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2011年6月15日更新
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参照カテゴリ> #02.リスク 

* 化学物質の安全シリーズ (4)

安全と安心はどう違うか
〜安心できない市民へのメッセージ〜

(独)科学技術振興機構・研究開発戦略センター シニアフェロー、国際連合大学名誉副学長、東京大学名誉教授
安井 至 氏
(2009年4月より 製品評価技術基盤機構(NITE)理事長に就任されました)

(2008/4/3開催)

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●安井先生インタビュー◎市民生活の安全・安心を考えるポイントは何か はこちら

1)安全と安心の違い
2)実リスクに影響する要因
3)リスクとは何か?
4)リスクを過度に心配する理由
5)結論

 本日は、「安全と安心はどう違うか」ということをお話させていただきますが、結論的に申しますと対策は極めて難しいことで、1時間の話の後で、やはりやることは無いのかなとの結論になるかもしれません。
 1)安全と安心の違い
1 安全と安心は、全く違います。違いすぎて同じところが無いくらいです。安全は評価ができますが、完璧に評価できるかははなはだ疑問です。非常に危険なもの、例えば死亡率で見られるようなもの、タバコとアルコールはどちらが危ないかなどは評価ができます。また、残留農薬であれば、どうやって基準を決めるかと考えていただいた方が良いと思いますが、ADI(一日摂取許容量)やARfD(急性参照用量)などで評価ができます。しかし、安心は心理的要因なので、客観的評価は土台無理ということです。非常に厄介なことに、安全になればなるほど不安になる(安心でなくなる)という、一般的な心理的傾向があります。日本における化学技術ポリシーを決める総合科学技術会議において、化学物質のリスク管理の各省庁連連携を進めているのですが、そこでも科学技術の目的の1つとして安全と安心があります。実は、全く違うものをつないでいるのが現状です。
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2 安心と不安は知識量と非線形の関係にあると考えます。一般に、何も知らなければ不安を感じることはありませんが、何か少し知識を入れると不安はグンと上がるのが一般的です。  いわゆる危険なものといわれているものは、知識の量を上げていくと不安が高まり、あるピークを超えると不安が下がってくるものですが、人類が知識を全部持っているわけではありませんので完全にはゼロになりません。多くの人を、不安度のピークを超えるまで知識量を増やすことしか解決方法はないわけですので、おそらくできないことです。私もテレビなどの取材を受けることがありますが、少し複雑だと「難しい・わかりにくい」と言われます。メディアは簡単なこと単純なことしか報道しませんので、全く知らない人を不安に陥れる程度の機能しか果たしていません。不安のピークを超えるまでにすることは不可能、かもしれません。
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3 安全ですら、評価には限界があります。完全に安全というものはありません。今、安全性は安全度が高くなる方向にあり、統計的に評価ができなくなっています。たとえば、ある有害物質の生涯リスク(あるものを摂り続けた場合に、どのくらいの人がそれが原因で死ぬかの確率)が10-6、1/100万とします。現実には、毎年100万人死んでいたところが100万1人に増え、その1人がその有害物質によって死んだというレベルです。このくらいのリスクになると、もうよくわからないのが現状です。今のリスクは10-5で制御していることになっていますが、元々きわめて少ないのでわからない、としか言いようがないのです。
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4 また、専門家による違いというものもあります。自分の専門から遠いところは、プロであっても怖いということです。知識が相当ないと安心できないわけですが、それにはその道のプロにならなくてはいけません。しかし、その道のプロであっても他のところではシロウトですから、市民を安心できるレベルに引き上げるということは、非常に難しいと感じます。
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 2)実リスクに影響する要因
5 一方、実リスクも絶対的ではなく、社会の発展段階やイメージの流布によって変動します。例えば、毒物を摂取してもすぐに胃洗浄をかければ助かりますが、救急車の受入れを拒否されれば助からないこともあるように、社会の発展段階によって異なってきます。また、危険なものであってもサプリメントと言った時点で良いイメージを持たれることもあり、簡単に言うことはできません
