日本石鹸洗剤工業会(JSDA)
home JSDA概要 沿革 組織・会員 統計 資料・刊行物 リンク 総目次 English
JSDAの活動 安全と環境 石けん洗剤知識 役立つ情報 クリーンキャンペーン CLEAN AGE
2006年9月15日更新
01.*セミナー:もっと良く知ってほしい洗剤 *目次へ 
参照カテゴリ> #03.台所 

*台所用洗剤の役割と技術の変遷

洗浄力と手あれ防止を訴求してきた50年の変遷。ライフスタイルと環境意識があと押ししたコンパクト化。意外と知られていない台所用洗剤と食器洗浄機専用洗剤の違いとは。

洗たく科学専門委員会
宮前 喜隆

(2006/7/21開催)

←前へ 次へ→

1) 台所洗剤の開発の歴史
2) 台所用洗剤の技術の変遷
3) 食器洗い乾燥機専用洗剤

 1) 台所洗剤の開発の歴史
1-1.台所用洗剤(食器野菜専用洗剤)の登場
 1956年8月(昭和31年)に日本で初めての野菜、果物、食器洗い専用の台所用洗剤が発売されました。本年(2006年)はその時からちょうど50年目にあたります。
 当時、台所用洗剤は、回虫卵の保有率低下や野菜に付着した農薬洗浄などに効果を発揮し、国民生活の衛生水準の向上に大きく貢献し、日本食品衛生協会推奨商品第一号になりました。
1/23
↑1/23
1-2.台所用洗剤の使用が生活習慣になるまで
 台所用洗剤が日本で発売され生活習慣になったのは戦後です。戦前には、かまどの灰やみがき砂などを用いて食器を洗浄していました。
 しかし、戦後の日本の食習慣の変化と共に、食器や食品の洗浄方法も変わってきました。食料増産のための農薬使用に伴い食品の残留農薬を除去する必要性が生じたり肥料としてし尿を使用したために生じた回虫問題、食生活の欧米化による脂汚れの増加、食堂やレストランの普及による不特定多数の人との食器の共有など、食品や食生活の変化に伴い、食品衛生の向上の重要性が高まりました。
 このような生活の変化を背景に台所用洗剤を使用する習慣が根付いてきたのです。1956年(昭和31年)には、厚生省が各都道府県に野菜と食器は台所用洗剤で洗浄して食品衛生の向上を図るよう通達を出しています。
2/23
↑2/23
1-3.台所用洗剤の機能の変遷
 このグラフは台所用洗剤の機能の変遷と生産量の変化を示しています。
 1960年代は 衛生思想の普及に伴い台所用洗剤が大きく普及した時代です。当時の台所用洗剤には、食器の汚れ、野菜の農薬や寄生虫を除去できる高い洗浄力が求められていました。
 1970年〜80年代は 高い洗浄力に加えて、手肌へのやさしさを両立する機能が付与されました。
 1990年後半からは、少量で洗えるようにしたコンパクト化や、自動食器洗浄機用専用洗剤の開発など多機能化が進んでいます。
 近年では、野菜や果物を洗剤で洗うことに対するニーズは減少し、「食器の油汚れ」だけでなく「におい」「くすみ」などをしっかり落とす食器洗浄に特化した機能が強化されています。
 このように、時代と共に変化するニーズに対応し台所用洗剤は変化してきました。
3/23
↑3/23
▲上へ戻る
 2)台所用洗剤の技術の変遷
2-1.家庭用洗浄剤に使用される洗浄成分と汚れ除去メカニズム
 この図は、家庭用洗浄剤に使用される洗浄成分と汚れ除去機構を示します。
 主な洗浄成分には、界面活性剤、アルカリ剤、酸剤、キレート剤、漂白剤、溶剤、酵素、研磨剤などがあり、それぞれの作用機作で汚れを除去します。
 通常、家庭用の洗浄剤は、食器、お風呂、トイレ、衣類、などそれぞれの被洗物の素材や汚れに適した洗浄成分を組み合わせて使用しています。
4/23
↑4/23
2-2.台所用洗剤と衣料用洗剤
