合成洗剤反対運動を支援する自治体に公開質問状を送付
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日本石鹸洗剤工業会(会長・藤重貞慶 ライオン株式会社 社長)は、科学的な根拠なく、いまだに合成洗剤反対運動支援を続ける4自治体に対し、公開質問状を2006年11月27日に送付いたしました。 |
1980年代に、各地の地方自治体で相次いで「合成洗剤対策」や「石鹸推進」の条例・要綱・要領が制定されました。その多くが、合成洗剤は石鹸に比べて環境に良くないものと位置づけ、石鹸の使用推進を住民に求めました。現在はすでに、合成洗剤が改良されたこと、学術的調査が進み環境、人体安全性のいずれも問題がないことが科学的に検証されています。しかし、現在でも自治体が当時の認識のまま、要綱などの改正・廃止をせずにそのまま放置されているケースがあり、結果的に合成洗剤の反対運動支援につながっていることが、2005年9月に当工業会が行った自治体アンケート調査で明らかになりました。
当工業会では、調査結果を2005年11月に公表し、合成洗剤を否定し石鹸使用を推進している内容、制定時から見直しなく継続し形骸化している要綱などについては、当工業会長名で当該20自治体首長宛に現状の説明を申し上げ、廃止要請をするなどしてまいりました。
廃止要請に対する自治体からの回答概要は、本年7月のメディア向けセミナーで公表したとおりです(内容は、日本石鹸洗剤工業会ホームページ"JSDAの活動"にてご覧いただけます)。10自治体からは改正済み、今後見直しを検討するなどの回答をいただきましたが、4自治体は見直し拒否の回答でした。その後の面談(我孫子市は面談も拒否)においても、現状にあった改正を進めるとの前向きな理解は得られませんでした。そこで、要綱等が合成洗剤に関する安全性の誤解を大きく助長すると考えられる4つの自治体に対しては、公開質問状という形で回答を求めるべく、書面を提出いたしました。
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公開質問状を提出した4自治体とその条例・要綱等の問題点
- 神奈川県:合成洗剤の使用は禁止していないが、文面からは石鹸推進と誤解される内容
- 京都府:趣旨はリン削減対策だが、原則石鹸使用を規定している
- 我孫子市:当初から石鹸推進を目的にしている。安全の意味を取り違えた回答。
- 藤沢市:当初から石鹸推進を目的にしている。市職員が石鹸推進協議会の構成員。
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【参考】合成洗剤を取り巻く社会状況
合成洗剤は、本格的に市場に導入された1960年代から、科学的な根拠に乏しい人体有害説が次々に現れました。国会でもとりあげられ、70年代に時の三木、福田、大平首相がそれぞれ学術検討結果をふまえ、有害性を否定する国の見解を答弁しています。さらに1983年に当時の厚生省が、国のトップクラスの公衆衛生学者5人に検証を依頼し、その結果を『洗剤の毒性とその評価』としてまとめ、「安全性に問題は認められない」と結論づけられました。一方、環境問題では、60年代の河川の発泡は、生分解性の良い界面活性剤の導入で、70年代初めに解決されました。さらに80年代には、富栄養化の原因が洗濯用洗剤に配合されたリン酸塩であるとされ、琵琶湖条例などが制定されましたが、無リン洗剤の開発・切り替えで、現代では問題は解決されています。
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