日本石鹸洗剤工業会(JSDA)
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2010年6月15日更新
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参照カテゴリ> #03.委員会 #02.CLEAN AGE 222号 

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「さらなる利益」の追求は知財部門の役割

知的財産専門委員会の活動

知的財産専門委員会 前委員長
日油株式会社 知的財産部主査
中 田  庸

2010年CLEAN AGE222号に掲載

■400回の歴史ある委員会で

photo  日本石鹸洗剤工業会の知的財産専門委員会では、ほぼ2年ごとにひとつのテーマを決め、論議検討を重ねてきました。最終的にその成果を会員各社に提供する資料にまとめて任期を終える形で、これまで活動を続けています。
 その歴史も古く、1969年「工業所有権研究会」の名称で当時の財務委員会所管の実務者会として発足して、1991年からは技術委員会に属する専門委員会となって現在に至っています。
 昨年には、委員会の開催記録が400回を突破するくらい、大変勉強熱心な方々が集っておられ、わたしが委員長をつとめた際にも、2007年から2009年までの2年間で、やはり20回くらいの回を重ねて任期を終えることができました。現在すでに、塩原委員長(ライオン株式会社)の元で新たな活動が始まっていますが、ここでは一区切りついた前委員会について、報告させていただきます。

■利益に直結する知財を

 前委員会の研究テーマは、「特許をさらに利益にするために」というものでした。それまでの知財委員会が取りあげてきたテーマが、技術的・専門的なものが多かったようなので、少し傾向を変えることにしたのですが、もちろんそれにも理由がありました。
 世界的に経済状況が厳しいなか、経営資源の有効な活用が求められていく傾向が強まり、間接部門のアウトソーシングも進められ、昨今では人事部などがなくなったという会社もあるくらいです。これほど間接部門の存在意義が問われている時代は、かつてありませんでした。知財部門においても同様で、その存在が会社の中で見えにくくなってしまいがちです。どちらかといえば、利益を担う事業部門のサポーター程度にしか認識されてこなかったのです。
 その役割が、利益に直結するものであることを明確に可視化できなければなりませんが、それがまた非常に困難なことなのです。そんなわけで、あえてこの課題に取り組もうとしたのです。

■特許による企業間連携の道

 もともと、工業所有権といわれていた時代は、制度もそれを使う側も、排他的な権利の確立とその囲い込みに、その意義と役割を見出していました。
 しかし、工業社会から高度情報社会への移行が加速するなかで、ひとつの会社がもつ特許だけを後生大事に抱え込んで、それで利益を生み出すという構図は、もはや成り立たなくなってきたのです。
 「特許を積極的にお金にしよう」という流れは、それを売り払ってでも…というところまでやってきています。独占排他的な権利を所有しているだけでは、投資に見合う利益に結びつかないことに、厳しい目が向けられるようになりつつあります。また、特許のオープン化といった議論もされていますが、日本では実はあまり進んでいません。そこで、企業間の連携で環境変化に対応し、互いの資産を補完し合いながら利益を求めようとする動きが盛んになってきました。
 従来の共同開発型の連携ではなく、注目されているのは、オープンイノベーションと呼ばれる特許権をベースにした企業間連携なのです。自分たちのもっているものだけでは間に合わないが、それを提供してほかのものを手に入れる。社外のものをうまく利用することによって、ほかの市場にも入っていける、ビジネス化が可能になる…。

■「さらなる利益」へ

photo それによって、従来の事業領域外でも、追加的な利益、すなわちさらなる利益を生み出すことができるのではないか。そして、その「さらなる利益」を追求できるのは、知財部門のほかにはありません。他者のもっている権利を客観的に評価できる能力がないと、できないことだからです。
 ちょうど、石炭と水という別々のものをくっつけて産業革命が発展してきたように、違うもの異なるもの同士を結合して新たな価値を生み出す、それが「イノベーション」の真の意味なのです。
 知財もそうした観点からの、知財活用の可能性をどこまで追求できるか、それをさまざまな角度から、多くの事例を集めて検討し、そこから学ぶものを引き出そうとしたわけです。
 2009年12月に完成した資料は、その努力の結晶です。知的財産を目に見える利益にするためには、従来の考え方から視点を少し変えてみることも大切で、これがそういった意味でお役に立つことを願っています。
 また、この委員会では、大きな会社も小さな会社もなく、知財という共通課題を通じて共に高めあっていくことを理想にしてやってきました。それは、工業会の活動全般にいえることでしょうが、それも意義深いことでした。 (談)


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