日本石鹸洗剤工業会(JSDA)
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2006年3月15日更新
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参照カテゴリ> #03.洗濯 

*全自動洗濯機と洗濯乾燥機の普及と洗濯行動の変化

洗たく科学専門委員会
井手 一敏

(2005/11/24開催)

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1) 所有洗濯機の変化
2) 洗たく行動の変化
3) 室内干しや乾燥機の使用実態
4) 次回購入したい洗濯機

 日本石鹸洗剤工業会の洗たく科学専門委員会では、洗濯乾燥機の登場や全自動洗濯機の高機能化による洗濯行動の変化を把握することを目的とし、今年度、洗濯実態調査を実施いたしました。ここでは、1991年と2000年の当工業会の洗濯実態調査と比較し、経年変化として重要と思われる点を中心にお伝えします。
調査の概要
●調査地域 2005年5月
●調査方法 首都圏40km圏内
●調査期間 訪問留置法
●調査の内容 アンケート調査
日記調査(洗濯ごとに記録票にその内容を記録)
●調査対象者 全自動洗濯機(洗濯乾燥機を含む)を最近5年以内に購入した世帯
アンケ−ト調査207人  日記調査103人

 洗濯は生活を清潔に、快適に維持していくうえで欠かせない大切な家事のひとつであり、日本の家庭ではほぼ毎日洗濯が行なわれています。
 その家庭洗濯を取り巻く環境はどんどん変化しており、なかでも洗濯機は、大容量化、節水化、時間短縮化、低騒音化の進行、さらにはドラム式洗濯機、洗乾一体型の洗濯機などの新しいタイプの洗濯機の登場と、めまぐるしく変化しています。また、洗濯習慣では、お風呂の残り湯を洗濯に使用する家庭、ならびに夜洗濯する家庭の増加もみられます。このような変化は洗濯行動にどのような変化を与えてるのでしょうか。

