当工業会では、コミュニケーション推進専門委員会や洗たく科学専門委員会が中心となって外部との対話をすすめ、洗剤や洗浄に関する正しい知識を伝えています。2015年に実施したなかから、専門家向けの3つと、一般向けの2つの講義や講演ををご紹介します。
1.愛知県調理師会 学校給食支部
講義日:2015年4月8日/対象:調理師15人ほか
講師はコミュニケーション推進専門委員会 深澤 委員長
愛知県内の学校で給食を作られている調理師の方々から、「洗剤や洗浄の仕組みに関する知識を得たい」との依頼があり講義を行ないました。学校給食では、食器洗いは重要な作業の一つで、さまざまな視点から学び、業務に役立てたいとのことでした。
汚れが落ちる仕組みは石けんも洗剤も同じで、どちらも界面活性剤の働きによるものです。界面活性剤が、本来は混ざり合わない油(汚れ)と水をなじませる過程がわかるような実験を行ない、洗浄の仕組みを理解していただきました。また、合成洗剤の安全性と環境負荷についても説明しました。技術が進歩した今は、より少しの量の洗剤でスピーディに洗浄できることや、調理場の排水に含まれる洗剤成分の大半は下水処理場で分解除去されることなどを説明し、合成洗剤の妥当性を十分に理解していただくことができました。
2.繊維製品品質管理士会 ライフサイクル研究会
2015年8月20日/対象:同管理士ほか75人
講師は 洗たく科学専門委員会 山田 委員長
1981年に誕生した繊維製品品質管理士(TES)は、繊維製品の製造や販売などに携わるスペシャリストです。認定を行なっている(一社)日本衣料管理協会の依頼で、「洗濯関連製品の市場と技術の動向について」というテーマで講演しました。仕事の現場で役立つような情報提供を心がけ、衣料用洗剤、衣料用漂白剤、柔軟仕上げ剤の各機能や、開発技術と市場の変化、繊維や環境への影響などを詳しく解説しました。また、洗剤類を適量で使うことの重要性も説明しました。
衣料の品質を管理する立場から多くの質問も出され、衣類に付きやすい臭いやカビの対策方法などもアドバイスしました。消費者からの問い合わせに対応している方からは、「知識が得られたので、今後は自信を持って回答できる」というような感想もいただいています。
3.第47回 洗浄に関するシンポジウム
講義日:2015年10月20,21日/対象:業界関係者 延べ320人
石鹸・洗剤業界の関係者が参加する日本油化学会のシンポジウムが、10月20と21日に大阪科学技術センターで開かれました。オープニングで同学会の洗浄・洗剤部会長である横浜国立大学の大矢 勝 教授が「最近の洗浄研究・洗剤技術の動向」について話しました。
21日には、当工業会の洗たく科学専門委員会 山田 勲 委員長が登壇し、当工業会で5年おきに実施している「家庭洗濯に関する実態調査(2015年)」から最新情報を発表しました。近年は、節水・節約に対する意識の高まりが、洗濯行動にも大きな影響を与えています。今調査では、洗濯機のさらなる大容量化により、週あたりの洗濯回数が減ったことや、「1回すすぎ」の液体洗剤が普及して、すすぎ1回の利用が拡大したことが明らかになりました。同調査の概要は、次号のクリーンエイジでお伝えする予定です。
↑開会の辞を述べる大矢 勝 教授
↑調査結果を報告する 山田 勲 委員長。会場キャパシティを超える約160人が聴講し、急遽、別室で中継が行なわれるなど盛況を極めました。
4.札幌消費者協会 消費生活講座
講義日:2015年8月28日/対象:一般市民36人
講師は当工業会 洗浄剤部会員の熊谷氏
一般向けに(一財)札幌消費者協会が毎年実施している消費生活講座で、「お洗濯の科学〜上手な洗濯方法と最新情報」をテーマに、洗剤で汚れが落ちる仕組みを、実験を交えて解説しました。当講座の内容は好評を受けてパネル化され、11月3〜16日に札幌消費者センターで特別展示されました。
5.神奈川県立高等学校PTA連合会 県央地区大会
講演日:2015年10月15日/対象:高校生の保護者約400人
講師はコミュニケーション推進専門委員会 深澤 委員長
神奈川県立高等学校PTA連合会から、身近な石鹸洗剤と、健康な生活や環境との関わりなどについて見識を深めたいとの要望があり、高校職員と保護者の方々を対象に「環境を考えた洗剤開発」の講演を行ないました。