日本石鹸洗剤工業会(JSDA)
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2002年4月1日更新
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参照カテゴリ> #03.委員会 #02.CLEAN AGE 189号 


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変わる洗濯環境のなかで…

  • JSDA 洗たく科学専門委員会の活動についてご紹介します

    2002年CLEAN AGE189号に掲載


昨年、サンヨーの洗剤ゼロコース付き洗濯機の登場で、そのテストと結果発表を担当して、はからずもその存在がクローズアップされたのが、当工業会の「洗たく科学専門委員会」でした。その歴史は古く、1974年に洗剤の使用量の目安を決めたのが始まりで、以後長年コンスタントに地道に積み重ねてきた活動の結果でもあります。洗濯用の洗剤メーカーから、研究開発や技術部門の委員が集まり、実務的な課題を実地に検証してこなしていかなければならない、きわめて高い専門性が要求されるこの委員会の活動にスポットをあててみましょう。98年からその任にある鈴木哲委員長(花王株式会社)にお話をうががいました。



鈴木哲委員長

■変化する洗濯機と変わるお洗濯

全自動洗濯機の普及率が8割を超え、いまや8〜9キロも当たり前と大型化が進み、洗濯の実態もだんだん変わってきています。洗濯機の技術的な変化も著しいことなどを踏まえて、2000年には洗濯実態調査をおこないました。この調査の結果は学会でも発表され、技術資料としても注目されました。
それまで二槽式が主流の頃は、洗濯する人が洗濯の場面を自分で観察しながら、必要な洗濯条件を設定していたのですが、全自動洗濯機の普及で、時間にしろ適正な洗剤の量にしろすすぎ方にしろ、「洗濯は全部洗濯機がやる」ということになってしまったのです。
そんな洗濯行動とそれに伴う意識変化が、さらにいろんなところに影響を及ぼしているような印象もあります。
洗剤だけを使えば洗濯が終了するわけではなく、汚れによっては漂白剤を使い、仕上げを考えたら柔軟剤や糊剤を使ったりしてほしい、というのが洗濯の基本です。今の全自動洗濯機の設計からいうと、そういうのは自由に使う側が選んで使えるという状況ではなくなってきているのも実情です。
しかし、一方で洗濯をよく知っている人や、自分の洗濯のしかたにこだわりのがある人は、まだ二槽式をという人もあります。全自動の場合は洗濯機が主役になって、洗濯する人の思いが反映しにくいというのです。洗濯機を使って洗濯する人が、自分で考えて洗濯するということが少なくなってきている現在、それだけに洗濯機を設計する人は、そういう洗濯する人の気持ち、思いをよく考えて設計しないとミスマッチが起きてしまうということでしょう。



■電機工業会さんとの交流も重視

洗濯機メーカーも加盟している日本電機工業会さんとは、委員会発足の当初から長年にわたり常に情報交換の機会を設け、お互いに忌憚のない意見を交わしあっています。洗濯機と洗剤の進化のために切磋琢磨し、よりよい洗濯環境を消費者に提供することをめざすという共通する目的のために、洗濯機で達成する部分と洗剤で達成する部分とがあると考えています。洗剤メーカーの立場から、配慮して欲しい点も要望し、働きかけをしているのですが、なかなか技術が追いついていかないところもあるようです。
洗剤のスプーンと使用量の絵表示問題のように、まだ決着のついていない課題もありますが、電機工業会さんとの交流はお互いに有益で、今後も重視していかなければなりません。



■洗剤ゼロコース付き洗濯機への疑問

最近のトピックは、なんといっても「洗剤ゼロコース付き洗濯機」の使用テストをおこなったことです。まず、発表された2001年6月末のホームページに掲載された情報を見たところで、「本当に洗剤の役割を洗濯機が代替できているのか?」という疑問があったのです。
というのはゼロコースで洗える対象衣料として、一日着た肌着だとか室内で着たようなシャツ類も洗える、と書かれていました。こういった衣料には必ず身体からでる皮脂の汚れが付いてくるわけで、そういう汚れを落とすにはやはり界面活性剤の力がないときれいに落ちないはずです。水に溶けない汚れですから、まず水に馴染ませて洗濯液の中に汚れを移行させないといけないのです。ところが、移行させて安定化させる機能がどこにもうかがえないのです。それを機械的にむりやり引きはがしたとしても、するとまたそれがどこかに再付着するおそれがあります。
食べ物のシミの汚れだとか肌着がきれいになったのは、ニンヒドリン反応で確認したというのですが、これは汗の中のアミノ酸を発色させる試薬で検査し、発色しなくなったので汚れが落ちたという表現だった。 しかし、アミノ酸というのは水溶性ですから、皮脂が落ちなくてもアミノ酸が落ちていればニンヒドリン反応には表われないのです。そこで、委員会でも評価をしてみようということになりました。普通、汚れは目に見えないから汚れていないということではなく、皮脂は通常は色を持っていないので見えないだけです。そこで正しく評価するために、長い時間着用と洗濯を繰り返してテストしました。
ほかに懸念されていたのが、洗濯の時間が結構長いので素材が傷みやすいのではないかということです。それと、水を電気分解してその電解水で洗うという点です。電気分解により陰極で活性酸素、陽極で電解次亜塩素酸をつくるのですが、これらの成分はどちらも漂白剤の成分です。つまり、色落ちが心配されたわけです。テストの結果は前号の「クリーンエイジ」でも紹介しましたし、その後「暮しの手帖」や国民生活センターでも、試験結果がでています。このように、基本的には、洗濯の専門家から見て懸念されるところは、残念ながら当たっていたという結果になっています。
われわれ化学屋が機械に疎いのと同じで、電機屋さんからすると化学は得意ではないのでしょう。これまでも業界同士情報交換して、よりよい洗濯環境をめざしてきましたが、お互いに不得手なことを補い合うということがますます必要だといえます。


洗濯機の試験風景


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