
石鹸・洗剤といった生活必需品と、その原料の油脂製品の生産者団体として、幅広い関係先とのコミュニケーション推進活動と、社会貢献活動を展開しています。近年の活動について、伊藤 征慶 委員長(ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 ヘッド・オブ・コミュニケーション)にうかがいました。
■広報委員会の基本的な使命と活動体制
当工業会の活動は、3つの部会と各常設委員会、専門委員会によって支えられています。当工業会の基本方針にもとづき、安全・安心な製品を生活者へ提供する取り組みをはじめ、製品における環境配慮、子供たちへの手洗い啓発など、多岐にわたり展開されています。こうした活動や蓄積してきた知見を積極的に発信し、業界製品に関するあらゆる啓発を行なうことが、広報委員会の役割です。
広報委員会は現在11社で構成され、年3回の定例会議で情報を集約して一元化し、課題や重点テーマを明確にすることで、タイムリーな活動を実現できる体制を整えています。そして当委員会に属するコミュニケーション推進専門委員会が行政や各種団体、教育現場などとの直接的な対話を、同じく編集専門委員会が季刊広報紙「クリーンエイジ」およびホームページを通じた情報発信を、それぞれ分担してすすめています。
■洗剤の安全性はたゆみなく伝えていく
当工業会がたゆみなく伝えていくべき重点テーマに、洗剤の安全性があります。合成洗剤が誕生して60有余年、業界は諸課題をいち早い対応と技術革新で解決し、今ではより環境に配慮した少ない量で使える洗剤が一般的になりました。環境委員会と環境・安全専門委員会が、国内河川で界面活性剤濃度をモニタリング調査するなどの科学的な方法で、製品の安全性の確度を高める努力もしっかりと続けています。近年は、培ってきた技術や知見を海外へ発信し役立ててもらう国際活動もすすめていますので、こうした変遷や科学的な根拠を示しながら、洗剤の安全性をわかりやすく伝えることが大切だと考えています。
■次世代を担う子供たちへの啓発に注力
近年、もうひとつの重点テーマとして注力してきたのが、次世代を担う子供たちへの啓発です。「手を洗おう、きれいな手! ポスターコンクール」は、園児や小学生を対象に、ポスター原画の公募を通じて手洗い習慣の大切さを知ってもらおうと、1987年から続くクリーンキャンペーンの一環として2009年から始めました。毎回多数の応募があり、WEBサイト上で行なう一般投票も審査に加えることで、ほかの世代にも手洗いの輪を広げています。また、コミュニケーション推進専門委員会が応募校で手洗い教室を開いたり、子供たちを指導する学校の先生や大人を対象にした各種の講座も、会員社の協力を得ながら実施しています。
■常に伝わりやすさを大切に
各方面でご活用いただける資料として、「暮らしの中の石けん・洗剤」の改訂や広報紙などの発行も行なっています。「クリーンエイジ」およびホームページに掲載した記事を、教育現場や各種団体で活用していただいています。「クリーンエイジ」読者アンケートの結果では、「お洗たくの科学」の連載記事が特に好評だったのですが、主に教育現場から「図などを使った、説明に使いやすいものも欲しい」というご意見もいただきました。そこで編集専門委員会では、中学校家庭科の授業にも使える「暮らしのクリーンノート」を新連載することにしました。身近な汚れや洗剤について知っていただく新たな機会になれば幸いです。
■広報活動の傾向とこれから
これらの活動に加え、超高齢社会や新しいライフスタイルの台頭などを背景に、個々の生活者に向けた細やかでスピーディーな広報の重要性も増しています。
最近の事例では、部屋干しの増加とともにニーズが高まってきた香り付き柔軟仕上げ剤に関する啓発記事があります。香りの好みや強さの感じ方は人それぞれに異なるため、周囲に配慮し適正に使用することをお願いしています。ほかにも、高齢者の誤飲・誤食を防ぐために、洗剤や漂白剤の保管方法などに注意を喚起する記事を広報紙に掲載しました。
今後とも、生活者の視点から広報の施策を検討し、積極的かつタイムリーな情報発信を心がけていきます。また、工業会全体の広報を担う立場から、他の委員会とも密に連携し、活動を発展させていきたいと考えています。
|