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2006年6月15日更新
01.*石洗工の容器包装と3R対策 *目次へ 
参照カテゴリ> #06.CLEAN AGE 206号 

*容リ法の見直しの経緯と問題点は…

 

「その他プラスチック」を中心に

プラスチック容器包装リサイクル推進協議会
 副 会 長 石 井  節  氏 (写真=右)
 専務理事 滝 田 靖 彦 氏 (写真=左)
      …に伺ったお話を参考に構成しました。

リターナブルがいいねといいながら缶ビール飲んでる…
そんなあなたも「リサイクルのためのリサイクル」ではない
3Rを考えてみよう
見直しはどのように進められているか
費用負担の問題に議論が傾斜
「材料リサイクル優先」の見直し
新たな再商品化手法の追加検討
社会的コストの低減に向けていっそう努力

● 見直しはどのように進められているか

 容器包装リサイクル法では、その附則で「施行後10年を経過した場合において、再商品化の実施等の施行の状況について検討を加え必要な措置を講ずる」とされていました。そこで、平成16年度からこれまで1年半に及ぶ論議が重ねられてきました。
 環境省の中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会と経済産業省の産業構造審議会環境部会の廃棄物・リサイクル小委員会容器包装リサイクルWGを中心に、法律の見直しに関して会合を開き、約1年半前から市民団体や産業界等の関係者から広くパブリック・コメントを求めつつ、議論が展開されてきたのです。これらの結果を反映した、容リ法の一部改正案が国会で審議されています。その見直し議論の過程で、いくつかの問題点も浮き彫りになってきました。

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費用負担の問題に議論が傾斜

 基本的に自治体の負担が大きすぎるという不満が市町村にあって、今回も国に補助金を求めるなどの要望が強く、消費者の意見では「拡大生産者責任」を徹底して容器包装の分別収集保管の費用の一部を事業者に負わせよといった極端な議論が先行しました。
 これに対して産業界では、現行法の三者役割分担をくずして、地方自治体の分別収集費用の一部を事業者に負わせようというような役割分担の見直しは、今回の法の見直しにおいて本来目指すべき容器包装廃棄物の排出抑制効果に乏しく、事業者への単なる費用の付回しにすぎないと、主張してきました。
 確かに、容リ法の後に制定された循環型社会形成推進基本法では、「拡大生産者責任」の考え方も押し出していますが、OECDのこれについての基本精神は“拡大生産者責任は必ずしも全面的に生産者に責任を移転させるものではなく、各国の経済・社会・文化的事情を考慮し、そのなかで最も自国にあった方式をとること”を推奨しています。
 プラスチック製容器包装に係る分別収集実施市町村は5割強にとどまるなど、現状ではまだ分別収集の実施が不充分であるうえに、分別排出や減容化が徹底されていないケースも多いため、地方自治体の運搬・選別費用の上昇をもたらし、異物混入による多量の残渣発生が再商品化費用の高騰の原因のひとつになっているのが現状です。
 こうした点を考慮せず、「拡大生産者責任」という言葉のみにとらわれて、施策の効果等を充分に吟味することなく、役割分担・費用負担のあり方を議論すべきではない、というのが産業界・事業者を代表する経団連の立場です。
 見直し論議では、三者三様の費用負担の主張に、あまりにも多くの時間をとられすぎて、制度本来の将来に資する議論が少なくなってしまったのではないか、という印象は否めません。

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「材料リサイクル優先」の見直し

 「再商品化」が眼目であるということが、この法律を性格づけるとともに、いくつかの課題を残してきたといえます。容器包装廃棄物の「処理」よりも「再利用」のほうに重点がおかれているため、今後の計画で明らかに予想される再商品化能力の不足に、どう対応するかも問題です。
 こういう制度を円滑に運用するためには、収集量に対して30%増の再商品化能力がなければ、うまくいきません。市町村が収集したものを再商品化し切れないという事態は、もはや直近の5カ年計画でも避けられない見通しになっています。汚れが多く付着していたり、異物が混入している容器包装廃棄物などは、もともとあまりリサイクルに適さないものです。そんな再商品化不適合物まで大量に集めて、無理やりにきれいに再商品化しようとすること自体に限界がある、ともいえるのです。
 「材料優先」の入札であるため、常にコスト高の材料リサイクル業者が落札してしまうことになります。新しい業者が参入するのもほとんどが単価が高い材料リサイクルの分野で、コストは「高止まり」になるという現状があります。

図:プラスチックの材料リサイクル状況

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新たな再商品化手法の追加検討

 そこで、これまでの“材料リサイクル優先”を見直し、再商品化の道を広義に解釈して再商品化能力の拡大をはからなければなりません。とくにプラスチック容器包装リサイクル推進のためには、再商品化しても半分は別のごみを最終的に生み出してしまう材料リサイクルにのみ依存することはできず、新たな再商品化手法の追加が必要です。
 今回の見直し論議でも、結果的に「材料優先」の考え方を外すことはできませんでしたが、「補完的な手法として(経産省)」、「緊急避難的に(環境省)」という表現付きながら、RPF(固体燃料)やセメント原燃料化の手法を認める方向になりました。
 「サーマルリサイクルは認めない」という法の建前もあって、それまで燃やすことに無条件に拒否反応があり嫌われれていたものですが、限りある化石燃料に代替する手法として活用への理解が広がり、本質的なリサイクルのあり方に一石を投じた、現状打開への前向きな成果といえます。

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社会的コストの低減に向けていっそう努力

 そのほか、“ただ乗り事業者”への対策、ベール品質の問題、レジ袋有料化論議やPETボトル輸出問題など、課題はいろいろありますが、多くの成果を挙げてきた現行法の役割分担をくずすのではなく、各主体が現行の役割に基づく責務を充分に果たし、深化させるための施策を講じることこそ重要です。そのうえで、いっそう容器包装の3R(リデュース、リユース、リサイクル)に努力する姿勢を、改めて強調していく必要があります。
 内容物の品質や安全性の保持といった容器包装の本来の機能が損なわれない範囲で、また「環境と経済の両立」に資するように、という条件付きですが、容器包装リサイクル制度に係る社会全体の総コストの軽減に努力を続ける必要があります。これは、法律制定の当初からの中心的課題であり、「走りながら考えていこう」ということでスタートした制度のはずでした。ところが、それについて実はあまり考えられてこなかったことが、“あまりにも費用が多くなったから事業者が負担せよ”という今回の見直し論議で明らかになったともいえるのです。
 経団連としても、容器包装リサイクルの望ましい未来への取組みを、より確実なものとするため、容器包装の素材グループごとなどの業界別に、容器包装の3R推進に向けて「自主行動計画」を策定し実施するとしています。
 これに呼応して、「3R推進8団体連絡会」がプラスチック容器包装リサイクル推進協議会を含む容器包装に係るリサイクル8団体によって結成され、数値目標をおり込んだ自主行動計画を発表し、見直し後の新たな3Rに努力していこうとしています。
(http://www.pprc.gr.jp/)



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