 台所用洗剤と衣料用洗剤を比較してみます。
 台所用洗剤が対象とする被洗物は、陶器、磁器、ガラスなどの硬質表面と野菜果物のような食品です。
 衣料用洗剤が対象とする主な被洗物は繊維であり、台所用洗剤とは異なっています。
 一方、汚れの種類は、どちらも、油、タンパク、炭水化物が主成分で、衣料用洗剤ではさらに泥や煤煙などを含みます。
 洗浄性能、安全性、環境安全性など洗浄剤に共通する品質に加え、台所用洗剤ではすすぎ性や泡立ち、泡の持続力、手肌マイルド性が加わることが特徴となります。
5/23
↑5/23
2-3.台所用洗剤の成分
 台所用洗剤が対象とする汚れは、油、タンパク質、デンプンが主となります。これらの汚れは洗浄成分では界面活性剤だけでなく、アルカリ剤、キレート剤、酵素などが得意とする汚れです。
 衣料用洗剤では前述した成分のほとんどを使用しているのに対して、台所用洗剤では界面活性剤と溶剤だけです。
 これはなぜなのでしょうか?
6/23
↑6/23
2-4.台所用洗剤(食器・食品用洗浄剤)に関する規制
 その理由は、食器食品用洗浄剤に関する規制として食品衛生法があるからです。
食品衛生法は1972年から台所用洗剤に適用されています。
 この法律では、野菜、果実を洗浄する洗剤は、pHは中性、酵素や漂白剤は含んではならないとされ、香料や着色料も食品衛生法で許可された物のみしか使用できません。
7/23
↑7/23
2-5.台所用洗剤の組成開発
 食器野菜用洗浄洗剤は、食品衛生法の基準から使用成分が限られており、生活者のニーズに対応する様々な機能は、限られた成分の組み合わせによって発現させなくてはなりません。
 この界面活性剤の組合せ技術が台所用洗剤のポイントです。
8/23
↑8/23
2-6.界面活性剤からみた台所用洗剤の移り変わり
 台所用洗剤の界面活性剤の組み合わせは大きく3つに分類できます。
 1960年代はLASやAESのようなアニオン界面活性剤を中心とした組成で主に洗浄力を訴求しました。
 1980年代にはアニオン界面活性剤と両性界面活性剤の組合せた洗剤が主流となり、洗浄力に加えて、手肌マイルド性を発現しました。
 1990年代になるとアニオン活性剤 両性活性剤に加えてノニオン界面活性剤を組み合わせた組成が主流となりました。
 少量で高い洗浄力を発揮するノニオン界面活性剤活用することでコンパクト化が可能となりました。
9/23
↑9/23
2-7.手肌マイルドタイプ台所用洗剤の技術 手あれの実態(〜1970年代)
 1960年から70年代はアニオン界面活性剤を主成分とした台所用洗剤が開発された時代です。当時の、主婦の手あれ実態調査によると、66%の主婦は問題なしという結果で、約34%の主婦に手あれの自覚症状がありました。
 また、当時の調査では手あれの経験がある人が51% 毎年秋から冬に手あれが繰り返される人が41%という報告もなされており手あれは台所洗剤の重要な課題のひとつとなっていました。
10/23
↑10/23
2-8.手あれに対する界面活性剤の組み合わせ効果
 手あれを抑制するための技術開発は精力的に進められ、界面活性剤の組み合わせによる手あれ抑制技術が開発されました。アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(AES)とアミンオキシド(AO)の組み合わせは洗浄力、起泡力を維持しながら手あれを抑制する有効な手段です。
 グラフはAESとAOの混合比率と手あれ性の関係を示していますが、AESにAOを混合することで、タンパク質の変性をほぼ未変性のレベルまで抑制できることがわかりました。すなわち、この組み合わせが手あれ抑制に非常に有効であることを示しています。