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6 水を取り上げて、今どのような状態になっているかをお話したいと思います。日本の水道水は、今や最も安全な水と言えます。いつまで続くかは不明で、将来は危険かもしれませんが、全体的な傾向を知る必要があります。
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7 これはWHOが出したThe World health reportの2002年版で、日常的なリスクを比較したものです。アフリカなどに代表される死亡率の高い途上国では、日常的リスクは飢餓、HIVの順に高く、3位に非衛生な水が挙げられています。一方、タイなどに代表される死亡率の低い途上国では水のリスクは大きく低下し、更にOECD諸国や日本などの先進国では水のリスクは問題にもなりません。すなわち、経済発展とリスクは極めて相関があると言えます。タバコのリスクは経済発展と共に高くなりますが、絶対値が変わっているわけではなく、他のリスクが低下したため上位にランクされています。
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8 この表は、WHOのデータを基に、損失余命を計算したものですが、世界全体では、飢餓で約20年、HIVで約12年、非衛生な水で約8年寿命を縮めています。一方、日本(シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドを含む)では、喫煙や生活習慣病が高めですが、全体的によく制御されていると思います。
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9 水道水が安全だと申しましたが、水道水とミネラルウォーターの基準を比べると、水道水の方が基準が緩い項目は無いのが日本の状況です。ミネラルが入っているからミネラルウォーターなわけですが、ミネラルは一般に考えられているカルシウム、マグネシウムに限ったわけではありません。水道水中の発ガンリスクはヒ素が突出していますが、ヒ素は海底に多く存在することから海底でできた石灰岩にも多く含まれ、石灰岩地を流れてきた硬水にも多く含まれています。したがって、ミネラルウォーターのヒ素の基準は水道水の5倍にもなっています。ただ、少量の毒物を摂取することは、生涯リスクとしてガンになるリスクは高いかもしれませんが、免疫システムがうまく働くと言えます。最近、花粉症が増えていますが、免疫システムが相手にする毒性の高いものがなくなると、花粉症が出てくるといえます。
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10 水を売ろうとした時に、安全で勝負しては水道水に負けてしまいますので、様々なイメージ戦略をとり、水道水は機能が無いといって機能水を売るわけです。実際に水にはクラスターも波動も、特定の濃度で特異の性質も示すことも無く、磁気が利くこともマイナスイオンもありません。しかし、このようなキーワードが使われているのが現実です。
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11,12 ミネラルウォーターも様々です。ここで申し上げたいのは海洋深層水ですが、そもそも海水は塩分が多いのでそのままでは飲めませんので、様々な方法で塩分を取り除き陸水を加えています。平成13年に公正取引委員会から「飲用海洋深層水の表示について」がガイドラインとして示され、最近は衰退気味です。
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13 海水の成分から塩分を全部取って、ミネラルを残すとすると、ホウ素が5mg/Lくらい、水道水の5倍くらい残ります。ミネラルウォーターの基準は水道水より緩いので、これでも認められるわけです。水道水の基準は1日2Lくらい飲むことを前提に作られていますが、ミネラルウォーターは嗜好品ですので、1日ボトル1本くらいしか飲まないとして基準が作られているのです。ですから、ミネラルウォーターで味噌汁を作ったりお米を炊くようなことは想定されていないのです
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14 先ほども申しましたが、一般にリスクと経済活力の間はものすごく相関が深く、GDP(国内総生産:PPP(購買力平価説)でドルに換算)が、5000ドルくらいになると水道が普及します。ところが8000〜10000ドルになると公害が発生しはじめ、15000ドル以上になると公害問題が解決してきます。20000ドルくらいになると大量生産・大量消費となるのでゴミ問題が起きてきます。
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15 日本のGDPはどのように上がったかを見てみますと、1960年は日本:スェーデン:USAは1:2:3の割合でしたが、1985年にはスェーデンに追いついた状態で、1970年頃に著しい成長をしています。1970年代に15000ドルになり、その頃から公害問題は解決の方向に向かっています。