 1) 所有洗濯機の変化
1-1.洗濯乾燥機の普及拡大
 2000年頃から洗濯機は乾燥機能を搭載した洗濯乾燥機の時代に入りました。日本の住宅構造にも適合する低騒音・低振動のドラム式洗濯乾燥機の発売や、従来型の縦型洗濯機に乾燥機能を初めて搭載したものも登場しました。2002年には、少量のみ乾燥できる簡易乾燥機能(風乾燥や温風乾燥)を搭載した全自動洗濯機が発売され、洗濯乾燥機および乾燥機能付き全自動洗濯機の市場が更に活性化されています。
 今回の調査では、洗濯乾燥機所有者が19%、その内ドラム式洗濯乾燥機所有者が8%であり、ここ数年で洗濯乾燥機が急速に普及したことがわかりました。また、全自動洗濯機の中でも乾燥機能付きが増え、今後、家庭内で乾燥機を使う場面が増えると予想されます。
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1-2.洗濯機の大容量化が明確に
 一度にたくさん洗いたい・大物も自宅で洗いたいという要望に応え、洗濯機の大容量化が進んでいます。今回の調査対象者の所有洗濯機でも、7kg以上の大容量洗濯機の所持率が約67%となっています。2000年の調査結果と比較すると洗濯機の大きさが約6.0kgから6.8kgとなり、この間に大容量化が着実に進行している様子が伺えます。現在の洗濯機の主流は、洗濯機に記載の洗濯容量が7kg〜8kgであり、今後も大容量化が進むものと思われます
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1-3.洗濯機の搭載機能
 洗濯機には様々な付加機能があり、従来の節約機能に加え、乾燥機能、除菌機能、洗剤ゼロコ−ス等の機能が新たに加わってきました。特に、乾燥機能や除菌機能はこの5年間での普及を考えると多くの機種に搭載され始めたことがわかります。このことからも、洗濯機に求められる機能は、徐々に変化してきていることがわかりました。
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 2)洗たく行動の変化
2-1.洗たく習慣の変化〜日常の洗たく行動
 洗濯機の大容量化に伴い、洗濯物を数日分まとめて洗う「まとめ洗い」が進行していないか、2000年と2005年の洗濯日数や洗濯回数を比較しました。特に顕著な変化は認められず、ほぼ毎日洗濯していました。まとめて洗うと干す場所がないことや、洗濯物をためておくことへの抵抗感が影響していると思われます。
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2-2.分け洗いの実施状況
 分け洗いの実施状況を1991年、2000年、2005年とで比較しました。分け洗いの基準はほとんど変わらないものの、分け洗いの実施率は減少傾向にあることがわかりました。
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2-3.洗たく物量の変化
 日記調査の結果より、一週間あたりの洗たく物量を1991年、2000年、2005年とで比較しました。洗濯機の大型化により、一週間の洗濯回数は徐々に低下してきていますが、洗たく物量は逆に徐々に増加する傾向にあることがわかりました。日本人の強い清潔嗜好と「着たら洗う」「使ったら洗う」といった習慣の拡大、あるいは、ファッションのカジュアル志向や大物も家庭で洗える洗濯機の登場も洗濯物量の増加に寄与しているものと考えられます。
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2-4.洗濯条件の変化〜浴比〜
 近年、全自動洗濯機の設定浴比は低浴比化が進んでいます。洗濯物を詰め込み浴比が低下しすぎると、汚れ落ちが低下し、洗いムラが大きくなる傾向があります。特に、浴比1:10を下回る場合には、その傾向が顕著になることが知られています。日記調査の結果から、2000年に引き続き、2005年も平均浴比は1:15.6となっおり、汚れ落ちの低下を起こさない範囲で推移していました。しかし、実際の洗濯における浴比分布を調べると、浴比が1:10を下回るケ−スは2000年に続き、約15%あり、汚れ落ちや洗いムラが懸念されます。
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2-5.洗濯条件の変化〜洗濯する時間帯〜
 2003年の第46回クリ−ン調査-洗濯・掃除行動に関する調査デ−タ(18時以降に洗濯物を干す OL44% 有職主婦16% 専業主婦8% 主婦計12%)と比較すると、今回の調査では平日夜18時以降に洗濯する有職主婦は41%、専業主婦は26%であり、夜洗濯が増加していることがわかりました。洗濯を従来のように昼間せず、早朝や夜間にする人が増え、干し方も含め洗濯のスタイルが徐々に変化してきているのではないかと考えています。
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2-6.洗濯条件の変化〜洗濯使用水〜
 風呂の残り湯の利用率は、2000年と比較して増加する傾向にあります。風呂水利用率は、洗濯時で57%、すすぎ1回目で27%でした。一方、最終すすぎでは、98%が水道水を利用しています。節水・節約意識の高まりから風呂水ポンプの利用率が高いものの、同時に衛生意識も高まっており、最終すすぎには水道水しか使わないようにしているものと思われます。
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2-7.洗濯条件の変化〜洗濯機の自動設定の変更〜
 全自動洗濯機では、衣料重量が自動計量され、その値から洗い時間や水量(水位)自動で設定されます。また、標準コ−スでは、一定のすすぎ回数が指定されています。今回、洗濯機の自動設定を変更しているかどうかを調べてみました。すすぎ回数については、“回数を増やす”(9%)、“回数を減らす”(7%)であり、大半の人は洗濯機の設定を変えないことがわかりました。一方、水量(水位)については、“水量を増やす”(30%)、“水量を減らす”(5%)であり、低浴比での水量不足を気にしてか、水量を増やす人が多いことがわかりました。洗い時の衣料の動きをよく観察して、低浴比になり過ぎないように意識しているのではないかと思われます。
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2-8.洗濯条件の変化〜洗剤使用量の決定方法〜
