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2013年6月15日更新
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参照カテゴリ> #03.洗濯 #03.CLEAN AGE 234号 

*2012年 洗濯実態調査
インターネット調査の
追加実施

 

ドラム式洗濯機ユーザーの洗濯実態と意識について

日本石鹸洗剤工業会 洗たく科学専門委員会 委員長

山 田  勲

 日本石鹸洗剤工業会では、1991年以来、原則として5年ごとに「洗濯実態調査」を計画しています。「2010年洗濯実態調査」は、2010年4月〜5月に実施し、同年10月に開催された日本油化学会 洗浄・洗剤部会主催「第42回洗浄に関するシンポジウム」で、調査結果を発表しました。その2010年調査結果をまとめた際に、洗剤使用量や残り湯使用に関して、ドラム式洗濯機ユーザーに特徴的な実態が認められましたが、その詳細や理由までは解析できませんでした。そこで今回、前回の洗濯実態調査で課題となった「ドラム式洗濯機ユーザーの洗剤使用量実態とその意識、及び洗濯における風呂の残り湯利用の実態」について詳しく調べてみました。

 通常の洗濯実態調査では洗濯に関する「アンケート調査」と、実際の洗濯ごとに洗濯物重量や洗剤・柔軟剤量を計測して記録する「日記式調査」の二本立てで行なっています。今回の調査ではn数を多くとることに重点を置き、2012年5月にインターネット調査で実施しました。なお、洗剤量や洗濯物重量の計測については、洗剤使用量はキャップやスプーンの杯数を、洗濯物重量はヘルスメーター測定による自己申告としました。

 調査対象者はこれまでの実態調査と同じく5年以内に洗濯機を購入した首都圏の20代〜50代の主婦とし、そのうち主対象者のドラム式洗濯機ユーザー506名(比較対象として縦型洗濯機ユーザー274名)に対して調査を行いました。

 以下、今回の調査で明らかとなったドラム式洗濯機ユーザーの洗濯実態や意識の変化について、いくつかポイントを拾ってみました。


・洗剤使用量の意識と実測値について

 洗濯を行った際の計量した洗剤量について、キャップやスプーンで何杯分かの申告から、標準使用量に対する比率をこちらで計算し、集計しました。半数以上がほぼ標準使用量(能書でメーカーが指定している洗剤量)どおりでしたが、ドラム式洗濯機ユーザーでは、少なめ(標準使用量の0.8倍以下)に使った方が27%と縦型洗濯機ユーザーよりもやや多いことがわかりました(図1)。

fig.1


ドラム式洗濯機ユーザーが洗剤の使用量を決める際に意識するものとしては、洗濯物量が36%、洗濯機パネルが48%と、この二者で全体の84%を占めていました(図2)。また洗濯物量が多いと洗剤使用量が少なくなる傾向が認められました(図3)。これらについては縦型洗濯機ユーザーでも同じ結果が得られています。

   fig.2,3

 「汚れが少ないから」、「洗浄力が十分だと思うから」など何らかの理由で洗剤を意識的に少なく使う方は1割程度で、大部分の人が意図せず洗剤を少なく使っていました。すなわち、洗濯機パネルや洗剤能書を意識していると回答しているにもかかわらず、洗濯物量が多くても特に調整しないで洗濯したり、洗濯物量を十分に把握していなかったりする方が多いため、適正な洗剤量を使用していないと予想されました。

 そこで、洗濯物量を5kg以上と多めで洗濯した方について、①洗剤量を調整した(洗濯物量に対して意識が高い)、 ②洗剤量を調整しない(洗濯物量に対して意識が低い)、の2群に分けて、能書記載の洗剤使用量と実際の使用量との比率を比較しました。その結果、洗剤の使用濃度平均は、いずれの群もほぼ能書どおりでしたが、洗濯物量に対して意識が低い群はブロードな分布を(標準偏差0.48)、洗濯物量に対して意識が高い方はシャープな分布を示し(標準偏差0.25)、少なめに使用した方も少ないことがわかりました(図4)。

 洗濯機パネルや洗剤能書に漠然と従って洗剤を投入した方は、洗濯物量等に対する把握が充分でないのではと推察しています。

   fig.4


・残り湯洗濯の実態と意識について

 次に、風呂の残り湯を用いる洗濯の頻度や意識について調べてみました。残り湯を用いて洗濯する割合は縦型洗濯機ユーザーが72%、ドラム式洗濯機ユーザーが45%でした(毎回〜5回に1回、残り湯で洗濯する方の合計; 図5)。また、残り湯を洗濯に使う方のうち、すすぎにも残り湯を使う割合は、縦型洗濯機ユーザー55%に対し、ドラム式洗濯機ユーザーでは62%と多いことがわかりました。特にドラム式洗濯機ユーザーでは残り湯洗濯を行う約5人に1人がすすぎ全てに残り湯を使っていました(図6)。

fig.1

fig.6


 残り湯をすすぎまで用いる主な理由は「節約」、「節水」で、特にドラム式洗濯機の場合は元々洗濯水量が少ないため、洗い時だけに用いるのでは残り湯が余ってもったいない、という意識が働いたと考えられました。

 洗濯時の節水についてなんらかの工夫をしているか聞いたところ、「お風呂の残り湯を使う」が53%、「1回の洗濯物量を増やす(まとめて洗う)」が48%、「すすぎ1回の洗剤を使う」が32%でした。また、そういった節水意識について2011年の震災をきっかけとして意識するようになった方は3割弱、そのうち6割が今も継続して節水を心がけているとのことでした(図7)。


fig.6

・JSDAからの提案 上手な家庭洗濯のために

 2010年の洗濯実態調査と今回の調査結果から、2〜3割の方が洗剤を少なめに使っており、特に洗濯物量が多いときには、洗濯物量の正確な把握が難しく、洗剤の適正使用量より少なくなってしまう傾向がありました。洗濯物量が多いと汚れの量も多くなるので、十分な洗浄力を発揮するためには必要とされる洗剤量も多くなくてはなりません。洗濯物量が多いときや汚れが多いときには、洗剤使用量の目安を参考に、洗剤の量を少し増やすなどの適切な調節を心がけましょう。

また、すすぎ水のなかには洗浄成分がほとんど残っていないため、残り湯をすすぎに使うと、残り湯中の汚れ・菌が衣類に付着する恐れがあります。残り湯利用のお洗濯時でも、すすぎには水道水をお使いください。


CLEAN AGE 234号に関連記事を掲載しています。


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