日本石鹸洗剤工業会(JSDA)
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2005年9月15日更新
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参照カテゴリ> #03.化学 #02.安全 

*洗剤や化粧品成分の安全性 ―国際的に進む点検の状況とリスクコミュニケーション―

環境・安全専門委員会
笠井 裕

(2005/6/24開催)

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1)安全性確認の基本的な考え方
2)ハザード評価とリスク評価
3)パブリック・リレーションの重要性
4)世界の同業他社との協同作業

 1) 安全性確認の基本的な考え方
1-1.安全性は、配合成分と最終製品の両方で評価される
製品の安全性は配合成分と最終製品で評価されます。使用する成分は、発がん性など回復が不可能な作用をもっていないことが最重要です。もちろん、そのような作用が見つかった場合は配合成分としては使うことはできないことになります。安全性が確認された成分の配合による最終製品は、実用試験やモニターによる使用場面等での確認のうえで上市されます。
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1-2.初期リスク評価で利用されるデータ
OECD(経済開発協力機構)の場合は、表のような初期リスク評価のデータを確認しています。
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1-3.家庭用品の安全性保証
化粧品や洗剤などの家庭用製品は、メーカーの意図した通常使用時の安全性はもちろんですが、メーカーの意図しない。使い方ではあるが、容易に予見可能な誤飲・誤用時が生じても、問題ないように考えられています。
メーカーの意図外であり容易に予見できない使い方や異常な使い方による安全性の保証は困難になります。
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1-4.通常使用時における評価項目
家庭用品の通常使用時における安全性の評価項目としては、全身への影響、皮膚への影響、目への影響、胎児への影響がチェックされます。
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1-5.誤飲・誤使用時の評価項目
誤飲・誤用時については、経口による急性毒性、眼の刺激性の評価項目があります。
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 2)ハザード評価とリスク評価
2-1.ハザードリスクとは
(家庭用品の)リスクとは、製品が持っている"危険性"がリアル(現実的に)起こるかどうかを見積もること"です。危険性が現実化するには、接触(暴露)が必要であり、暴露は消費者による製品の使われ方に依存するため、メーカー側での制御はできません。
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2-2.暴露に関する最重要因子のひとつは消費者の使い方
化粧品や洗剤等の家庭用品は、通常使用では曝露量として問題はなく、容易に予見できる誤使用範囲においても問題となる曝露量とはなりません。
しかし、消費者が弱い刺激性のものでも長時間接触したまま放置したり、使用後洗い流すべきものを流さず放置したり、用途外部分に使用した場合は問題となります。
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2-3.リスク評価の考え方
製品のリスク評価は推定無毒性量と推定曝露量との比較において行います。
各項目の毒性試験データにより有害性評価を行い、またヒトや環境中の生物に対して容量・反応確認により無毒性量を
推定し、一方環境中の濃度測定により、ヒトや環境中の生物への曝露量を推定します。
推定曝露量が推定無毒性量に比べ小さい場合はリスクが低いと判断します。
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 3)パブリック・リレーションの重要性
3-1.パブリックリレーションの重要性
製品に関する安全性評価の情報は社会に広く伝える必要があり重要です。
伝えるべき主要な対象はメディア、消費者、NGOが考えられます。
メディアからの情報は消費者への影響力が大きく、情報の伝え方で消費者の受け入れせいは全く異なってきます。
また、メディアの結論は"公の論理"として権威づけされる場合があります。
消費者はメディアの意見に流されたり、部分的な情報で全体を評価したりすることがあります。
NGOは専門性が高く、その意見は国民の意見の一つでもあると考えられます。しかし中には消費者を煽動する"攻撃的NGO"もあるので見極めたうえでの対応が必要になります。
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3-2.日用家庭用品の安全性の問題
化粧品、洗剤等の日用家庭用品は性能や安全性、ことに安全性が話題になりやすいといえます。
身近な家庭用品の不安感の話は刺激的であり、企業のマイナス面と結びつけると話題性が高くなるといえます。
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3-3.日用家庭用品の安全性の問題と共通の対応
化粧品や洗剤についてのパブリックコミュニケーションの姿勢としては、科学的合理性があり、相手が理解できる内容言葉で、正確かつ迅速な回答が必要です。企業あるいは業界の、安全性確保のための真摯な努力が理解されるよう伝えていくことも重要です。
洗剤問題に対して、日本石鹸洗剤工業会は界面活性剤の人体安全性問題に始まり、河川の発泡問題、環境安全性問題やリンによる富栄養化問題等に業界全体として真摯に対応し、消費者の理解を得られるよう努力してきました。対応の基本は科学的根拠によるデータの積み重ねであると考えています。
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3-4.日本石鹸洗剤工業会のこれまでの取り組み
日本石鹸洗剤工業会では水環境や人体安全性については、提起された問題に対して反論するのみではなく、積極的に安全性試験による安全性確認、環境モニタリング調査を行い、科学的根拠データの蓄積に努め、また製品の改善にフィードバックしてきました。このような対応は日本のみではなく海外の工業会でも同様に行われてきました。得られた情報については、冊子やホームページを通じて開示をし、コミュニケーションを図ってきています。
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3-5.なぜパブリックリレーションが問われるようになったか
パブリックリレーションは、"知る権利"の確立とともに重要性が増してきたといえます。
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3-6.アジェンダ21
