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2012年9月15日更新
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参照カテゴリ> #部会 #05.CA231 

*油脂製品部会 海外調査団 2012

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●海外調査団2012
●海外調査団2010

中国オレオケミカル産業の現状と今後の動向調査

〜第8回・油脂製品部会 海外調査団の報告〜

2012年CLEAN AGE231号に掲載
油脂製品部会の活動についてはこちら-

<はじめに

 油脂製品部会では、オレオケミカル産業の動向調査と若手育成を目的として、2年ごとに会員社からメンバーを募り、海外調査団を結成しています。8回目の実施となったこのたび、富澤信宜団長(新日本理化株式会社)率いる6名が、5月20日〜26日の日程で中国を訪れました。

 中国への調査団派遣は2004年以来2度目です。近年さらに経済成長を遂げた中国では、オレオケミカル産業においても外資の進出が目立ちます。前回調査時は中国系企業による事業展開が主でしたが、外資によるプランテーション(油脂)以降の川下化(脂肪酸とグリセリン、その誘導体や消費財への展開)が一層すすんでいることから、今回改めて調査を実施しました。
 各調査結果の概要を以下にまとめました。

調査テーマ:
中国におけるオレオケミカル産業の動向
○プランテーション以降の川下化の状況
○グリセリン用途開発(グリセリン誘導体)
○石鹸・洗剤市場の実態

訪問先企業:
1:Taiko(江蘇省・張家港)
  調査ポイント:川下展開(脂肪酸、グリセリン)
2:Wilmar(江蘇省・連雲港)
  調査ポイント:川下展開(脂肪酸、グリセリン、各誘導体)
3:Yangnong(江蘇省・揚州)
  調査ポイント:グリセリン誘導体(グリセリン法ECH)
4:Rhodia(江蘇省・張家港)
  調査ポイント:脂肪酸誘導体(界面活性剤、アミン)
5:Henan(河南省・鄭州)
  調査ポイント:脂肪酸誘導体(食品乳化剤)、消費財

1:Taiko Plam-Oleo (Zhangjiagang) Co.,Ltd.  
(泰柯棕化(張家港)有限公司)

 Taikoは、マレーシア資本のKLKグループの一員です。プランテーション総面積は約25万haと大規模で、原料から製品まで全てが、持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)に対応可能との強みもあります。
 中国にある2拠点のうち、Taikoではパーム油を主原料に、脂肪酸、グリセリン、ソープヌードルの生産が可能です。脂肪酸は、C8〜C18まで対応。グリセリンに関しては、品質と安全性の規範となるGMP対応の専用設備があります。品質管理においては、日本企業の方式も参考にしているようでした。
 現在の川下展開は脂肪酸とグリセリン中心ですが、敷地には約23万m2(東京ドーム5個相当)の遊休地を確保しており、新たな誘導体事業用地と推察できました。

2:Wilmar
(Yihai(LYG)Oleochemical / 益海(連雲港)油化工業有限公司)

 プランテーション大手Wilmarグループの母体は、シンガポールにあります。中国に4つの拠点を持ち、その1つが脂肪酸メーカーのYihai(LYG)Oleochemicalです。連雲港は経済特区であり日本や韓国にも近いことから、複数の関連企業を設立し、新たなファインケミカル事業に着手しています。
 既存事業には、大豆搾油、脂肪酸、グリセリン、ソープヌードルがあります。脂肪酸誘導体のアルコール製造はドイツ企業との合弁事業を進めているようです。原料パーム油は輸入に頼っておりますが、将来計画を進めていることを聞くことができました。
 面談では、関係会社の担当者からも話を聞く事ができました。新規事業のファインケミカルについては、脂肪酸、グリセリンと、電解事業の融合による製品化を軸としていて、これからは川下化への投資に注力していくと話していました。既に、連雲港に330ha(東京ドーム70個相当)の事業用地があり、第一段階のプラント建設は完了、自社技術のグリセリン法によるエピクロルヒドリン(ECH)のプラントが予定されているとのことです。ほかに、苛性ソーダや塩素製造などの計画もありました。
 中国の洗浄剤市場は、毎年10〜15%成長しており、粉末の需要が一定なのに対し、液体製品は需要が伸び好調だといいます。今後の事業展開においては、ホームケア関連の成長性に注目しているそうで、こと消費財に関しては、協業先としての日本企業の進出にも期待しているようでした。

3:Jiangsu Yangnong Chemical Group Co., Ltd.   
(江蘇揚農化工集団有限公司)