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16 これは、環境省ができた1971年以降の水質基準未達地点の割合ですが、1971年時点では鉛で1.5%くらいが基準を満たしていませんでしたが、その後10〜15年ですみやかに低下しており、ほぼ改善されています。
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17 アスベストの例を調べてみても、一番使っていたのは1970年代で、経済成長の時期には安価で高性能のアスベストは最適な材料だったわけです。毒性の高い青石綿が1970年代で消えて、毒性が1/500くらいの白石綿も、日本はすぐに止めなかったので問題にはなっていますが、順調に下がってきています。
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18 同じ様な傾向が、母乳中のダイオキシン濃度についても言えます。これは環境省のデータですが、やはり1970年頃のダイオキシン濃度は高くて、その後下がっている状況です。
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19 ダイオキシン類の放出量の推移をみると、1970年代以前は、除草剤中の不純物やPCBなど、焼却以外が主な発生源となっていました。焼却由来のダイオキシンは徐々に増加し、1997年がピークで、最も騒がれた1999年には既にピークは過ぎていました。本当にダイオキシンが危険であれば、1970年代に大きなリスクがあったと考えられます。ダイオキシンの一番目立ったリスクはガンのプロモーターと言われていますが、実際には影響は見えにくいと思います。そうでないとすると、環境ホルモンとしてダイオキシンが疑われていました。「奪われし未来」が出たのが日本では1997年でした。環境ホルモンが本当だとすると、ダイオキシンは男性を女性化すると言われていたので、1970年頃生まれた男性が女性化しているか、本当はきちんと影響を見るべきでしたが評価されておりません。
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20 ウクライナのユシチェンコ大統領の暗殺未遂事件では、我々が普段摂取しているであろうダイオキシンの4万年分くらいが、スープに混ぜられて飲まされたと言われています。彼が亡くなる時の死因が何かは、非常に気になります。
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21,22 日本ではバブル景気の時期に廃棄物が増加し、問題となりましたが、廃棄物最終処分量は1991年をピークに下がってきており、ゴミ問題も解決の方向にあると言えます。
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23 トータルで見ると、ローカルリスク(ダイオキシンとか環境ホルモンなど)は下がってきており、今やグリーンゾーンにあります。最終処分地のリスクも1991年をピークに下がっている状況で、今はリスクがない状況といえます。しかし一方、あまり顕在化はしていませんが、グローバルリスク(鳥インフルエンザや食料不足、人口問題など不明な部分もありますが)が増加しているのが今のリスクの状況です。
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24 ローカルリスクに戻りますが、どのようにローカルリスクが落ちていくかを見ると、発展途上国はレッドゾーンにありますが徐々に低下しています。多くの途上国はまだ危険残留のレベルですが、WHO基準などの国際基準に達すると、その先は実質安全、日本はもっと先の先進国の過剰な対策まできています。この先、リスクをさらに下げようとするとリスクのトレードオフが起き、今悪くなりつつあるグローバルリスクをさらに加速することになりかねません。これ以上リスクを下げることは考えないでくださいと、私は申し上げています。
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25,26 そもそも環境問題は、2種類のリスク=個々人(今生きている我々)の命のリスクと集合体としてのヒトのリスク、が関与しています。もう1つ、生態系の劣化もリスクではありますが、現時点ではあまり考慮されていません。個々人のリスクはローカルリスク、集合体のリスクはグローバルリスクと考えられます。しかし、個々人には寿命があるので、個々人のリスクを深く考えても意味がないということになります。一方、集合体のリスクは300年くらい先のことを考えなくてはいけなくて、まったく観点が異なります。
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 3)リスクとは何か?
