用パウチの生産量は、近年、前年比約1割増のペースで伸張しており、今年は年間で約7億5千万袋になる見通しです。
 パウチ容器の発売以来、“適正な時間内に注ぎきれるスピード”や、“ラクな注ぎ姿勢”にまでこだわり、設計に改良を加えながら、詰め替え時の負担軽減を目指してきました。環境への配慮から生まれたパウチ容器だからこそ、簡素でなければなりません。部材を付加せずに、いかに扱いやすく、スムーズに注げるようにするかが、常に開発上の課題となります。
 20年の間には、ボトル容器のコンパクト化が進み、詰め替え時に液がこぼれたりしないよう、パウチ容器にも工夫が加えられました。また最近は、使い勝手の善し悪しを検証するさい、女性だけでなく高齢の男性が使うことも視野にいれるなど、パウチ容器のありかたは、1つではなくなっています。


◆フィルムシートの機能とゲージダウン

 詰め替え用パウチには、内容物を保護するための基本的な機能として、強度(衝撃や圧力、内容物に対する耐性)、剛性(自立するために必要な硬さ)、バリア性(水分、酸素、香りなどの透過を抑える)の3要素がかかせません。内容物が洗剤の場合、成分中の界面活性剤の親油性がフィルムシートの素材に影響しやすく、圧力により破断する可能性が高まるので、強度の面で特に注意が必要です。
 パウチ容器のフィルムシートは1枚に見えますが、主に、表面のナイロン素材のシートと、内面のポリエチレン素材のシートを圧着したものです。東洋製罐は、このポリエチレンについて多種のグレードを開発することを得意としています。たとえば、バリア性を重視した高密度のシートを開発し、多層化して強度を高めるなど、特徴のあるシートを使い分けたり、組み合わせることで、パウチ容器にさまざまな機能を持たせています。
 また、シートのゲージダウン(軽量化)も進められていて、今後さらに10〜20%の薄肉化をはかり、プラスチック使用量の削減に今以上の効果を発揮することも期待できます。しかし、ゲージダウンするほど、へたって持ちにくくなり、強度も弱まるため、性能と両立させるための試行錯誤が続けられています。


◆より環境に配慮した製品作りへ

 パウチ容器にバイオ材を使う研究も行なわれ、すでに実用化段階に入っています。コスト高ながら、バイオ材に前向きな企業も少なくないようで、ゲージダウンによって材料費が浮いたかわりにバイオポリエチレンを使う、近い将来、そんな選択が増えてくることも考えられます。バイオポリエチレンは、石油を原料とせず、サトウキビを製糖するさいに出る廃糖蜜から生産されます。生産時に排出されたCO2をサトウキビが吸収するため、CO2の排出抑制効果があるとされています。
 東洋製罐が行なっている環境施策は事業全体にわたり、バイオ材開発のほかにも、フィルムシートの圧着時に溶剤を使わず、揮発性有機化合物の排出やエネルギー使用量を抑制することや、工場から一切の廃棄物を出さないゼロエミッションの達成に努力すること、などがあります。こうした取り組みが基盤にあり、より環境負荷が少なく、多くの人に選ばれる包装容器を生み出す原動力になっているのだと、伺い知ることができました。


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 日本石鹸洗剤工業会では、2010年から2015年までのプラスチック使用量について、新たな削減目標を定め、12月中に発表します。今後も引き続き、会員会社や容器包装サプライヤーと協同しながら、目標達成に向けて努力していきます。


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