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2003年12月15日更新
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*意外と知られていない洗剤の大切さと水環境への影響

B. 洗剤の水環境への影響

環境・安全専門委員会
西山 直宏

(2003/7/28開催)

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1)ハザードからリスク評価へ
2)環境排出の現状
3)下水処理場などにおける微生物分解
4)環境中での存在状態の調査(モニタリング)
5)生態リスクの評価

 1) ハザードからリスク評価へ
ハザードからリスク評価へ
化学物質の安全性を評価するには、化学物質に固有の毒性(ハザード)評価のみによるのではなく、暴露状況を考慮した実際場面のリスク(悪影響を及ぼす可能性とその程度)を評価する必要があります。洗剤についても同様です。


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 2)環境排出の現状
洗剤の販売量
2001年度の洗剤関連品の販売量は製品として約163万トンでした。そのうち衣料用合成洗剤が最も多く、約61万トンで37%を占めています。


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界面活性剤の環境排出量
2001年度に工場などの事業者と家庭から環境へ排出された界面活性剤量がPRTR制度に基づき推計され、2003年3月に公表されています。LASは合計約3.3万トンでした。


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洗剤の環境排出経路
洗剤は使用後家庭排水となりますが、その74%(全国平均)は直接環境に排出されるのではなく、公共下水道や合併浄化槽などの水質浄化施設で処理を受けてから排出されています(2001年度)。


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生活排水の水質汚濁負荷
生活排水中の汚濁負荷は台所、トイレ、風呂からの排水が大きく、洗剤の有機物に由来する負荷は生活排水中の約12%と見積もられています。


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 3)下水処理場などにおける微生物分解
下水処理施設の仕組みと機能
生活排水が公共下水道を経て、下水処理施設に入った場合、有機物(指標: BOD)は96.5%除去されます。


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下水処理場における界面活性剤の被処理性
下水処理施設による界面活性剤の除去率を1月および4月に、実際に測定した結果、LASでは99.5%以上、AEでは99.9%以上除去され、BODと同等かそれ以上であることを確認しました。


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微生物による分解とは
有機物は微生物により官能基の離脱や酸化などの反応を受けて分子構造が変化します。この分解が更に進むと最終的には二酸化炭素、水等の無機物になります。


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活性汚泥処理によるLASの生分解性
下水処理施設の活性汚泥を用いたLASの処理性は、除去率が約90%、二酸化炭素への変換率は約80%です。LASは下水から取り除かれ、無機物に分解されます。


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汚水処理整備率の上昇
下水処理施設の整備率は過去数十年間上昇を続けています。2001年度においては74%に達しています。


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下水道整備によるLAS濃度の低下
多摩川のLAS濃度の経年変化を多摩地区の下水道未処理人口の経年推移と対比してみると、未処理人口が約40万人を切った1998年以降、河川中のLAS濃度が顕著に低下しています。


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河川での界面活性剤の濃度低下
実際の河川水を採取して界面活性剤の消失の速さを調査しました。24時間後にLASで約50%、AEでは10%以下しか残存しておらず、河川を流下する間に河川水中の微生物などの作用により濃度が低下することが示唆されます。


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河川でのLASの生分解性
同様に河川水を用いて、LASの二酸化炭素への変換率を調べると2日で約60%、7日で約80%に達します。河川水でもLASは無機物にまで分解することが分かりました。


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汚水処理整備の遅れている地域の状況
汚水処理整備率は人口規模が小さくなるほど低くなっています。このような地域では、生活者が少ないことから生活排水の負荷量が小さいことと河川の自浄作用により大きな問題にはなっていないと思われますが、汚水処理のさらなる整備が望まれます。


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 4)環境中での存在状態の調査(モニタリング)
PRTR法
人の健康や生態系に有害なおそれがある化学物質について、事業者による自主的な管理活動を改善・強化し、環境汚染を未然に防止することとして、1999年法律公布、2001年PRTR制度が施行されました。


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PRTR物質の選定基準と界面活性剤
毒性レベル、製造・輸入量、環境中からの検出から選定基準を定め、第1種指定化学物質として354物質が指定されました。家庭用洗剤に配合している4種の界面活性剤が含まれています。


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モニタリング調査の概要
日本石鹸洗剤工業会ではこれら界面活性剤について、河川の定点での濃度調査(モニタリング)を行っています。


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4種の界面活性剤モニタリング結果
モニタリングは1998年から実施しています。河川水中に存在する極微量の界面活性剤を検出するために、高感度分析技術を用いています。測定された界面活性剤濃度と、水系生態系での最大許容濃度を比較して、リスクを判定していきます。


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 5)生態リスクの評価
水系生態系の構成因子
水系生態系への影響を評価するために、食物連鎖を考慮に入れ水系生態系を構成している生産者、捕食者、高次捕食者及び分解者を用いた毒性試験を実施します。


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代表的な水生生物毒性試験
上記試験には特定の供試生物種を用い、増殖の阻害、遊泳行動への影響、死亡の確認等をエンドポイントとして試験を行ないます。最も強く毒性が出た結果を基に無影響濃度を求め、生態系への影響を評価します。


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多様な水生生物毒性データの解析例
単一の供試生物種類にのみ着目するのではなく、多様な生物種の毒性データを解析して、界面活性剤の生態系への最大許容濃度を推定するより現実に近い方法も取り入れはじめています。


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界面活性剤の生態リスク評価
先のモニタリングによる調査結果から得られた、各種界面活性剤の環境濃度の最大値は、最大許容濃度(無影響濃度)よりも低いことから、調査対象水域の生態リスクは小さいと考えられます。


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