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2010年12月15日更新
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*2010年洗濯実態調査

 

最近の家庭洗濯の実施状況と消費者意識

photo日本石鹸洗剤工業会
洗たく科学専門委員会 委員長

山 田  勲

 日本石鹸洗剤工業会では、1991年以来、原則として5年ごとに「洗濯実態調査」を実施しています。「2010年洗濯実態調査」は、2010年4月〜5月に実施し、10月に開催された日本油化学会 洗浄・洗剤部会主催「第42回洗浄に関するシンポジウム」でその調査結果を発表しました。
 今回の調査方法も従来に倣い、洗濯に関する「アンケート調査」と、実際の洗濯ごとに洗濯物重量や洗剤・柔軟剤量を計測し記録する「日記式調査」の二本立てで行ないました。
 「アンケート調査」の対象者は、5年以内に縦型・ドラム式全自動洗濯機を購入した首都圏の20代〜50代の主婦です。対象者(全208名)のうち、ドラム式洗濯機のユーザーは約15%で、ドラム式洗濯機の普及率に近い比率で出現しています。今回はこれらドラム式洗濯機ユーザーにも注目し、「日記式調査」では、ドラム式洗濯機ユーザーを追加して縦型洗濯機ユーザーとほぼ同数とし(縦型54名:ドラム式50名)、調査を実施しました。
 近年洗濯機や洗剤の技術革新が進み、液体洗剤の伸張も著しいなど、家庭洗濯を取り巻く環境は急速に変化しています。この度の調査で明らかとなった、最近の洗濯環境や意識の変化について、いくつかのポイントを拾ってみましょう。

●洗濯機の大容量化と乾燥機類の所有率拡大

 所有する洗濯機・乾燥機に関する調査結果では、8kgを超える大容量の洗濯機の伸びが際立っています。特にドラム式洗濯機でその傾向が強く、5年前の調査と比べると、最大洗濯容量の平均値が、6.8kgから7.4kgと増加していました。
 そのため日記式調査では、ドラム式ユーザーの1週間の総洗濯物重量の平均値(32.8kg)が、縦型ユーザーよりも4.5kg多いという結果が出ています。

■所有している洗濯機の最大洗濯容量 (2010年)
fig.1


 衣類乾燥機や乾燥機能付の洗濯機を所有する家庭は、調査対象の8割に達しています。5年前の調査に比べ、特に洗濯乾燥機の所有率が約42%(うちドラム式洗濯乾燥機が約15%)と倍増しているほか、簡易乾燥機能付き全自動洗濯機(縦型)も約30%と、3倍近く増えています。
 ところが洗濯乾燥機の乾燥機能利用率を日記式調査で調べたところ、乾燥機能を利用している人は8%にとどまり、残りの92%は自然乾燥に委ねていました。乾燥機能をほとんど活用できていない実態が明らかになっています。
 しかし一方で、次回購入したい洗濯機・乾燥機のタイプを聞くと、約7割の人が洗濯乾燥機を選んでいました。購入する際のポイントとして「省エネ・節水になる」と答えた人が8割近くいました。

■所有している衣類乾燥機の実態(2010年)
fig.1

●液体洗剤への移行と柔軟仕上げ剤の拡大

 過去5年以内に主に使う洗剤のタイプを変更したという人は全体の43%あり、そのうちの約85%が「粉末洗剤から液体洗剤に替えた」人でした。その変更理由を聞くと、「水によく溶ける」が83%と飛び抜けて高くなっています。粉末洗剤の溶け残りを懸念して、液体洗剤に移行したユーザーが多いことが注目されます。
 調査全体では56%が液体洗剤派でしたが、ドラム式ユーザーでは68%が液体洗剤派で占められていました。
 洗剤の使用量についての日記式調査では、過剰使用は減少したものの、逆に少なめに使用するユーザーが約3割(5年前の調査に比べ3倍増)もありました。今回少なめの使用が目立ったことは、節約意識の高まりを反映しているとも考えられ、洗剤量の不足から洗浄力の低下、再汚染が懸念される結果といえます。
 洗濯時に毎回柔軟仕上げ剤を使用する人は、調査のたびに増加してきており、今回調査では6割を超えました。
 しかし、柔軟仕上げ剤の使用量を洗濯物重量に応じて決めている人は2割程度でしかなく、使用方法に関する質問では、計量をしていない人が16%もいます。また日記式調査の結果では、標準使用量の2倍以上使用している人が23%もいました。
 柔軟仕上げ剤を使用する理由が、香りや柔らかさといった個人的な感覚と嗜好によることが多いため、使用量のばらつきが大きくなるものと考えられます。

●縦型全自動洗濯機での「詰め込み洗い」は減少

 縦型全自動洗濯機では、平均浴比は前回とさほど変わらず、極端に低い浴比で洗濯する人(詰め込み洗い)の割合は減少していました。今回初めてわかったドラム式洗濯機の洗濯浴比の分布は、効率よく洗濯できるほぼ適正な範囲でした。
 また新濃縮液体洗剤の登場や、洗濯時間の短縮、省エネなどに対する関心の高まりか、すすぎ回数を減らす人が若干増える傾向がみられました。
 洗濯時間帯に関しては、平日18時以降に洗濯する有職主婦が、5年前の調査時よりも増加していました。

●風呂の残り湯の利用は引き続き増加

 洗濯への風呂の残り湯の利用は引き続き増加傾向にあり、洗いだけでなく、すすぎ時にも利用されていることがわかりました。風呂の残り湯を洗いに使うと答えた人は全体の58%で、すすぎにも風呂の残り湯を使うと答えた人は全体の32%になりました。
 風呂の残り湯がすすぎに使われた場合には、汚れの付着や菌の増殖による不衛生、ニオイの発生などが懸念されます。

■洗濯に風呂の残り湯を使用する人の割合(2010年))
fig.1

 

●JSDAからの提案 上手な家庭洗濯のために

 今回の調査結果の概要をふまえると、新しいタイプの製品や、省エネ意識などの高まりを、効果的な洗濯行動に結びつけていく必要があるようです。
 今回JSDAとして、次のような提案を行なうことにしました。

  1. 洗剤は適正な使用量を守りましょう
     適正量より少ないと洗浄力が低下し、再汚染につながります。適正量より多いと、すすぎ不足の原 因となります。
  2. 柔軟剤は洗濯物重量に対する適正量を
     柔軟性能を発揮するためには、衣類量に対し適正な量を計量したうえで、使用することが大切です。
  3. すすぎ時は風呂の残り湯を使わないでください
     すすぎ時には、洗剤の再汚染防止効果が働かないので、汚れや菌の付着、ニオイの原因となります。


※「2010年 洗濯実態調査」の詳しい内容は、学会誌「繊維製品消費科学」の2011年12月号に掲載されています。 繊消誌Vol.52(12),763〜770(2011)
http://homepage3.nifty.com/shohikagaku/


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