[新専務理事に聞きました]
メンバーの高い専門性を活かす
楽団のような“つながり”を大切に
2024年5月就任
日本石鹸洗剤工業会
髙 岡 弘 光 専務理事
髙岡専務理事は、石鹸洗剤メーカーのご出身です。
これまで、どのような仕事に携わってこられたのでしょうか。
洗剤メーカーのライオン(株)で、製品開発を中心に幅広い経験をしてきました。入社直後は原料の製造プロセス開発の現場で、つなぎに安全靴・工具で仕事をし、その後の製品開発では研究者としてはもちろん、海外の取引先にプレゼンテーションする営業活動も担いました。加えて経営企画や研究管理、知的財産などですね。
なかでも洗剤の『NANOX』や『部屋干しトップ』、柔軟仕上げ剤『ソフランアロマリッチ』の新発売プロジェクトは面白い経験でした。組織横断的に全体を見て、横のつながりを考えながら仕事をする眼を培いました。
今春に退社され、5月に日本石鹸洗剤工業会の専務理事に就任されました。これまでのご経験との共通点はありますか。
洗剤づくりは原料油脂をアジアから調達しますし、日本だけで完結する、ということがありません。国内で研究を進めるときも、海外からの技術導入、安全性や環境への配慮、お客様とのコミュニケーション、国際的な原材料の動向把握に至るまで、多角的な視点が重要です。
当工業会の部会・委員会組織※もまさに同じだと感じます。会員企業それぞれの領域から専門性の非常に高いメンバーが集まっていて、企業の枠を超えて協働し、他業界や行政、国際団体との連携を視野に活動しています。私は事務局とともにその活動をサポートし、お客様の視点からも地球環境の視点からも、より信頼の得られる産業界にしていきたいと考えています。
石けん洗剤メーカーや原料メーカーなど、複数の企業で構成される工業会活動の意義を、どのように捉えていますか。
当工業会の使命は、業界製品を安全・安心に、安定的に提供し、世界中の方々に健康で衛生的な、前向きになれる生活環境を提供することです。とくにコロナ禍では、石けんやハンドソープなどを安定供給する責任が高まりました。消毒剤の不足が問題になった際は、日常生活における消毒や除菌方法の選択肢を増やすために、経済産業省の主導で既存製品の有効性評価が行なわれ、当工業会も協力しました。そうした法規制にも関わる行政との調整や情報発信は、個社よりも業界一丸となって取り組むほうが、より迅速に、客観性をもって対応できます。
また、持続可能な社会の実現に向けては、業界に共通する課題があります。新しい技術の登場、化学物質規制強化への対応といった場面で、当工業会がその活動意義を発揮する機会はますます増えてくると考えています。
編集専門委員会の活動についてはいかがでしょうか。
人々の暮らし方は時代時代で変わりますから、手洗い啓発などの必要なことは継続する一方で、10年先を考えたコミュニケーションのあり方なども検討を進め、先行的に提案をしていけたら楽しいですよね。
仕事を楽しむという姿勢を大切にされているのですね。
工業会活動はたとえるなら、楽団に似ていると思うんです。一人ひとりが楽器のプロフェッショナルですが、一緒に音楽を奏でるには、メンバー間のつながりが大切で、それがうまくできるとより楽しくなります。私自身、こことここがつながったらもっと面白くなるかなと、発想を広げて考える余裕を持っていたいと思っています。
最後に改めて、工業会活動の抱負をお聞かせください。
就任以来、工業会活動を担ってくださっている部会と委員会のメンバー、事務局のメンバーの専門性や当事者意識の高さを実感しています。私の役割として、委員会の相互の関係づくりを考えたり、後押しのための資源を用意したりすることを通じて、みなさんの日々の活躍が、より実効性の高いものとなるように取り組んでまいります。