 この実験結果はほんの一例ですが、界面活性剤を組み合わせの工夫により洗浄力と手肌マイルド性を両立する技術が生まれ、この組み合わせは1980年代以降第2世代の台所用洗剤の主流となりました。
11/23
↑11/23
2-9.手肌マイルドタイプの発売後の手あれ苦情の推移
 このグラフは手肌マイルドタイプの台所用洗剤が発売前後の、マーケットシェアと手あれに関する苦情件数変化を示しています。
 手肌マイルドタイプ台所用洗剤のマーケットシェアは急速に拡大しました。この拡大と共に苦情件数は大幅に減少しました。
12/23
↑12/23
2-10.台所洗剤は中性とは限らない
 時代の変化と共に、野菜や果物を台所用洗剤で洗うというニーズは減少してきました。この変化に伴い、台所用洗剤も変化が生じました。
 食器専用の台所用洗剤の登場です。
 食器専用の台所用洗剤のpHでは、中性領域から少し外れた弱酸性や弱アルカリの製品が発売され、近年の消費者ニーズに対応した、より高い油脂洗浄力や、手肌マイルド性を高めています。もちろん安全面の問題はありません。
13/23
↑13/23
2-11.台所用洗剤のコンパクト化
 1995年以降にコンパクトタイプの台所用洗剤が急速に普及しました。使用量が従来品の半分となり、ボトルサイズも半分となりました。
 これら、容器のコンパクト化の効果や詰め替え品の普及により2004年にはプラスチック削減率は50%を越えました。
14/23
↑14/23
2-12.除菌
 近年の台所用洗剤には、除菌を訴求する製品が増えています。台所用のスポンジは湿っているため、多くのスポンジに一般細菌が存在し、一晩で100倍以上に増殖するとの報告もあります。
 生活者は、塩素系漂白剤や熱湯でスポンジを処理したり、日干しによって乾燥させるなどの衛生対策を行ってきました。これに対し、除菌効果のある台所用洗剤では、スポンジの使用後に台所洗剤をつけて放置するだけで、簡便に衛生的に保つことができます。台所用洗剤による新しい衛生習慣の提案です。
15/23
↑15/23
2-13.台所用洗剤の安全性
 1962年台所用洗剤の誤飲事件(いわゆる「庵島事件」)が発生しました。
 「お母さんが粉ミルクと間違えて調合した粉末台所用洗剤の溶液を、赤ちゃんが飲まないので、お父さんがためしに一口飲んだところ、2時間後に死亡した」という事件です。
 この事件の原因解明には様々な実験や検証が繰り返されましたが、結審では「動物実験や種々の海外の誤飲事例などから、合成洗剤が死亡の原因とは考えにくく、1967年6月15日に合成洗剤が死亡の原因であるとは認められない」と判定されています(同年7月6日判決確定)。
16/23
↑16/23
2-14.洗剤の毒性は?
 一度に食べたときの毒性の程度は、図のように、動物実験より求めたLD50(体重1kg当たりの半数致死量)で区分されます。洗剤は食塩やアルコールと同じ「実際上無毒性」という範疇です。また、洗剤有害性に対しては数多くの調査研究が行われ、有害説の根拠は否定されています。
17/23
↑17/23
 3)食器洗い乾燥機専用洗剤
3-1.食後の後片付けに関する意識調査
 食後の後片付けに関する主婦の意識調査の結果、1番嫌いな家事にはアイロンがけが、2番目には食器の後片付けがランキングされます。また、80%の主婦は食器の片付けにストレスを感じていることがわかりました。
18/23
↑18/23
3-2.食器洗い乾燥機の普及
 食器の後片付の軽減に対するニーズの高まりと共に食器洗い乾燥機の出荷は年々増加し、普及率も高まってきています。
19/23
↑19/23
3-3.食器洗い乾燥機の洗浄工程
