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2004年6月15日更新
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*界面活性剤の生態リスク評価

界面活性剤の生態リスク評価

日本水環境学会年会(2004年3月)ポスター発表より
日本石鹸洗剤工業会  ○西山直宏、山本昭子、武井俊晴

Ecological Risk Assessment of Surfactants, by Naohiro NISHIYAMA, Akiko YAMAMOTO and Toshiharu TAKEI (The Japan Soap and Detergent Association)

■発表要旨
 1.はじめに
 2.公共用水域における界面活性剤濃度
 3.生態リスク評価
■ポスター発表
 1.はじめに
 2.モニタリング調査
 3.濃度予測モデルによる検証
 4.各界面活性剤の生態リスク評価
 5.結論

発表要旨

1.はじめに

家庭用洗剤などに使用される界面活性剤については、生分解性や水生生物毒性などの安全性評価が行われているが、2001年に化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)が施行されたことを機に、日本石鹸洗剤工業会では改めて洗剤の生態リスク評価に取り組むことにした。今回は、PRTR法第一種指定化学物質に分類されたLAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、AE(ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル)、DHTDMAC(ビス(水素化牛脂)ジメチルアンモニウム=クロリド)、AO(N,N-ジメチルドデシルアミン=N-オキシド)の4種の界面活性剤について、当工業会が日本界面活性剤工業会と共に行ったモニタリング調査を基に水環境の生態系に対するリスク評価を行った。

2.公共用水域における界面活性剤濃度

界面活性剤の環境水系における存在については、国や地方自治体などによる調査により比較的多くのデータが利用可能である。しかし、それらは比色分析法による非選択的分析法による定量値であったり、分析法が適切であっても、継続的な測定が実施されていないために、リスク評価には適していない。そこで、リスク評価の対象にする4種の界面活性剤について、選択的な微量定量が可能な分析法1,2)を用いてモニタリング調査を行った。LASはHPLC-蛍光検出法を用い、それ以外の界面活性剤にはLCMS法を用いた。分析試料は、多摩川の羽村堰、多摩川原橋と田園調布堰、荒川の笹目橋と治水橋、江戸川の金町、淀川の枚方大橋の4河川7箇所において年4回(原則として、3、6、9、12月)の頻度で採取した。これらの調査地点は、都市域を流下する河川の水質類型A〜Cに該当する。

表1 各界面活性剤の河川水中濃度(μg/L)

平均値
最大値
95%値
LAS
11  
81 
35 
AE
1.2
11.7
4.3
DHTDMAC
0.9
3.8
3.0
AO
 0.05
 0.34
 0.22

1998年6月から2003年9月までの全データをもとにして、各界面活性剤濃度の平均値(定量下限以下の場合は定量下限値で検出されたとして算出)、最大値そして95%値を表1に示した。LASの検出レベルは、高くても数十μg/L程度であり、AEなどはその10〜1000分の一程度であった。モニタリング調査の結果は、都市域を流下する代表的河川である多摩川を対象にした河川水質予測モデル3)を用いたシミュレーションにより検証し、実測値が妥当であることを確認した。
AOは、生産量が比較的少なく、生分解性も非常に良好であることから、その河川水中濃度は非常に低いと予測した。2002年6月より、世界で初めてモニタリング調査の対象にした結果、予測したとおりに河川水中濃度は非常に低く、検出された最大値は0.34μg/Lであった。


3.生態リスク評価

LASとAEの水生生物に対する無影響濃度(許容濃度)は、それぞれ250μg/Lと110μg/Lである4)。また、DHTDMACとAOについては、種々の水生生物毒性試験結果を解析し、無影響濃度をそれぞれ94μg/Lと26μg/Lとした。モニタリング結果から明らかになったわが国の河川水中の各界面活性剤濃度は水生生物に対する無影響濃度よりも低く、生態リスクは小さいと考えられる。5年以上にわたってモニタリング調査を実施したことにより、LAS、AE、DHTDMACおよびAOの河川水濃度レベルと生態リスクの小さいことが明らかにできたものと考える。


参考文献
1)西山直宏,都島康彦,池田祐三(1995)河川水中の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩濃度の現状,衛生化学,41(3),234−237.
2)西山直宏,三浦千明,熊谷善敏(2000)アルコールエトキシレートの使用および環境水系での存在状況,第3回日本水環境学会シンポジウム.
3)山本昭子, C.E.Cowan, D.C.McAvoy and E. Namkung (1997) 日本の水環境における消費者製品成分の環境濃度予測手法, 環境科学会誌, 10(2), 129-139.
4)E.van de Plassche et al.(1998) Predicted no-effect concentrations and risk characterization of four surfactants: linear alkylbenzene sulfonate, alcohol ethoxylates, alcohol ethoxylated sulfates, and soap. Envion.Toxicol. Chem.18, 2653-2663.



ポスター発表

1.はじめに

家庭用洗剤などに使用される界面活性剤については、生分解性や水生生物毒性などの安全性評価が行われているが、2001年に化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)が施行されたことを機に、日本石鹸洗剤工業会では改めて洗剤の生態リスク評価に取り組むことにした。今回は、PRTR法第一種指定化学物質に分類されたLAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、AE(ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル)、DHTDMAC(ビス(水素化牛脂)ジメチルアンモニウム=クロリド)、AO(N,N-ジメチルドデシルアミン=N-オキシド)の4種の界面活性剤について、当工業会が日本界面活性剤工業会と共に行ったモニタリング調査を基に水環境の生態系に対するリスク評価を行った。

2.モニタリング調査






3.濃度予測モデルによる検証


4.各界面活性剤の生態リスク評価



5.結論

1. 調査対象水域においては、LAS、AE及びDHTDMACによる生態系へのリスクは小さいことが継続して確認された。また、AOの環境濃度は、水生生物に対する予測無影響濃度より低く、生態系に影響を及ぼすリスクは小さいと考えられた。

2. LASとAEの各測定地点の検出濃度は、季節変動も含め過去6年間、経年的に低下する傾向が認められた。

3. 2002年度にモニタリングを開始したAOを含めて、今後もこれらの界面活性剤について、モニタリングを継続する予定である。




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