日本石鹸洗剤工業会(JSDA)
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2002年8月1日更新
01.*安全性と環境についての石洗工の調査・研究 *目次へ 
参照カテゴリ> #03.化学 

*界面活性剤のヒト健康影響および環境影響に関するリスク評価

特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化学物質排出把握管理促進法)(以下PRTR法と略)の第1種指定化学物質として、洗剤成分の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル(AE)、N,Nジメチルドデシルアミン=Nオキシド(AO)、ビス(水素化牛脂)ジメチルアンモニウム=クロリド(DHTDMAC)が指定されています。
これらの化学物質は洗剤などに使用される代表的な界面活性剤です。そこで、日本石鹸洗剤工業会では、これらの化学物質のヒトと環境に及ぼす影響について、これまでに報告されたのデータを再点検し、ヒトと環境生態系へのリスク評価を実施しました。その結果、ヒトの推定摂取量は耐容一日摂取量より少ないこと、また、環境濃度も水棲生物に影響を及ぼす濃度より低いことなどが改めて確認されました。これらのことより、家庭で使用する通常の条件下では、ヒト健康と生態系に影響を及ぼすリスクは極めて小さく、安心して使用できると考えております。詳細は報告書に記載されていますが、その概要について紹介します。
■ 報告書全文pdfはこちらからダウンロードできます

■ 概要

● 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(C10-14)のヒト健康影響および環境影響に関するリスク評価
ヒト健康影響については、皮膚刺激性、皮膚感作性、急性経口毒性、反復投与毒性などの安全性データと、使用形態・使用方法などにもとづくヒト推定暴露経路・暴露量を検討した結果、通常使用時および誤使用時のいずれにおいてもリスクは極めて小さいと評価された。特に、長期間使用した場合の体内への継続的摂取について、ヒト推定最大摂取量とヒト耐容一日摂取量を比較したところ、ヒト推定最大摂取量はヒト耐容一日摂取量を下回っていた。

ヒト耐容一日摂取量 3mg/kg/日 > ヒト推定最大摂取量 0.290mg/kg/日又は0.18mg/kg/日

また、変異原性、遺伝毒性、発がん性、催奇形性,繁殖性についても、毒性ポテンシャルは認められていない。
一方、LASは活性汚泥や河川水中の微生物による生分解性が良好であり、下水処理施設で効率的に除去されることが確認された。また、生態影響について、水棲生物毒性データに基づく推定無影響濃度と、環境濃度を比較したところ、環境濃度は推定無影響濃度を下回っており、現在の使用状況においてLASが生態系に影響を与えるリスクは極めて小さいと考えられた。
水棲生物への最大許容濃度 250μg/L以上 > 環境濃度(最大値) 80μg/L

以上のことから、通常想定される使用条件下でLASがヒト健康及び生態系に影響を及ぼすリスクは極めて小さく、安全に使用できる洗浄剤成分であると考える。

●ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル(C12-15)のヒト健康影響および環境影響に関するリスク評価
ヒト健康影響については、皮膚刺激性、皮膚感作性、急性経口毒性、反復投与毒性などの安全性データと、使用形態・使用方法などにもとづくヒト推定暴露経路・暴露量を検討した結果、通常使用時および誤使用時のいずれにおいてもリスクは極めて小さいと評価された。特に、長期間使用した場合の体内への継続的摂取について、ヒト推定最大摂取量とヒト耐容一日摂取量を比較したところ、ヒト推定最大摂取量はヒト耐容一日摂取量を下回っていた。
ヒト耐容一日摂取量 6mg/kg/日 > ヒト推定最大摂取量 0.00952mg/kg/日

また、変異原性、遺伝毒性、催奇形性、繁殖性についても、毒性ポテンシャルは認められていない。
一方、AEは活性汚泥や河川水中の微生物による生分解性が良好であり、下水処理施設では効率的に除去されることが確認された。水棲生物毒性データに基づく推定無影響濃度と、環境濃度を比較したところ、環境濃度は推定無影響濃度を下回っており、現在の使用状況においてAEが生態系に影響を与えるリスクは極めて小さいと考えられた。
水棲生物への最大許容濃度 110μg/L > 環境濃度(最大値) 12μg/L

以上のことから、通常想定される使用条件下においてAEはヒト健康および生態系に影響を及ぼすリスクは極めて小さく、安全に使用できる洗浄成分と考えられる。

● ビス(水素化牛脂)ジメチルアンモニウム=クロリドのヒト健康影響および環境影響に関するリスク評価
ヒト健康影響については、皮膚刺激性、皮膚感作性、急性経口毒性、反復投与毒性などの安全性データと、使用形態・使用方法などにもとづくヒト推定暴露経路・暴露量を検討した結果、通常使用時および誤使用時のいずれにおいてもリスクは極めて小さいと評価された。特に、長期間使用した場合の体内への継続的摂取について、ヒト推定最大摂取量とヒト耐容一日摂取量を比較したところ、ヒト推定最大摂取量はヒト耐容一日摂取量を下回っていた。
ヒト耐容一日摂取量 0.1mg/kg/日 > ヒト推定最大摂取量 0.023mg/kg/日

また、変異原性、遺伝毒性、催奇形性についても、毒性ポテンシャルは認められていない。
一方、DHTDMACの下水処理による除去は良好であり、さらに、河川流下に伴って除去されることが報告されている。水棲生物毒性データに基づく推定無影響濃度と、環境濃度を比較したところ、環境濃度は推定無影響濃度を下回っており、現在の使用状況においてDHTDMACが生態系に影響を与えるリスクは極めて小さいと考えられた。
水棲生物への推定無影響濃度 94μg/L > 環境濃度(最大値)3.8μg/L

以上のことから、通常想定される使用条件下でDHTDMACがヒト健康および生態系に影響を及ぼすリスクは極めて小さく、柔軟仕上げ剤成分として安全に使用できると考えられた。

● N,N-ジメチルドデシルアミン=N-オキシドのヒト健康影響および環境影響
に関するリスク評価
ヒト健康影響については、皮膚刺激性、皮膚感作性、急性経口毒性、反復投与毒性などの安全性データと、使用形態・使用方法などにもとづくヒト推定暴露経路・暴露量を検討した結果、通常使用時および誤使用時のいずれにおいてもリスクは極めて小さいと評価された。特に、長期間使用した場合の体内への継続的摂取について、ヒト推定最大摂取量とヒト耐容一日摂取量を比較したところ、ヒト推定最大摂取量はヒト耐容一日摂取量を下回っていた。
ヒト耐容一日摂取量 0.5mg/kg/日 > ヒト推定最大摂取量 0.0135mg/kg/日

また、変異原性、遺伝毒性、催奇形性、繁殖性については、毒性ポテンシャルは認められないことが確認された。
一方、AOは活性汚泥中の微生物による生分解性が良好であり、下水処理施設では効率的に除去されることが確認された。AOは環境濃度が測定されていないために、現時点では生態系リスク評価は行うことができないが、使用量が少なく、良分解性かつ組み合わせて使用されるAESや懸濁物質などとコンプレクスを形成することにより、水棲生物毒性が緩和する可能性があるために、水棲生物に対する実質的な影響は小さいものと考えられる。今後は、AOの環境濃度測定を継続的に行い、リスク評価を行うことが課題としてあげられる。
以上のことから、通常想定される使用条件下において、AOはヒト健康および生態系に影響を及ぼすリスクは小さく、安全に使用できる界面活性剤と考えられる。



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