27 では、リスクとは何かということですが、リスクの定義は何種類かあります。専門家の考えるリスクは、「ある出来事の危なさ×起きる可能性×被害の蒙りやすさ」で表されます。市民団体の考えるリスク、しばしばメディアがこの考え方をとりますが、「出来事の危なさ×社会の不条理」で表されます。社会の不条理とはしばしば商業主義であったり、政府の対応の悪さであったりします。
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28 台風のリスクを考えてみると、「台風の強さや大きさ×進路が自分のところに来るか×防災体制」で表されます。一般に、いくら大きい台風でも自分のところに来なければ問題ないと考えます。一方、アメリカのカトリーナの被害のように防災体制に不備があれば、大きな被害が出るわけです。日本のインフラは劣化してきているので、今後心配です。市民団体型の定義は、「台風の強さや大きさ×政府の対応の悪さ」で、カトリーナの場合も、大きな台風がきて、政府が対応しなかったから悪いと言われています。
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29 化学物質系のリスクも実は同様なのですが、専門家型は、「化学物質の毒性×どのくらい摂取するか(暴露量)×体質的な敏感性」で考えます。体質的な敏感性については、常に10〜多くの場合100倍程度の安全係数を組む。市民団体型の場合は、しばしば商業主義的なことが盛り込まれます。
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 4)リスクを過度に心配する理由
30 今まで述べたように、リスクはけっこう難しい掛け算なのでわかりにくく、過度に心配する理由はたくさんあります。リスクを1つ1つつぶせば、過度に心配することはなくなるわけですが、そんなことが本当に可能かを以下に述べたいと思います。
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31 まず最初は、リスクの大きさに対するイメージがないということです。安全圏がこのくらいという感覚を持つことができれば、安全圏以下なら仕方がないと諦めることもできます。
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32 安全圏はどのくらいかとなると、先のグラフで国際標準を切ったあたりからが実質安全となりますが、日本は勿論、WHOあたりも安全圏を下げる方向に動いています。その理由は、敏感な人間が増えていること、長生きになったことで、リスクを下げざるを得ない状況になっています。他の病気が克服されると、全ての死亡率を下げる方向に動くのは仕方がないことです。
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33,34 具体的に、レッドゾーンからグリーンゾーンがどのようになっているかですが、10万人あたりの死亡数を見ると、世界で1番は飢餓、次いで喫煙、がん、肥満、心臓病・血管関係の病気、アルコール飲料の順で、このあたりまでがレッドゾーンです。それ以下はかなり低くなって、ダイオキシンなどの有害物質は、もうグリーンゾーンといって良いと思います。飢餓のリスクを地球から月までの距離とすると、BSEのリスクは10円玉の直径くらいです。この表のどの辺に入っているかの感覚が重要です。
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35 実は、先日驚いたのですが、中国からオゾンが流入しているというのは知られている話で、関西では光化学スモッグが発生している、九州ではかなりひどいと言われています。それによる過剰死亡のリスクは、新聞の推測では2030年に10万人に8人、すなわち交通事故のリスクと同じくらいで、レッドゾーンです。環境問題はこのへんが大きな心配事です。
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36,37 このようなことを含めて不明なこともありますので、市民社会に私がすすめているのが、不安係数を掛けることです。リスクの実態は先ほど示した死亡数に近いと思いますが、それで良いのかと言われると難しい部分があります。たとえば化学物質ですと、死亡のリスクの1/100位の所に無影響量があり、その1/100くらいの所に安全量があります。ですから、死亡からみると1/1万くらいの濃度に安全なところをセットします。ですから、1万倍くらいのズレがあるのかもしれません。いずれにしても、先ほどの死亡数を基に不安係数を掛けていただいて結構です。不安係数を掛けてもレッドゾーンのものが一気に安全になるわけではありません。不安係数の値は知識によって決まりますが、実リスクは決してゼロにはなりません。たとえリスクが低くても、心配であれば仕方ないことです。
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38 不安に対処するにはお金がかかります。先日のギョーザの話もそうですが、全数検査をすればコストがかかり、輸入する意味がなくなってしまいます。 限られた財源を考えると、やみくもに安心係数を高くするのではなく、どこにどう使ってトータルリスクを減らすかが重要です。
