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2008年12月15日更新
01.*安全・環境に関する規則 *目次へ 
参照カテゴリ> #06.CLEAN AGE No216 

*特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法)

「化管法の対象物質見直しと化学物質管理のあり方」
について

 経済産業省製造産業局 化学物質管理課 課長補佐
 
藤 沢 久 氏 のお話の主なポイント


1. 化管法見直しの方向性

 平成19年2月から、経産省の産業構造審議会と環境省の中央環境審議会で、化管法見直しをテーマに合同会議が開催され、同年8月に報告書をとりまとめました。
 この報告書では、まず、事業者は化学物質自主管理指針に基づき管理計画を作成するなどして、自主管理を促進していること、その結果、PRTR制度は過去5か年度分の届出実績を有して、指定化学物質による環境負荷を低減させる点で一定の効果をあげていること、MSDS制度も事業者間の情報伝達の手法としてほぼ定着しており、現行の役割を維持することが適当、と評価しています。
 そのうえで、現行制度の枠組みを維持するとともに、
(1) 新たな情報にもとづく指定物質の見直し
(2) 開示請求方法の見直し
などに言及しています。


2. 化管法指定物質見直しの経緯と概要

 平成19年10月から20年6月まで、四回にわたって開催された、経産省・環境省・厚労省の三省の委員会の合同会合で、第一種と第二種の指定化学物質の追加および削除について、審議がなされました。
 有害性の判断基準と環境での存在に関する判断基準については、現行のものを引き続き採用し、有害性の情報源として国が行なったGHS分類に用いた情報源等を追加、そして特定第一種指定化学物質の有害性判定に生殖毒性と生殖細胞変異原性を追加することとなりました。
 当初、新たに指定すべき物質の候補は270物質を数えましたが、水への溶けにくさと水生生物への毒性値を比較するべき、揮発性が高く水生生物の影響がわからないものは除く、といった論議を合同会合で重ねながら、新たに追加するものは最終案の218物質(後にグループ化があって217物質)に絞られました。
 今回、第一種から除外されたものは57物質、第二種からの除外も28物質あり、第一種・第二種間の入れ替えもありました。その結果、指定化学物質の数は、第一種が354物質から462物質に、第二種が81物質から100物質になりました。(見直し後の物質の詳細については、経済産業省ホームページでみることができます。)
http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/index.html
 なお、物質見直しの今後の予定は、次のようになります。
・平成20年11月21日
 「化学物質排出把握管理促進法」施行令改正
・平成21年10月1日
 見直し後の物質についてMSDS制度開始
・平成22年4月1日
 見直し後の物質について事業者によるPRTRの把握開始
・平成23年4月1日
 見直し後の物質について事業者によるPRTRの届出開始。


3. 物質見直しの判断基準

 有害性については次の前回の対象物質選定の項目・基準を引続き採用し、有害性のうち、1つでも該当すれば対象としました。
 1.発がん性
 2.変異原性
 3.経口慢性毒性
 4.吸入慢性毒性
 5.作業環境許容濃度から得られる吸入慢性毒性
 6.生殖発生毒性
 7.感作性
 8.生態毒性
 9.オゾン層破壊物質。


4. 界面活性剤で指定されたもの候補から外れたもの

 界面活性剤の第一種指定化学物質は、結果的に4 物質が増えました。これらはすべて生態毒性のみで対象になっています。
 なお、第三回目の審議会までは、石けんの成分であるステアリン酸ナトリウムとオレイン酸ナトリウムも、指定化学物質候補に残っていましたが、第四回の審議会において、専門家の判断で、生態毒性クラス外として外れました。


5. リスクへの対応と課題

 化管法は、排出規制や使用規制を行なう法律ではなく、事業者による自主的な管理を行ない、排出量等を減らしていくことを求めています。すなわち、化管法の指定化学物質に指定されているから危険な物質だとか、使ってはいけない、ということではありません。
 これからは、リスクを認識して適切な管理をすることが必要です。
 たとえば、かつてDDTの使用を全面禁止したことで、マラリアによる死者がでており、最近になってWHOはある地域ではDDTの使用を認めるという判断をしています。また、ペルーでは塩素消毒をやめた結果、コレラによる死者が増えたということもあります。
 どんな化学物質でも、ゼロリスクはありません。ある物質が使われているのには理由があります。ただ単にやめればいい、禁止すればいいという発想ではなく、ベネフィットとリスクの兼合いを考えていかなければなりません。やめた際に別のリスクがでてくる、ということもあります。
 中西準子先生の環境リスク学には、3種類のリスクについて書かれております。リスクの実像、規制リスク、一般人が抱く不安としてのリスクですが、後者の方がより大きくとらえられがちです。実際のリスクは小さくとも、一般人の抱く不安はとても大きいという場合が起こりえます。
 現在では、このリスク不安の大きさが、国の政策決定にも相当大きく影響する場合もあるように思います。これに対しては、企業の持つリスク情報を早く出していくことが重要ですが、一律的に答えが出せないところが悩ましいところです。
 これから皆さんといっしょに勉強して、どうすれば一般の消費者の方々に理解していただけるか、考えていきたいと思っています。

(当日の説明から編集部で要約)


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