■ 安全とはどういうことでしょうか? |
安全とは、ヒトや動植物に悪い影響を及ぼす可能性が十分に低いことです。天然でも、合成されたものでも、危険の度合い(リスク)は、その有害性(毒性)と、その物質を体に取り込む量によって決まります。つまり「100%安全である」というものはなく、すべてのものが、量によっては、私たちの身体に害を与える可能性があるのです。例えば、食塩や砂糖、お酒なども、量が多すぎれば身体に悪影響がでます。つまり、「100%安全なもの=リスクゼロ」があるのではなく、それぞれのものに「安全に使用できる量」があるのです。
石けん・洗剤についても同様で、私たちの身体に影響が出ない量で使われることで、安全であるといえるのです。この考えに基づき、各メーカーでは、通常使用の場合、誤使用の場合の両方について、次のような項目について安全性を評価しています。
安全性評価項目
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通常使用時
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慢性作用
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長期毒性試験
吸収・分布・代謝・排泄試験
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発ガン作用
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発ガン試験
変異原性(突然変異誘発性)試験
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子孫への影響
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催奇形性試験 繁殖性試験
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皮膚への影響
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皮膚刺激性試験
皮膚感作性(アレルギー性)試験
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誤摂取・誤使用時
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急性作用
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急性毒性試験 眼刺激性試験
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■ 通常使用の場合の安全性 |
【長期毒性について】
毎日繰り返し長年体に取り込まれたときの影響は、動物に悪影響がない最大量(無毒性量)と、日常生活で人体に入ると考えられる最大量(人体最大摂取量)から確認をします。この2つの量の比である安全率が100倍以上であれば
「リスクは小さい」という表現を使って、安全性に問題ないことを示すのが、世界的な目安です。
洗剤主成分の界面活性剤は、いずれも安全率が100倍を超えており、リスクは小さい=安全性に問題ないといえます。
【代謝・排泄性について】
わずかに体内に入った石けん・洗剤の成分が蓄積しないかどうかについては、動物に投与する代謝・排泄性試験によって確かめられています。その結果、石けんや洗剤の成分は体内で代謝され、最後は速やかに排泄されてしまい、体内に蓄積しないことが確認されています。
【子孫への影響について】
石けん・洗剤の子孫への影響については、動物の親・子・孫の多世代にわたり、その影響を実験しましたが、繁殖
に悪影響はなく、臓器等にも影響はありませんでした。
また奇形を起こす性質も認められませんでした。
【その他の安全性について】
このほか、発ガン性や突然変異、アレルギー性を増やさないかなど、さまざまな試験がされており、いずれも問題のないことが確認されています。
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■ 誤って使用した場合の安全性 |
間違って多量に飲み込んでしまった場合の影響は、単回投与毒性試験によって確かめられています。毒性の強さはどれだけの量を一度に与えたら動物の半数が死ぬかの量(LD50値)が指標となります。石けん・洗剤のLD50値は食塩(3.5g/kg体重)やふくらし粉(3〜4g/kg体重)と同程度です。誤って飲んだときは、製品の注意表示にしたがい、適切な処置をしてください。
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■ 公的機関による安全性の評価 |
石けんに比べて歴史の浅い洗剤については、特に、新しいものに対する不安もあって、1960年代から1970年代にかけて、催奇形性など人体に対する影響が問題提起されたことがありました。
これを受けて、厚生省や科学技術庁をはじめ、東京都、大阪府、神奈川県、横浜市、川崎市、札幌市など地方自治体でも、洗剤の催奇形性、発ガン性、発ガン補助作用、肝機能障害や不妊に対する影響なども含めた安全性を確認する試験や調査が行われましたが、いずれも問題はありませんでした。国内だけでなく、イギリスやアメリカなどでも試験が行われ、安全性が確認されています。また、蛍光増白剤の安全性も確認されています。
OECD(経済協力開発機構)の安全点検作業のなかでも、これらの信頼性があると認められたデータをもとに、LASの安全性に問題がないとの結果が2005年に出されました。
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