『洗濯実態調査 2015』
の
結果をお伝えします
洗濯行動の最新傾向〜洗剤類の使用量や保管場所に注意を〜
日本石鹸洗剤工業会 洗たく科学専門委員会
山 田 勲 委員長
当工業会の洗たく科学専門委員会は、一般家庭を対象とした「洗濯実態調査」を約5年おきに実施し、得られた知見をもとに洗濯情報の発信を行なっています。2011年からの5年間は、液体洗剤の販売量が粉末洗剤を追い抜き、節水・省エネ型のドラム式洗濯乾燥機が普及するなど、洗濯環境も人々の洗濯行動も変化しました。2015年の調査結果は、『第47回 洗浄に関するシンポジウム(2015年10月21日)』で発表しました。ここでは要点を抜粋してお伝えします。
【洗濯実態調査2015年の実施概要】
調査はアンケート式と日記式の二段階で行ないました。(洗濯1回ごとの洗濯物の量、水量、洗剤量の実測などの記録を含む)
【調査対象者】縦型・ドラム式の全自動洗濯機を最近5年以内に購入した、首都圏在住の20歳〜50歳代の主婦。
【調査対象人数】 アンケート調査:227人(そのうちドラム式洗濯機ユーザーは57人 ※出現率約25%)/日記式調査:104人(ドラム式洗濯機ユーザー53人、縦型洗濯機ユーザー51人)
【調査期間】アンケート調査:2015年4月8日〜5月14日/日記式調査:2015年5月10日〜21日
■洗濯機は8kg〜9kgの大容量が主流に
調査対象者が所有する洗濯機について、最大洗濯容量の平均値は8kgとなり、大容量化が一層進んだことがわかりました。手持ちの洗濯機の約25%がドラム式洗濯機であり、大容量化の傾向はドラム式洗濯機の方に顕著でした(図1)。
図1:タイプ別洗濯機の最大容量と所有率
■洗濯機の大容量化で「まとめ洗い」が増加
洗濯1回あたりの洗濯物の量は、2010年調査時に比べて微増しており、縦型洗濯機ユーザーよりもドラム式洗濯機ユーザーのほうが一度に多くの洗濯物を洗っていました(図2)。今回、1週間の洗濯回数や日数が若干減少していることもわかりました。洗濯機の大容量化に伴い「一度にたくさん洗う」「まとめ洗い」の人が増え、この傾向はドラム式洗濯機ユーザーで顕著であると考えています。
図2:洗濯1回あたりの洗濯物の量
■洗濯機の大容量化で「まとめ洗い」が増加
洗濯で主に液体洗剤を使う人は全体の約72%に増加し、粉末洗剤を使う人は約19%に減少しました。液体洗剤の内訳は従来型が41%、コンパクト型が約31%となっています(図3)。
また、すすぎ1回タイプの洗剤の普及に伴い、すすぎ1回で洗濯する人が全体の約36%に増加しました。洗濯機のすすぎ回数を自分で設定するメモリーコースの利用が増え、一方で、おまかせ(標準)コースの利用が減少したことがわかりました。
図3:主に使う洗濯用洗剤のタイプ
■洗濯機タイプ別の洗剤使用量の傾向
縦型洗濯機とドラム式洗濯機の各ユーザーの洗剤使用量を日記式で調査し、集計結果を洗剤に表示された使用量の目安と比較しました(図4)。使用量の目安は、洗剤の洗浄力が問題なく発揮される適量を示しており、この0.7倍以下の量になると洗浄力の低下や再汚染しやすくなり、衣類の黒ずみや臭いの原因になりやすいことがわかっています。調査の結果、目安の0.7倍以下の量で使う人が縦型洗濯機ユーザーで約12%、ドラム式洗濯機ユーザーでは約25%もいました。
とくにドラム式洗濯機ユーザーにおいては、1回あたりの洗濯物の量が多く、なおかつ洗剤を少なめに使う人がいることから、洗濯後も衣類に汚れが残留したり、黒ずみや臭いといった問題が発生しやすいことが懸念されます。
図4:洗濯時の洗剤使用量(縦型洗濯機・ドラム式洗濯機)
■洗濯のたびに柔軟仕上げ剤を使用する人は約8割
柔軟仕上げ剤の使用頻度は、調査のたびに増えており、今回、洗濯で毎回使うと答えた人は約77%でした(図5)。1回あたりの使用量については、容器に表示された目安の2倍以上の量を使う人が約2割いました。しかし、このような人は前回調査時に比べてやや減少し、通常の量で使う人が増えてきています。
なお、計量方法については、約2割の人がキャップで計量せず容器から直接注いでいることがわかり、過剰使用の一因になっているのではと考えています。
図5:柔軟仕上げ剤の使用頻度
■洗剤類の保管方法に注意を
洗剤・漂白剤・柔軟仕上げ剤の保管場所について調査した結果、子供の手が届かない棚などに収納していると答えた人は約2割と少ないことがわかりました(図6)。また、未就学児がいる家庭に限っても、大半の家庭で洗剤類の保管方法に問題があることがわかりました。誤飲などの事故を防止する観点から、洗剤類は子供の手が届かない場所に保管するよう、改めて注意喚起する必要があります。
図6:洗剤・漂白剤・柔軟仕上げ剤の保管場所