日本石鹸洗剤工業会(JSDA)
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2024年3月29日更新
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*JSDA 委員会活動



液体洗剤、再汚染防止…よりよい洗濯習慣の提案に向けて
洗たく科学専門委員会による日本産業規格JIS K 3362改正の背景

 洗剤メーカーが自社製品を客観的に評価する方法の一つに、日本産業規格があります(JIS K 3362)。当工業会の洗たく科学専門委員会はその原案と改正案の作成に協力しており、このたび、2024年の公示に向けた改正案を提出しました。改正の背景について、近年の液体洗剤の伸長や、再汚染の課題を中心にお伝えします。

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*JISは(一財)日本規格協会の「Japanese Industrial Standards:日本産業規格」の頭文字、Kは「化学」の略です。JIS K 3362の正式名は「家庭用合成洗剤試験方法」。


野村昌史 委員長(花王株式会社)→
 今回の改正案の作成は当工業会の洗たく科学専門委員会と洗浄剤技術専門員会が連携をとり、学術分野と検査機関の協力のもとに進めました。



◆①液体洗剤をより適切に評価するための指標洗剤を追加

 衣料用洗剤は2010年頃から液体タイプが粉末を上回り、近年は液体タイプが出荷量の約9割を占めています。ここまで伸長し、多くの人が洗濯に液体洗剤を使うようになった理由として、次のような背景があると考えています。

液体洗剤を使う人が増えた理由

 家庭用合成洗剤の品質や洗浄力に関する試験方法を定めた日本産業規格(JIS K 3362)には、洗濯用としては粉末の洗浄力判定用指標洗剤(指標洗剤と略す)しか設定されていませんでした。指標洗剤とは、メーカーが開発した製品が、一定の洗浄力を満たしているかを確認するための「ものさし」となります。
 粉末洗剤と液体洗剤は、汚れを落とす界面活性剤やほかの成分の配合が異なり、別々の特徴を持っています。そのため、液体洗剤の評価には液体の指標洗剤があったほうが望ましく、今回の改正で追加することになりました。
 指標洗剤の組成や洗浄力については、客観的かつ科学的に設定する必要があり、大矢 勝氏(横浜国立大学)に研究協力をお願いしました。

粉末洗剤と液体洗剤の違い(組成のイメージ)


◆②「再汚染防止力評価方法」を新開発、改正に盛り込む

 衣類を洗濯すると白い部分がくすんできたり、黒ずんできたりすることがあります。原因は「再汚染」で、洗剤量が不足した場合などに、洗濯中に衣類から出た汚れが、再び衣類に再付着してしまうためです。洗剤の界面活性剤には再汚染を防止する機能がありますが、いくつかの要因が重なると、再汚染が引き起こされます。

再汚染を引き起こす要因と実態

 洗たく科学専門委員会は5年毎に一般家庭を対象に洗濯実態調査をしており、2015年頃に再汚染の顕在化を把握しました。詳しく調査をした2020年には、6割強の人が衣類の黒ずみに不満を持っており、数回洗濯しただけで黒ずみが気になるという人もいました。また、黒ずんだ衣類は約半数の人が使用をやめて廃棄したり、雑巾などの別の用途に回したりすることがわかってきました。

なぜ洗剤量の不足で再汚染が起きるのか

 この課題を把握した当委員会は、日本産業規格(JIS K 3362)にも洗剤の再汚染防止力や衣類の白さに関する評価を追加しようと考えました。2019年頃から試験機関にも協力いただき、共通の「再汚染防止力評価方法」を初めて開発し、今回の改正に盛り込みました。



◆再汚染の実態をふまえた評価方法の開発に苦労

 開発した方法は、家庭の洗濯に近い条件で洗剤の再汚染防止力を評価できることが特徴です。家庭用の洗濯機を使い、試験布は綿とポリエステル、織物と編物の4種類を用います。誰もが同じ条件で試験ができる再現性の高い評価方法を目指して、改良を重ねました。
 評価方法の開発過程では、洗濯機の機械力の偏りや、試験布の前処理の影響などが予想以上に大きくて苦労しました。家庭用の洗濯機を使うことで、実態に近い試験が可能な反面、条件を細かく変えて試験するのは非常に困難です。そこで、現在は小型の洗浄試験機を用いたモデル試験方法も検討中で、これにより再汚染の発生メカニズムなどの基礎研究が可能になると考えています。この活動には後藤 純子氏(共立女子大学)、桑原 里美氏(和洋女子大学)に研究協力いただいているところです。



◆衣類の寿命を長持ちさせるサステナビリティにも貢献

 衣類の汚れを落とし、白さを保つことは衣料用洗剤が果たしている大切な役割です。とくに白さを保つための再汚染防止力については、これからも技術開発を進めていく余地があり、今回の改正がそのきっかけになればと考えています。また、洗濯の節水化は環境に良いことですが、再汚染を生じさせないためには適切な量の洗剤を使用することが重要です。これについては、業界を超えて取り組んでいきたい気持ちもあります。
 環境省が推進しているサステナブル(持続可能)なファッションへの取り組みでは、大量生産された衣類の寿命が短期化することで、大量廃棄につがる問題が指摘されています。当工業会の洗濯実態調査で明らかになったように、衣類を数回洗濯しただけで黒ずみが気になって廃棄する、といった課題を検証していくことが大切です。
 家庭で洗濯をする人については、衣類のニオイや部屋干し臭と同じくらい、再汚染や黒ずみの原因にも意識を向けていただけると、今よりも衣類を長持ちさせ、淡色や白地の色柄物はくっきりと綺麗に保つことができるのではないでしょうか。サステナブルファッションへの貢献もふまえて、当委員会の研究活動を、より適正な洗濯習慣の提案につなげていければと考えています。




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