もっと削減へ…より厳しくなる要求にどう対処するか
容器・廃棄物に関する専門委員会の活動
容器・廃棄物専門委員会 委員長 山本 裕三
2009年CLEAN AGE217号に掲載

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当工業会の環境委員会で、具体的な活動の中心となっている専門委員会には、環境・安全専門委員会(215号で紹介)と、もうひとつ容器包装廃棄物に関する事項を所管している容器・廃棄物専門委員会があります。
この活動の始まりは、容器包装リサイクル法(容リ法)が本格施行された1997(平成9)年以前に遡ることができます。実は、当工業会の容器・廃棄物削減の取組みが、環境省や他業界からも業界の容リ法対応の先進事例として注目されてきたのです。
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95年から削減努力を進めてきた |
ごみ問題が社会的にも大きくクローズアップされ、その矛先がまず過剰包装などに向いていったのは、自然な成り行きだったといえます。なにしろ、ごみの6割は容器包装だというので、これには非常に風当たりが強かったのです。しかし、リサイクルが比較的容易な紙容器や紙包装はまだしも、プラスチック容器となると、その処理が大きな問題となることは必然、という過去の事情もありました。
ところで、液体や粘り気のある内容物も多い石鹸洗剤関連の製品では、プラスチック容器は欠かせないものです。われわれの先輩達は、その問題に自ら意欲的に取り組もうと、1995(平成7)年からごみとして排出されるプラスチック容器を減らそうという目標を掲げ、その実態把握からこの課題に挑戦を始めていたのです。
業界として容器廃棄物を減らさなければならないが、そのためにはまず実態を把握しなければなりません。ところが、出荷量などは企業にとっては社外マル秘情報ですから、それを出すということは大変なことだったでしょう。
現在、業界として各社の容器・廃棄物のデータがここまで揃っていて、しかも実際に削減の成果を示すことができているのは、JSDAしかないだろうといわれていて、環境省などでも容リ法の話になると、当工業会の数字や例が引き合いに出されることも、少なくありません。
それは、容リ法という法律の制定に先んじて、先見の明をもって自主的な対応を始めた先輩達の努力のおかげであり、今もこの専門委員会ではそれを受け継いで、2000年から現在の形にして継続的に努力を続けているところです。
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自主行動基準を掲げて削減に努める |
容器・廃棄物を削減するために、これまでとられてきた手法としては、容器を減らすには中身を濃縮して容器をコンパクトにすることであり、それによって容器の重量を減らそうということがありました。そして、本体容器やパーツをリユースできる詰替えとか付替えという商品の開発と普及がありました。さらには、薄肉化などを進めて容器自体をできるだけ軽くするといったこともあります。そういった手法で、トータルの容器の排出量を減らそうと考え、実践してきたわけです。そのためには、一企業だけの努力ではだめですし、包材メーカーなどの協力がなければなりません。
2006(平成18)年には、経団連の呼びかけもありましたが、われわれも自主行動計画というものを策定しました。具体的な数値目標を掲げて、容器の排出量を抑制しようということを開始したのです。(最下欄参照)。
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「削減事例集」の作成公表 |
最近では、昨年末からJSDAのホームページで、「プラスチック容器包装材料の削減事例集」をまとめて公表しています。今回は30件ほどの事例を集めましたが、まだまだ掘り起こせばたくさんあるはずです。これまで削減数値を追いかけてきて、そして全体で減らしてきているのは事実だけれども、具体的に各社がどんな努力と工夫をしてきたのか、という事例を集めたのです。それを公表することで、会員企業のみならず広く削減のヒントにしていただける。その意義は、大きいだろうと思います。
削減技法の参考としても必要ですし、“われわれは既にこんな努力を重ねて容器・廃棄物を減らしてきました”と、広く世の中にアピールしたいという思いもあります。
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「もっと減らす、総量で減らす」へ |
というのも、今後に予定されている容リ法の見直しでは、企業の製造者責任がより明確に問われることになる可能性もあります。排出データの把握はもちろんのこと、これからの課題はより減らすこと、総量を減らすことに議論が移ってくると思います。
究極の容器廃棄物削減は、「量り売り」だともいわれていますが…。 企業も、容器包装の削減努力を、より明確に示していかないと、企業の社会的責任を全うできないし、結果として費用負担が増えることになるのではないか。厳しくなる要求に、どう対処していくかも今後の課題です。
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製品内容量当たりの容器包装プラスチック使用量(原単位)の削減実績
◆2007年は95年比で31.8%減だが……◆
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日本石鹸洗剤工業会では、1995年から容器包装プラスチックの使用量に関して業界全体での実態把握を行なうとともに、会員各社において使用量削減に努力してきました。2006年6月には、当業界の主要8製品群について、製品内容量当たりの容器包装プラスチック使用量(原単位)を、2010年までに1995年比で30%削減することを目標とする自主行動計画を公表しました。(主要8製品群とは (1)ボディ用洗浄剤(2)手洗い用洗浄剤 (3)シャンプー・リンス(4)洗濯用液体洗剤(5)柔軟仕上げ剤(6)台所用洗剤(7)住居用洗剤(8)漂白剤・かびとり剤)
2007年における対象製品群のプラスチック使用量は、63.7千トンで、製品出荷の伸びにより、前年よりも5.6%増加しましたが、1995年との比較では、11.7%減を達成しています。
また、当業界の自主行動計画の目標基準である「製品内容量当たりの容器包装プラスチック使用量(原単位)」で見ると、2007年は、58kg/トンで、前年とほぼ同じ。1995年比で31.8%減を達成しています(図)。
こうした結果は、内容物の濃縮化による「コンパクト化」や、シャンプー・リンスなどの「詰め替え用製品」および、スプレー付製品での「付け替え用製品」などの伸びにより、製品内容量当たりのプラスチック使用量が大きく削減されたことによるものです。
ただ、品目別に見るとまだ目標に達していないものもあり、引き続き2010年時点での自主基準の完全達成を目指しています。
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