『洗濯実態調査 2020』の結果から
[1]洗濯機や洗剤の変化、黒ずみの実態
日本石鹸洗剤工業会 洗たく科学専門委員会
山 田 勲 委員長
洗たく科学専門委員会では、家庭洗濯の実態と経年変化をつかむため『洗濯実態調査』を5年ごとに実施しています。2020年はコロナ禍により家庭訪問を取りやめ、対象者を増やしたうえでWEBによる調査を2020年5月に実施しました。その結果を前回2015年との比較を交えながら、今号から3回にわたり紹介します。
●調査の概要
【調査期間】2020年5月10日〜21日(日記式調査は同期間中の7日間)
【調査対象者】一都三県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の2人以上の一般世帯で、縦型・ドラム式・全自動の洗濯機を最近5年以内に購入した、20歳〜50歳代の主婦
【調査対象人数】 アンケート調査:463人(そのうちドラム式ユーザーは110人 ※出現率約24%)/日記式調査:137人(縦型ユーザー66人、ドラム式ユーザー71人) /図中のN=対象人数、SA,N=単一回答数、MA,N=複数回答数
【調査方法】①アンケート調査:洗濯の実態や意識についてWEBで回答
②日記式調査:WEBで洗濯1回ごとの内容を記録(洗濯物の量や洗剤量などの実測値、配布したサンプル布を同時に洗濯し提出することを含む)

●保有する洗濯機の種類は縦型全自動が増加
縦型(全自動)が全体の56.4%に増加しました(前回48.5%)。乾燥機能付きの縦型は19.9%に減少し(前回26.4%)、同ドラム式はほぼ横ばいでした(前回25.1%)。
大容量化はますます進行し、最大洗濯容量の平均が8.7kgに増加。7kg以上〜8kg未満の縦型と、9kg以上〜12kg未満のドラム式に二極化の傾向です。
●洗濯物重量は横ばい
洗濯1回ごとの洗濯物重量を実測した結果は前回とほぼ変わらず、縦型ユーザーの平均が3.24kg、ドラム式ユーザーの平均が3.61kgでした。
●主に使う洗剤のタイプはコンパクト型液体が最多に
コンパクト型液体ユーザーが45.4%に増加し(前回31.3%)、初の最多となりました。ドラム式では同ユーザーが51.8%と約半数を占めています。
液体ユーザーの合計(②+③)は全体の81.4%に達し(前回72%)、粉末ユーザーは13.0%まで減少しました(前回19.4%)。
●従来型液体ユーザーは使用量が少なめ
洗剤の使用量の平均値は、容器やラベルに表示された量で、おおむね適正に使われていました。ただし、従来型液体ユーザーに絞ると、表示量より少ない0.7倍以下で使う人が多く、洗濯中に再汚染※が起こりやすい傾向がありました。 ※一度落ちた汚れが繊維に再付着すること
一方、ドラム式ユーザーの平均値は表示量の約1.4倍で、洗剤を多めに使う人が多い結果でした。
●衣類の黒ずみの実態
衣類が黒ずむことに不満を感じている人が65.4%もおり、対処方法を知らない人も77.7%と非常に多くいることがわかりました。
また、1〜3回の洗濯後から黒ずみが気になると答えた人は20.6%で、黒ずんだ衣類は着用せず、保管する・別の用途に使う・廃棄すると答えた人の合計は41%にのぼりました。
? 衣類が黒ずむ要因は?
“詰め込み洗い”や“洗剤量の不足”が大きな原因である“汚れ残り”や“再汚染(洗濯中に落ちた汚れが再び繊維に付く)” などがあります。
! 今回の 調査を通じて、
黒ずみを改善する要因も確認できました
“ドラム式では、2015年に比べてサンプル布の黒ずみが減ったことがわかりました。ドラム式は大容量化した一方で洗濯物の量が変わらず、結果的に“詰め込み洗い”が減ったこと、ユーザーの大半が洗剤を適量使用しており“再汚染”が起きにくかったことなどが、黒ずみ改善の大きな要因と考えられます。
次号は、洗剤や助剤の使用実態を報告します 。つづく