このような考え方は、1992年リオで行われた環境サミットのアジェンダ21での安全性に関する国際的合意によっています。
そこには今我々が考えなければならない「知る権利」「予防原則」「持続ある成長」のベース(図の円の中心)があり、さらに、6つ具体的な"実施すべき項目"が決められています。
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3-7.アジェンダ21の国際的合意
アジェンダ21の持続ある成長の図の中で、赤で示した項目は今後取り組んでいくもの、緑で示したものは既に導入されているものです。
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3-8.アジェンダ21の影響
アジェンダ21の影響はもともとは化学物質の管理であり川上である化学工業会が主体であったが、次第に原料使用量が多くエンドユーザーに近い川下の洗剤工業会に及び、さらに原料使用は少量であるが多品種におよぶ化粧品工業会にも波及してきました。
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3-9.パブリックリレーションの最重要因子
パブリックリレーションにおける最も重要な因子は「透明性の確保」にあります。
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3-10.透明性を支える4つの因子
透明性を支える因子としては、公開性、説明責任、公平性、追跡性であります。
透明性を支える4つの因子は、それぞれ一つが欠けても消費者の不信感を招き、信頼性の低下につながってきます。
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 4)世界の同業他社との協同作業
4-1.洗剤原料の自主管理
洗剤原料の自主管理として、欧州、米国、日本がそれぞれプロジェクト、点検作業として取り組んでおり、最終的にはOECDのHPV安全点検作業へ参画し反映されます。
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4-2.欧州 洗剤関連原料のヒト及び環境安全性評価
欧州での洗剤原料安全性評価プロジェクトとしてHERA(洗剤関連原料のヒト及び環境安全性評価)があり、これは1999年に欧州化学工業会と欧州石鹸洗剤工業会が協力して取り組みを開始し、2005年には主な洗剤原料のほとんどの評価を終了しています。このようなHERAでまとめた安全性アセスメント情報を欧州の他の化学業界も含めたREACHへ反映させることも狙いとしています。日本や米国の石鹸洗剤工業会もHERAの運営委員会に参加し、情報を共有し、互いに活用を図っています。
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4-3.地域を越えた協調
グローバル化された世界の中で、"洗剤"という家庭用品を共通ベースとして、日本、欧州、米国の石鹸洗剤工業会が毒性データ、リスク評価、リスク評価手順の開発を共有化し、地域を越えた強調をすすめています。
ある地域で発生した問題は遠からず他の地域にも波及することは容易に考えられ、相互に即座に情報を把握し、共通ベースでコメントできることを想定した連携をすすめています。
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4-4.OECD HPVの安全性点検作業
HPVの安全性点検作業は、洗剤の場合米国が中心的役割をもってすすめています。
日本も含め欧州の企業がこれに自主的に参画しています。
これらの結果が最終的にHERA等1業界としてのみではなく、より権威のあるOECDとして認知されるようにすすめています。
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4-5.OECD/HPVプログラムの流れ
OECD/HPVプログラムは、まず化学物質の既存データを収集し、データの適正評価を行いスクリーニングデータ集の作成(SIDS)を行ないます。必要に応じSIDS試験を実施し不足データを補充します。
次にSIDS初期評価書(SIAR)とSIDS初期評価書の要約(SIAP)を作成します。作成は国ではなく企業が担当します。
SIDS初期評価会議(SIAM)を経てSIAPを公表します。
ICCAが協力する場合も流れは基本的に同じです。
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4-6.初期評価会議SIAMでの評価分類
SIDS初期評価会議(SIAM)での評価分類は、判定a):現状ではリスクが低い 判定b):追加の曝露情報、毒性試験が必要 のいずれかとなります。
判定a)の場合は、IRPTC(国際化学物質有害性情報登録制度)より公式レポートとして出版され、WEBへの掲載もされます。
判定b)の場合は追加試験、曝露情報が収集され、再度評価レポートが作成されることになります。
因みに、LASは2005年4月に、判定a)と評価されました。
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4-7.LASに関するOECD評価結果
LASに関するOECD評価結果のWEBによるレポートページ
2005年8月にSIAPが公表されました。
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4-8.LASの安全性評価の例
LASの安全性評価における、地域を越えた連携とOECDの評価と結論の共有全体図
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4-9.日本石鹸洗剤工業会のリスク評価
PRTR法で指定されている4種の界面活性剤のリスク評価の結果、人健康影響においても、水環境影響においてもHQで1以下、
PEC/PNEC比においても1以下であり、リスクは小さく安全性の懸念はないと判断されます。
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4-10.界面活性剤のモニタリング調査
化学物質排出把握管理促進法の対象物質となっている界面活性剤に使用されている主要洗浄成分について、ハザードデータの収集と評価、環境モニタリング並びにそれらの環境及び人の健康影響に関するリスク評価を行い、結果を公表しています。
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4-11.日本石鹸洗剤工業会の環境・安全に関する基本理念
日本石鹸洗剤工業会の環境・安全に関する基本理念は、"製品の製造、流通、消費、廃棄のすべての段階で環境およびヒトの健康に配慮した製品作りを行う"ことであり、継続してこれを実践していきます。
今後は製品の安全性点検作業の継続、拡大。PRTR法施行と対応物質のリスク評価の継続、HPVイニシアティブへの取り組みを重点的にすすめていきます。
日本石鹸洗剤工業会は、これらの対応について国内(ローカル)のみならず、グローバルな協調をより積極的にすすめていきます。
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