 洗剤使用量の表示について、生活者が洗剤の裏能書と洗濯機パネルのどちらを参考にするかを2000年の調査との比較で示しました。2000年調査とは異なり、洗剤裏能書を参考に決める人(53%)が洗濯機パネル表示を参考に決める人(44%)を上回り、逆転したことがわかりました。理由として、コンパクト洗剤の使用量の目安表示が多様化したことや計量スプ−ンの多様化により、一つのスプ−ンサイズに合わせた洗濯機のパネル表示だけでは対応できないため、洗剤の裏能書を参考にするように変わってきたと考えられます。また、洗剤使用量の調節の有無について聞いてみると、生活者の62%は自分の判断で使用量を変えています。その理由は、汚れ具合に応じて変える人が63%、洗濯物の量が59%、水位が37%となっていました。洗濯機のパネル表示や洗剤の裏能書だけでは情報が不充分であり、生活者は日々の洗濯経験によって情報を補い、使用量を調節しているものと思われます。
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2-9.洗濯条件の変化〜洗剤使用量〜
 日記調査の結果から、生活者が実際に洗濯する際の洗剤使用濃度(標準使用濃度比)を調べました。2000年調査時の平均が標準使用濃度の1.24倍であったのに対して、2005年では1.28倍とほぼ同じ濃度で推移しています。衣料量や汚れ量が多いときは、標準使用量より若干多めの使用が効果的です。但し、洗剤の使いすぎは、不経済、すすぎ不足になるので適正な使用量を守るよう心がけましょう。
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 3)室内干しや乾燥機の使用実態
3-1.洗濯物の室内干し
 室内干ししている人は全体の約9割ですが、その頻度については、毎日する人と平日する人を合計しても約5%にすぎず、何らかの理由がある場合に限って、室内干しすることがわかりました。室内干しする理由については、“雨や雪で外に干せない”(93%)、“風が強くて干せない” (47%) という内容以外に、“花粉症なので” (31%)、“夜干すので” (24%)が意外に多いことがわかりました。過去の調査結果はありませんが、夜洗濯する人や花粉症の人が増えているので、今後この傾向は更に増えるのではないでしょうか。
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3-2.洗濯物の室内干し時の工夫
 室内干しの時に乾燥を早くするために使う機器については、“衣類乾燥機や洗濯乾燥機” (23%)、“エアコン” (22%)、“除湿器” (19%)、“扇風機”(14%)と何らかの機器を利用して、乾きを早める工夫をしていることがわかりました。
 次に、室内干し時に使用する剤については、“特にない” (63%)が最も多いものの、部屋干し表示のある洗剤” (19%)、“除菌表示のある洗剤” (16%)、“抗菌表示のある柔軟剤” (10%)が挙げられ、室内干し時の菌による悪臭を避けるために、使用する洗剤や柔軟剤を選んでいる人がいることがわかりました。
 一方、消臭スプレ−剤の利用はほとんどありませんでした。
 更に、室内干し時に洗濯工程で工夫する内容については、“特にない” (79%)が最も多いものの、“脱水時間を長めにする” (13%)と、通常の洗濯工程を一部変更する人がいることがわかりました。しかし、乾燥機能や除菌コ−スを室内干し時に利用する人は、ほとんどいませんでした。
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3-3.衣類用乾燥機の所有率
 家庭内で使用する衣類乾燥機や洗濯乾燥機(乾燥機能付き洗濯機を含む)の所有状況を調べたところ、何らかの衣類用乾燥機を持っている人が約5割いることがわかりました。なかでも、洗濯乾燥機の割合が高いことから、この5年間で急速に普及したものと思われます。
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3-4.衣類乾燥機や洗濯乾燥機を使用する理由
 衣類乾燥機や洗濯乾燥機を使用する理由にとして、“雨の日は乾かないので”(25%)という理由以外に、“花粉症やアレルギ−があるので“(17%)、“ふんわり仕上がるので”(11%)、“干す手間が省けるので”(6%)、 “夜洗濯することが多いので”(6%)が挙げられています。乾燥機を利用することによる利便性や仕上りの良さにも魅かれていることがわかりました。今後、更に洗濯乾燥機が普及することにより、乾燥機の利便性や仕上りの良さを認知し、家庭内での乾燥機の利用率が増えるのではないでしょうか。
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3-5.洗濯乾燥機を使って気づいた点
 洗濯乾燥機を使って気づいた点については、
  1位 乾燥に時間がかかる  62%
  2位 ふんわり仕上がる    38% 
  3位 費用がかかる      36%
  4位 干すよりもシワが多い 33%
 と、乾燥機を使うことでふんわり仕上がるメリットを実感しているものの、乾燥時間の長さや電気代を考えると頻繁には使えないという実態がわかりました。また、乾燥後の衣料の仕上りが悪く、シワになりやすい欠点も認められました。乾燥上がりのシワについては、非常に深いシワが残るため、ワイシャツ、ブラウスなどには向いていません。
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3-6.洗濯乾燥機にしてから変わった点
 洗濯機から洗濯乾燥機に変えてから洗濯行動で変わった点については、“季節・天候で使い分けるようになった”(53%)、“雨の日にも洗濯するようになった”(38%)と、乾燥機のある安心感から、いままで洗濯を避けていた雨の日にも洗濯するように変わったことがわかりました。
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 4)次回購入したい洗濯機
4-1.次回希望の洗濯機
 今後の洗濯機の購入意向を調べるために、次に購入したい洗濯機や洗濯乾燥機のタイプを聞いてみたところ、洗濯乾燥機を希望する人が約6割、なかでもドラム式洗濯乾燥機を希望する人が約5割いました 。
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4-2.調査結果のまとめ
 大きな変化としては、洗濯機の大容量化・低浴比化による分け洗い頻度の減少や、洗濯機の自動設定より洗濯水量を増やす人が意外に多かったことが挙げられます。また、夜洗濯する人は徐々に増えていることも最近の特徴です。衣類用の乾燥機 の所有率は約5割あり、洗濯乾燥機の普及が寄与していました。また、乾燥機を利用することによる利便性や仕上りの良さを実感していることがわかりました。更に、洗濯乾燥機購入者の約1/3は、乾燥機能がいつでも使える安心感から雨の日も洗濯するように変わったことを挙げていました。
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