|
当工業会がサポーティングスタッフを務める
化学製品PL相談センターの活動
「2019年度活動報告書」より
PL相談センターは製造物責任法(PL法)の制定に伴い1995年に設立されました。中立的な第三者機関の立場で、消費者などからの化学製品に関する質問や、PL法に関連する事故の相談に電話で応じています。
登坂 正樹 さん 「2019度活動報告」より
一般社団法人日本化学工業協会 内
化学製品PL相談センター 部長
2019年度は消費者からの一般相談が大幅に増加
2019年度の全相談件数は273件で、前年度より約17%増加しました。全体の約9割が消費者や消費者団体、消費生活センター経由の相談です。内容は、化学製品の安全性などに関する一般相談が150件と半数以上を占めていて、前年比137%と大幅に増加しました。ほかに、拡大被害を伴う事故に関連した相談が83件、品質に関連した相談が31件、クレームや意見、事故の報告などが9件ありました。
月別の相談件数をみると、2020年2月以降に急激に増加し、増加傾向は現在も続いています。これは新型コロナウイルス感染症が流行した影響と推察され、一般相談が増えた理由についても、消毒用アルコールの不足も手伝って除菌剤に関連した問い合わせが集中したこと、社会不安が全体的な相談数を押し上げたこと、この2つが考えられます。
一般相談の内容にみる「正しい情報を選べない」難しさ
一般相談の個々の内容については、化学製品や化学物質の安全性について過敏になり、過度な心配が相談につながったケースが多く見受けられました。インターネットの普及で情報収集が容易になった反面、情報過多となり、正しい情報を選べない状況になっていると推察されます。
多種多様な製品について相談が寄せられている
商品群別の相談件数をみると、対象は多種多様で、特定の商品に偏ってはいません。そのうえで、2019年度の一般相談に関しては家具、生活用品、殺虫剤などの製品で件数が増加し、過去2年続けて相談数の多かったプラスチック製品については数件に落ち着いています。当センターはそれぞれの相談に対し、情報提供やアドバイスを行ないました。
なお、前述のとおり、除菌剤に関する相談も目立ちましたが、幸い除菌剤に関連した事故クレームはほとんど無く、多くは使用や購入に際しての問い合わせでした。
しかし、製品によって紛らわしい表示や表現があったことや、消費者も表示内容をよく確認せずに、自分に都合の良いように解釈してしまう傾向があることは否めないように思います。非常事態下では、さらなる混乱を招かないための適切な情報提供が必要であり、企業の消費者対応のあり方についても改めて考えさせられる機会となりました。
東京工業大学 特任教授 中村 昌允 さん
化学製品PL相談センター2019年度活動報告書『巻頭言「コロナ後の世界」』より (※編集部で抜粋し変更を加えました)
今回のコロナ騒ぎで、人々は、在宅勤務、テレワーク、テレビ会議などの新しい勤務形態を余儀なくされ、今までとはまったく違う日常を経験しました。その意味では、新しい視点に立って、これまで当然と思っていた行動や考え方を見直す機会にもなりました。日本社会は、この経験を今後の医療体制の構築等にどのように活かしていくかが問われています。企業活動も、新たな商品開発の在り方を見出す機会を迎えています。
製造物責任(Product Liability)との関係で考えれば、「どこまでのリスクならば許容できるか」を考える契機になることを期待します。利用者がどこまでも安全を求めることは、最終的にはそのコストを利用者が負担することを覚悟する必要があります。例えば、コロナ騒ぎで、色々なマスクが出回りましたが、人々は多少の不自由さがあっても我慢して使いこなしました。このことは、安全な製品を作る責任は第一義的には製造事業者にあるけれど、利用する側にも製品をうまく使う責任があることを示しています。さらに言えば、製造業者と利用者との新しい協調関係を生み出すきっかけになればと感じています。
|