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39〜42 次に、リスクのトレードオフがあります。高いリスクは、それを減らすことが可能で、我々はずっとそれをやってきたわけです。しかし1つのリスクを減らすと、他のリスクが高くなってくることがあります。レッドゾーンにあるようなリスクを減らすことは必要ですが、グリーンゾーンに近いようなリスクを下げようとすると、他のリスクがすごく高くなる可能性があることを覚悟した方がよいと言えます。
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43〜45 理由その3として、ヒトの死なない社会があります。日本はヒトの死なない社会を作り上げてきました。GDPと平均寿命はかなり相関が高く、GDPが高いほど長命ですが、残念ながらいくらでも伸びるものではありません。裕福であっても平均寿命80歳を超えることは、なかなか難しい状況です。日本は特異的に寿命が長い国で、1947年の平均余命は男性50歳、女性54歳だったのですが、その後50年で男性は27年、女性は30年伸びたことになります。50年間で30年寿命を延ばすのは本当に大変なことです。
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46,47 ところが最近、自分の体は繊細だと思っている人が増えています。ヒトは高級哺乳類だから繊細だと思っているようですが、実は全く間違いで、高級哺乳類は実は鈍感です。何故かというと、それだけ優れた防衛システムを持っているわけで、だからこそ地球上にこれだけはびこることができたわけです。1899年〜1998年の乳児死亡率の推移をみますと、1899年は200/1000だったものが、100年後は3/1000まで落ちています。すごく良いことですが、その差197人は、例えば強度のアレルギーを持っている可能性があります。アレルギーは世の中が安全になればなるほど出てくるものですが、日本人は全員アレルギー体質になりかかっているといえると思います。したがって、いろいろなものの安全性を高めていくことは仕方のないことです。
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48 次が、思い上がりです。人類には、安全で上等な専用の食料が用意されていると思っているフシがあります。したがって、食べ物は安全だ、しかも天然物は安心だと思っているようです。しかし、人類は地球上の生態系で最後に出現したわけで、そこに存在している生命を食べて生きてきました。過去の人間が間違ったものを食べて死んだ歴史を重ねて適応してきました。そもそも、食べ物はリスクです。では、なぜ食べるかというと、食べない方がリスクだからです。
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49 輸入食品にも当然リスクはありますが、輸入しないと高くつくという別のリスクがあり、もしかすると、輸入できなくなることが最大のリスクかもしれません。
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50 実は、リスクはヒトに内在したものもあります。乳がんに関与する女性ホルモンや、老化の原因といわれている活性酸素は、次世代を残すうえで必須の物質です。これらを考えてみても、決してリスクゼロということはありません。
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51〜55 最後に、非常に大きい問題として、公への不信感があります。
政府がやっていることは、このグラフのどの辺か考えてみますと、最近、亜鉛の環境基準ができ、その後、排出基準ができました。この排出基準の値2mg/Lは、先ほどのミネラルウォーターの基準5mg/Lより低い状況で、環境省はここまで厳しい規制をしています。これは、人間にとってのリスクは既に関係なくて、水生生物に対するリスクを考えた規制となっています。環境ホルモンのリスクも、水生生物について検討していたのであって、哺乳類に対する影響はないといえます。
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 5)結論
56 結論として、喫煙とアルコールを許容している限り、他のリスクを問題とすることは無意味なレベルです。また、細かいことを気にしすぎるとストレスを受け、その精神的リスクはすごくリスキーです。考えなくてはならないことは地球環境、さらにインフラの整備の方が重要かもしれません。先にお見せした、横軸に知識量、縦軸に不安度をとった時に、どうしても知識量の中間に不安度のピークがあり、多くの人をピークの右側の知識量に持っていくのは必須と考えますが、これは易しいことでしょうか。
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