 食器洗い乾燥機は、水流と温度そして洗剤の力で食器の汚れを落とします。スポンジの手洗いと異なり、直接こすることができません。そのため汚れを除去する物理的な力は弱いので、温度や洗剤で洗浄力を補います。
 一般的な洗浄工程では温度が60℃弱まで上昇します。脂汚れの成分となる、豚や牛の脂の融点が33℃〜48℃であることから、脂汚れを溶かしたり、洗剤に含まれる酵素を活発に働かせるのに適した温度です。その後、水すすぎ、加熱すすぎが行われた後、乾燥します。
20/23
↑20/23
3-4.食器洗い乾燥機専用洗剤と手洗い用洗剤との違い
 食器洗い乾燥機用洗剤と手洗い洗剤を比較すると主成分である界面活性剤の含有量が食器洗い乾燥機では5%未満であるのに対し手洗い用洗剤は30〜40%と大きく異なります。
 また、食器洗い乾燥機には界面活性剤以外の洗浄成分として、デンプン分解酵素やタンパク質分解酵素やアルカリ剤、漂白剤などを組み合わせ、様々な種類の汚れに対応できるよう設計されています。
 また使用性においても、手洗い用洗剤では泡の持続力が重視されるのに対し、食器洗い乾燥機では低泡性が求められます。これは起泡性が高いと水流ポンプに泡がかんでしまい強い水流が得られなくなったり、泡があふれてしまったりするからです。このように、食器洗い乾燥機用洗剤と手洗い洗剤は組成も機能もまったく異なっています。そのため手洗い用洗剤は一般的に自動食器洗浄機には適しません。
21/23
↑21/23
3-5.食器洗い乾燥器における洗剤の役割
 この写真は、使用後のご飯茶碗の洗浄前後の汚れの状態を示しています。わかりやすいように、デンプンと反応して青く染色するヨウ素液で染色しています。洗浄前にはお茶碗一面に付着していたデンプン汚れも、専用洗剤を使用すると界面活性剤や酵素の働きできちんと落とすことができます。一方、洗剤を使用しない場合には、お茶碗の広範囲にデンプン汚れが残る様子が観察されました。
22/23
↑22/23
3-6.食洗機使用時と手洗い時のコスト比較
 食器洗い乾燥機の経済性について説明します。このグラフは東京電力のHPに掲載された洗浄1回あたりのコストの比較を示しています。
 自動食器洗い機で6人分の食器を洗った場合、洗剤、電気、水道の費用を合わせて28.6円、手洗いの場合には洗剤、水道、ガスの費用で平均31.2円となっています。
 一般に食器洗い乾燥器は手洗いより経済的だと言われていますが、手洗いの場合には洗浄方法による差が大きく、水を出しっぱなしにしないなどの工夫によって経済的に洗浄をすることが可能です。また、食器の数が少ない場合には、手洗いのほうが効率的な場合もあり、手洗いと食器洗い乾燥機を上手に使い分けることが重要です。
23/23↑23/23
まとめ
  1. 台所用洗剤は50年間の歴史を通じ、食品衛生の向上に大きく貢献
  2. 「高い洗浄力」に加え「手肌マイルド性」「コンパクト化」など年々進歩
  3. 自動食器洗い機に適した専用洗剤の開発(高洗浄力、低発泡性、すすぎ性)
  4. 新機能の付与(食生活の変化に対応、スポンジ除菌、プラスチック容器の除臭)

←前へ 次へ→

▲上へ

HOMEJSDAの活動安全と環境誤飲誤用石けん洗剤知識役立つ情報クリーンキャンペーンCLEAN AGEこどものページJSDA概要沿革組織 会員統計資料 刊行物リンク総目次English

日本石鹸洗剤工業会 (JSDA)
〒103-0027 東京都中央区日本橋3-13-11 TEL 03-3271-4301 FAX 03-3281-1870
Copyright(c) Japan Soap and Detergent Association 2000-2010 All Rights Reserved.