 中国最大の農薬メーカーであるYangnongは、2007年から、自社の電解事業で発生する塩素の消化を目的に、グリセリン法でのECH製造を開始しています。他国との合弁事業であるエポキシ樹脂の製造に使用しているとのことです。さらに、グリセリン法ECHの増設計画が進められていますが、現在は国内への販売が大半で、市況が落ち着いてきているため、稼動時期は見直すそうです。また2007年当初は、既存のプロピレン法ECHと比べて、新製法であるグリセリン法ECHでメリットが出せると考えていたそうですが、現在は厳しい状況との話を伺いました。
 なお、グリセリン法の原料グリセリンには、99%以上の純度が求められますがYangnongでは動・植物由来の区別はしていません。
 ECHは、Yangnongと前述のWilmarグループが中国で製造しているほか、Solvayグループが中国でも生産するとの情報を聞くことができました。

4:Rhodia Feixiang Specialty Chemicals, Co., Ltd.  
(蜀地亞飛翔精細化工有限公司)

 世界各国に拠点を持つSolvayグループの一員で、中国にある計17の傘下企業で推進している中心的事業の一翼を担っています。Rhodiaの敷地は100ha(東京ドーム21個相当)で、自社技術により界面活性剤やアミンの製造を行なっています。生産能力や稼働率は非開示ですが、中心的事業において中国は重要な製造拠点と位置づけられ、国内市場では衣料用柔軟剤向けなどで成長が見込めるようでした。新たに南部の珠海(Zhuhai)に拠点を建設中で、両性界面活性剤、4級アミン塩の製造が予定されています。主要品目はDMAPA(ジメチルアミノプロピルアミン)、MOPA(メトキシプロピルアミン)です。
 原料に関しては、脂肪酸とアルコールを東南アジアから購入し、牛脂はオーストラリア、ニュージーランド産とのこと。  また、オレイン酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸のタンクを所有していましたが、調達量は脂肪酸よりアルコールのほうが多いとのことです。
 Solvayグループの高い技術力をもとに、環境配慮型の界面活性剤などを開発する予定もあるとのこと。また、今後の原料調達のコストを考え、川上事業を手掛けるメーカーとのネットワーク構築が必要とも考えているようでした。

5:Henan Zhengtong Chemical Co., Ltd.
(河南正通化工有限公司)

 Henanは食品乳化剤(ショ糖エステルなど)の大手で、界面活性剤や、関連会社では消費財の製造も行なっています。工場は訪問できず、生産能力や稼働率についても非開示でした。注力する食品乳化剤事業の出荷先は、国内6割、海外4割で、国内消費は今後も増加が見込めるといいます。日本企業に対しOEM供給も行なっていて、日本のマーケットには期待しているようです。同時に、中国向け消費財の手本として、日本の技術や市場に強い関心があります。
 原料に関しては、各種脂肪酸とグリセリンは、インドネシア、マレーシアの植物系油脂由来とのことです。
 このほか、中国工業会としての立場から、中国化学工業における油脂原料及び製品の輸入量や、界面活性剤製品の生産・販売量などの情報提供がありました。

<市場調査>

 調査団は今回、上海でトイレタリー製品の店頭調査も実施しました。
 中国ローカル品は下段に陳列され、中・上段を日系や欧米系の製品が占めていました。また事前の情報では、液体の衣料用洗剤が伸びているとのことでしたが、ここでは粉のコンパクト洗剤(1kg程度)が目立ち、日本で多い超コンパクトタイプの液体洗剤なども見当たりませんでした。
 台所用洗剤に関してはローカルブランドが多いですが、そのほかのパーソナルケア品カテゴリーでは、外資系ブランドの品揃えが豊富です。一方で、外資系企業が中国で原料調達から行ない製造している製品も増えてきており、その価格はローカル品とさほど変わりませんでした。

<おわりに>

 Taiko、Wilmar、Solvayグループなど、外資大手は中国への投資拡大により、脂肪酸やグリセリン、各誘導体の製造拠点を増強しています。日本のメーカーの年間生産量を1ヶ月程度で生産できる規模には、後発の強みを感じました。 
 今回訪問した各社では、事業の川下展開を図りながら、それぞれの特徴を生かせる製品に集中した生産を行なっているとの印象を受けました。グリセリン誘導体に関しては、YangnongとWilmarに加えSolvay社が参入予定で、グリセリン法エピクロルヒドリン(ECH)の工業化の調査ができました。ただし、グリセリン法が既存のプロピレン法にとって替わるというよりも、あくまで市況をみながらの稼動と思われます。また、末端の消費財についてはまだノウハウが不足しており、構想段階に留まっているようです。それもあり、外資との合弁も含めて協業先を常に探している状況です。
 今後、日本としてはどのような技術供与を行なっていくのかが課題です。日本企業が、中国においてオレオケミカル事業に参画していくうえでは、技術的な戦略を再構築する必要があると実感しました。

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調査団メンバー:新日本理化株式会社 富澤信宜(団長)、川研ファインケミカル株式会社 鈴木 誠(副団長)、阪本薬品工業株式会社 中野和典、日油株式会社 早川 寛、ミヨシ油脂株式会社 森 冬樹、ライオン株式会社 大野真嗣
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