日本石鹸洗剤工業会(JSDA)
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2008年9月16日更新
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参照カテゴリ> #03.委員会 #02.安全 #02.CLEAN AGE 215号 


環境委員会
 
環境・安全専門委員会
 
 ・2013年の活動
 ・2008年の活動
 ・2002年発足時

 

化学物質管理の世界的潮流に呼応しつつ努力

環境・安全に関する学術専門委員会の活動

環境・安全専門委員会 委員長
大 寺 基 靖

2008年CLEAN AGE215号に掲載

2002(平成14)年に発足した環境・安全専門委員会は、日本石鹸洗剤工業会の組織上は、環境委員会に属しており、そのときどきの課題にも取り組みながら、一貫して環境と安全にかかわる事項の調査研究や啓発活動を行なってきました。

世界的な潮流が加速するなかで

 活動の重点は、これまでの実績をふまえつつ、どこでもいつでも安全に安心して使っていただける、環境に配慮した製品を提供していくためのサポートを、業界として続けていくことにあります。そうした基本は変わらないものの、環境と安全の分野で近年とくに注目すべきは、世界的な潮流がますます加速してきていることです。
 それは、たとえばハザードからリスクへということもそうですが、化学物質の管理に関する考え方が、大きく変わってきていることです。ヨーロッパのREACHに代表されるように、どんどん規制が強化されていく傾向も示しており、GHSもまたそういった世界的な大きな化学物質管理の流れのなかで、表舞台に登場してきた課題のひとつといえます。
 こういった非常に重要な時期に、環境・安全専門委員会としては、ますます科学的で客観的な事実を整理し掘り下げていくことが重要になってくる、と思っています。また、製品を取り巻く技術も常に進歩していきますから、それに対応して常に安心・安全の基盤をつくることが必要です。

化学物質管理のあり方を考える第一歩

 GHSについては、専門のワーキンググループで検討しています。PRTRについては、これからどう見直しに対応していくかも重要です。指定物質の見直しが決まるのは秋以降になるでしょうが、いずれにしても化学物質がどれくらいつくられてどれくらい排出されているかを把握することは、適正に管理していくための重要な基礎的な情報になります。
 世の中には、“PRTRに指定されている物質は悪いものだ”、という誤解が相変わらず消えていないようです。そうではなくて、この制度によって化学物質を適切に管理しながら、人々の生活のなかで有効に活用しようというもので、そのための努力は当然重要です。
 工業会としても、いっそうご理解をいただく努力を続けていかなくてはならないと考えています。
 いうまでもなく、健康影響も重要なのですが、人体への影響については慢性毒性や急性毒性など、体系的に毒性評価の捉え方が確立されているうえ、製品面からの安全性の確認と対策は、会員各社でほぼできており、現在ではまず問題になることがありません。
 そこで、自ずと環境面への問題が中心になりますが、工業会の活動として、既に10年を超えて継続している、界面活性剤の環境中濃度のモニタリング調査があります。専門委員会の歴史よりもはるかに古い活動を引き継いだものですが、これは世界に対してもユニークで誇れるものだといえます。

水質調査にも新たな視点から課題を

 これも定点だけの継続調査では、スポット的なぶれが出ることもあり得るので、それを統計的な手法やシュミレーションモデルを使いながら検証していくことも、かねてから研究しているところです。界面活性剤のモニタリング調査は、手間も費用もかかるので、ほかではあまりやっているところはないし、当然日本中で測るわけにいきません。
 しかし、一般的な水質基準であるBODは全国的に広く調査されており、界面活性剤と排出源が共通であることから、ある程度相関するはずです。ならばBOD と組み合わせることで、全国の水域の界面活性剤濃度を推定する方法はないかなど、定点観測の結果を有効に活用する課題にも挑戦したいものです。
 ただ、長年の調査の結果言えることは、LAS などは99%は下水処理で除去されているので、下水道普及率は90%を超えている首都圏では、もうかなりきれいになっています。多摩川にアユが戻ってきたというのも、もはやニュースにもならないようです。洗剤成分の環境影響は現実的にはない、といっていいでしょう。この状態を確認するためにも、モニタリングは継続していかなければなりません。
 環境影響を評価するためには、魚やミジンコや藻類といった水生生物への影響および河川など環境中の洗剤成分の存在と濃度を解析することが大切です。
 モニタリングにしても、表層水の単なる濃度だけでなくもう少し踏み込んでデータを整備して、生態リスクの考察を高度化しておくことも必要でしょう。それらも含めた啓発PR もあわせて考えながら、新しい視点からの検討も積極的に進めてまいります。

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