
広報委員会は、会員会社のうち13社の委員で構成されています。活動の中心として、関連諸官庁団体・報道機関・消費者などからの問い合わせへの対応、季刊広報紙『クリーンエイジ』や『石けん・洗剤Q&A』など各種広報資料の編集作成と配布のほか、ホームページによる情報提供や、社会貢献活動として「クリーンキャンペーン」などを行なっています。
■製品の安全性など地道な啓発活動を継続
かつて60年代初頭から長く続いていた、いわゆる合成洗剤の安全性論争は、1983年に当時の厚生省の監修による研究チームの報告書『洗剤の毒性とその評価』によって、科学的に安全性が証明され、決着がつきました。しかし、それと前後してリンなどによる閉鎖性水域の富栄養化問題が起こり、当時の洗濯用粉末洗剤に含まれていたリンが問題視されたこともありました。そこで、1979年の琵琶湖富栄養化防止条例制定と前後して、業界は洗剤の無リン化を短期間に進め、社会的責任を果たしてきました。
こうした歴史のなかで、洗剤追放が発端ともいわれた日本の消費者運動の一部には、いまだに洗剤を悪者扱いする傾向が続いています。さらに最近では環境ホルモンや化学物質全般に対する関心の高まりとともに、単に洗剤を使わなければ環境によいという一方的な思い込みで、水や電気などの大切な資源の消費による環境への負荷という面を見落としてしまう傾向さえ、一部にはあります。科学的に正しい理解を広めるための、地道な努力が欠かせません。
広報委員会は環境保全委員会と連携して、報道機関や消費者団体への対応を行なっています。地方自治体や消費者センター等には、広報委員や部員が直接訪問・面談するなどして、洗剤など当工業会の製品や、その原材料の安全性と環境適合性について情報を提供して、理解を深めていただいています。今後も、単に洗剤不安への対応だけにとどまらず、積極的にこれらの有用性を啓発していくとともに、広く環境全般や化学物質全般を含めた啓発活動も、さらにいっそう強化していきます。
■各種広報ツールを通じ情報提供
1974年に創刊された広報紙『クリーンエイジ』は、簡潔でわかりやすい広報紙をめざして、工業会関連製品の基礎知識や使い方、製品に関わる安全・環境問題についての解説などを中心に編集され、会員会社をはじめ、関係団体、行政・報道機関、学校関係などに年4回、冊子とEメール配信で配布されています。
ホームページは、この『クリーンエイジ』のウェブ化と、広報資料のライブラリー化を目標に、当工業会が50周年を迎えた2000年10月にスタートしました。現在は、『クリーンエイジ』発行時の他に、クリーンキャンペーンの告知に合わせて、年6回程度、定期的に更新を行なっています。
広報委員会が係わって刊行している資料類も、各種あります。基礎知識から安全性、環境影響までを解説した『石けん・洗剤Q&A』は、1974年の初版以来、常に内容の見直し改訂を続け、最新版は2002年3月に印刷物として発行しました。一般消費者向けの資料としては『暮らしの中の石けん・洗剤』があり、これも数度ごとの改訂を経て、主に消費者センターや消費者グループの勉強会にも使われています。
関連する法律や施行規則の整備・改正などに対応した『石けん・洗剤類の関連法令・法規』は、当業界のベーシックなガイドブックです。そのほかには、リーフレット『洗剤の安全性・環境適合性』、『家庭用製品一覧表』などとともに、ホームページからの無料ダウンロードも可能です。

■将来に夢を託すクリーンキャンペーン
当工業界の社会貢献活動である、「クリーンキャンペーン」も広報委員会の担当です。これは、暮らしの中の「清潔」と「清潔への心くばり」を見つめ直し、美しい社会と環境を次の世代に引き継ぐため、「きれいな日本。きれいな心。」をキャッチフレーズに、1987年から実施されています。毎年5月30日のゴミゼロの日から6月30日までの1か月を「クリーン月間」とし、環境省が主唱する「環境月間」と「ごみ減量・リサイクル推進週間」の行事に協賛しています。かつては、大相撲の「クリーンキャンペーン杯」授与をはじめ多彩な事業も展開していましたが、近年は次世代への啓発PRを重視しています。
1996年からは、それまで成人の団体も表彰対象としていた「環境美化功労賞」を、小学生の美化活動に限定した「地球ピカピカ大賞」にリニューアルして、将来に夢を託す運動にしました。また、幼い頃から石けんで手を洗うことを通じて、清潔の大切さを習慣づけてもらおうと、手洗い場に貼るステッカーを毎年全国の小学校約23,000校に配布しています。この「手洗いステッカー」の図案も、2002年版からは小学生や園児から公募し、最優秀作品のデザインを採用しています。
このクリーンキャンペーンの一環でもある「クリーン調査」は、清潔を題材としたアンケート調査です。「入浴行動」「洗濯と掃除」「洗髪行動」の各テーマについては、定点観測調査としてそれぞれ3年ごとに300人調査を実施し、時代とともに移りゆく一般消費者の意識と行動を映し出してきました。古くは女子高生の"朝シャン"をいちはやくとらえ、近くは"若手男性サラリーマンにもヘアカラー普及"をはっきりととらえ、マスコミにも話題を提供しました。
関連の部会委員会との連携を強めつつ、これからも消費者の満足とともに歩んでいきたい、お茶の間の目線でわかりやすく情報提供を続けていきたい、それが広報委員会の願いです。

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