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2013年9月16日更新
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参照カテゴリ> #03.洗濯 #03.CLEAN AGE 239号 

*ドラム式洗濯機ユーザーの「洗剤計量に関するインタビュー調査」

 

photoドラム式洗濯機ユーザーの
「洗剤計量に関するインタビュー調査」

“なぜ洗剤を少なめに使ってしまうのか?”

日本石鹸洗剤工業会 洗たく科学専門委員会
委員長  
山 田  勲

 洗たく科学専門委員会では、2010年以降、液体洗剤およびドラム式洗濯機ユーザーに着目して洗濯実態調査*をすすめてきました。その結果、“洗剤は少なめに使う人が多い”、“洗濯物の量が多くなるほど洗剤使用量にばらつきがある”などの傾向が認められました。この状況が続けば、洗剤の洗浄力や再汚染防止性の低下による衣類の黄ばみや黒ずみ、ニオイの問題が顕在化してくる懸念があります。

 なぜ洗剤を少なめに使ってしまうのか、そこに至る経緯と意識を調べる目的で、2013年9月に「洗剤計量に関する個別インタビュー調査」を実施しました。この結果をふまえ、現在、そこで把握した意識の方がどれだけいるのか、別途調査を進めています。


・「洗剤計量に関する個別インタビュー調査」の概要

 アンケートによる事前調査で、洗剤の使用量が少なめ(目安の8割以下)の人を中心に対象者を抽出し、その行動を詳細に観察し、どういった意識や背景があるのかを確認するため、実演を含めた個別インタビュー方式をとりました。

【調査対象者】
1都3県在住の30〜59歳の既婚女性(同居の家族に子供2人以上を含む)でドラム式洗濯機と液体洗剤(濃縮タイプを除く)のユーザー、計8人
【調査方法】
個別インタビュー方式
(1人あたり90分/2013年9月20日〜22日に実施) 洗剤計量の様子とお洗たく実演ルーム

【インタビュー調査の主な内容】
・普段の洗濯行動の把握と、汚れに対する意識の調査
・実演による普段の洗濯行動の再現、個別質問
・洗剤量と計量方法に対する意識の調査
・委員会で作成した洗剤計量に関するラベル表示案をもとに、製品の表示内容に対する理解度の調査


・調査の結果から気づいた点

調査の結果を対象者ごとに整理し、表中のa)〜d)のように、洗剤を計量する際の行動によって分類しました。

fig.

実演で使用量が洗剤ラベルの目安量よりも少なかった人は、全対象者8人中4人でした。その内訳をみると、a)タイプは結果的に0人でしたが、事前調査ではa)〜d)のどの計量方法でも、洗剤量が少なめになる方がいました。


<洗濯物の総重量を上手く把握できていない>

 縦型全自動洗濯機の場合は、水量(L)を基準にした洗剤使用量(杯数)がパネルに表示されますが、ドラム式洗濯機は洗濯物の量(kg)を基準に表示されるという違いがあります。この違いを知らなかったために、洗剤が適量とならない人がいました。また実演では、こちらで用意した様々な衣類を、普段の洗濯物と同じくらいの重さになるまでカゴに詰めてもらいましたが、全8人のうち5人は上手く再現できませんでした。普段から、洗濯物重量を(何kg洗っているのかを)把握していないと推察されました。


<意図的に使用量を減らす行動に、すすぎ不安が関与>

 ドラム式洗濯機は回転が緩やかで水量も少ないため、すすぎ残しが不安になって洗剤を“ちょっと”減らす、という行動が見られました。実演では全8人のうち5人が洗濯機のすすぎ回数を1回に設定しており、そのため、すすぎ残しに不安を抱き、「注水すすぎ」にしたり、「洗剤量を“ちょっと”減らす」傾向が認められました。洗剤量を“ちょっと”減らすほかの理由としては、洗剤や洗濯機の性能が良さそうだから、汚れ落ちに問題がないから大丈夫、などがありました。


<委員会で作成した洗剤計量ラベルの表示案の印象>

 今後、よりわかりやすい計量表示を行なうための検討として、事前に委員会で作成した数種の表示案について、その印象を伺いました。そのうち、洗濯物の目安重量(kg数)と衣類のイラストを併記して洗剤の適量を示した案については、わかりやすいとの評価を受けました。しかし、自分の洗濯物とは合わないと考える人が多いようでした。同じく、「洗剤の使用量が適正より少ないと衣類の黒ずみなどの原因になる」との注意書きについても、自分には当てはまらないと感じた人が多いようでした。


・調査結果の分析と、課題改善に向けた取り組み

 今回の実演をみる限り、自己流ともとれる、個々の基準をもとに洗剤を計量する様子が散見されました。

 洗剤の量を減らす理由については複数の回答が得られましたが、根底には洗剤使用量が適量より少なくなった場合のデメリットが十分に伝わっていない(理解されていない)ことが原因と思われました。また、洗剤の表示内容も含めて伝え方を工夫する必要性を改めて感じました。

 新たな気づきとしては、実演で8人中5人が洗濯機のすすぎ回数を1回に設定したことがあげられます。

 過去に1回すすぎの濃縮液体洗剤を使ったことがある人は、その訴求がない洗剤に戻っても、すすぎの設定は1回のままにしてしまう傾向があるようです。その際、すすぎの不安を感じて洗剤を“ちょっと”減らす行動が見られました。洗剤に対するすすぎ不安や、1回すすぎ洗濯の実態については、今後、追加調査を実施予定です。

 洗濯機パネルの表示に対するユーザーの信頼は高く、とくに洗濯物の重量を自己判断するのは難しいことから、洗濯機の洗剤杯数表示に頼る場合が多いと考えられました。しかし、ドラム式洗濯機と液体洗剤の洗剤使用量表示を見比べた場合、各々の表示で洗剤の適量が異なるケースがありました。

 今回のような調査結果の共有や、洗剤量に関する洗濯機パネル表示内容改善のためにも、当委員会では、国内洗濯機メーカーの代表である日本電機工業会の洗濯機技術専門委員会とも定期的に交流しています。消費者の立場に立って、よりわかりやすく適正な表示内容となるように、努めてまいります。


*近年の調査の概要をJSDAホームページに掲載しています
[2012年の調査]、 [2010年の調査]



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