化学製品PL相談センターの活動
[2023年度活動報告]と講演より
2024年7月5日に東京で開かれた報告会の一部をお伝えします。
PL相談センターは製造物責任法(PL法)の制定に伴い、1995年に設立されました。中立的な第三者機関の立場から、化学製品とPL法に関する相談に電話で対応しています。日本石鹸洗剤工業会はサポーティングスタッフとして協力しています。
『化学製品PL相談センター 2023年度活動報告』より
化学製品PL相談センター センター長
菅沢 浩毅 さん
化学製品PL相談センターが受け付けた2023年度の相談数は221件でした(前年比94%:2022年度234件)。相談数はコロナ禍の432件(2020年度)から以前の水準に戻りました。相談内容別にみると一般相談が全体の65%を占め、相談者別では、消費者および消費生活センターを合わせた相談が90%にのぼっています。
講演 『日本中毒情報センターの事故情報から 中毒事故を予見する』より
公益財団法人日本中毒情報センター
理事 大阪中毒110番施設長
三瀬 雅史さん
私たちは多様な化学製品を利用することで豊かな生活を送っていますが、ひとたび誤使用や誤飲などの事故が起これば、急性中毒などの健康被害の恐れがあります。
日本中毒情報センターの事業の一つ『中毒110番相談電話(24時間365日対応)』では、化学物質に起因する事故にあわれた一般の方々や、急性中毒患者を診察する医療機関や医師などへの情報提供を行なっています。当センターには急性中毒に関する事故情報が集約されるため、それを医療機関、企業、行政と広く共有することで、日本の救急医療の向上、中毒事故防止に貢献してきました。
『中毒110番相談電話』の年間受信数は約2.5〜3万件、医療機関の協力で提供される急性中毒症例は累積約6万件に上ります。これらの事故情報をもとに、事故を未然に防ぐためのトキシコビジランス※や、啓発・教育事業も展開しています。
今回はトキシコビジランスの一環で、とくに受信件数が多い事故状況の解析を紹介します。急性中毒事故の約9割は住居内で発生しています。発生時間帯は17時〜20時付近が多く、患者の7割が5歳以下の子どもで、起因物質の約5割が家庭用品によるものです。事故状況から類似の事故がおこりうる製品を想像し、中毒事故の予見と事故防止対策に活かしていただきたいと考えています。
*次の枠内は、講演で紹介された事例から、ごく一部を抜粋しています
◇日常的に起こっている事故〜「塩素系漂白剤」の例より
1)実際にどのような事故が起こっているのかを把握する
2023年の塩素系漂白剤に関する問い合わせは730件(たばこの1584件の次に多い)。2019〜2023年の5年間では計4582件あった。患者は20歳以上が6割5分で大人の事故が多い傾向。漂白中のコップや水筒からの誤飲が6割近くあり最多、置き場所はシンクの上・カウンターが約7割だった。
2)他の製品で起こりうる類似事故を予見する
飲食物容器つけおき時の誤飲については、類似事故が起こりうる製品群に漂白剤・ポット洗浄剤・義歯洗浄剤などがある。
3)リスクに応じた対策を講ずる
事故防止対策:漂白中、洗浄中であることを明確にする。
✔食器はシンクの中に置く
✔他の食器と一緒に置かない
✔用法のつけ置き時間をまもる
✔長時間放置する場合は、貼り紙をするなど工夫する
ほかにもさまざまな事故状況がありますが、中毒事故防止の取り組みでは上記の3ステップが大切となります。さらに、化学製品に関わる企業との事故情報の共有も重要です。企業の方々には、日本中毒情報センターの書籍や賛助会員制度を活用いただいて、自社製品の正しい使用方法などの発信を、継続的にお願いできればと思います。
化学製品PL相談センターのホームページhttps://www.nikkakyo.org/plcenter
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