■この10年間に固形は半減…
石鹸は、長い歴史をもつ商品の一つです。わが国にはじめて「しゃぼん」として伝わってきたのは、種子島に来航したポルトガル船によるといわれています。長い間一般の庶民にはなかなか縁がないという点では、いっしょに伝わってきた鉄砲と同じでした。
明治になると、石鹸製造が工業化して盛んに行なわれるようになり、たくさんのメーカーが誕生します。以来、さまざまな技術の向上とともに、品質も性能も向上しつつ、長い間快適な暮らしのために欠かせない日用品としての地位を占めてきました。
ところが、日本石鹸洗剤工業会の石鹸部会では、ここ何年か石鹸市場の活性化を図ろうという活動が、盛んに論議され行なわれてきました。というのも、固形石鹸の出荷ベースはこの10年の間に半減しているからです。固形石鹸が半減した理由は、ボディ用洗浄料など液体という形状の違うものや洗顔フォームなど別の新しい商品に置き換わっていったことが、最大の要因と考えられています。
かつては、「洗う」という作業に使われる石鹸は固形石鹸がすべてでした。しかし、時代の流れは固形から液体へ、大きく変化してきたのです。
石鹸部会に属する会員各社にも多少の個別事情の違いはありますが、いわゆるトイレタリーメーカーを志向してきた多くの企業が固形と液体の両方の商品を作っているので、「石鹸部会」という名称ではあるものの、いまや検討している内容は固形石鹸に限りません。たとえば、手を洗うものについていえば、石鹸だけをみても全体はわからず、ハンドソープとの両方をみていかないと、実情も把握できないという状況なのです。

■新しい価値を提案できる夢ある市場…
そんな背景のもと、石鹸部会で論議されてきた大きなテーマの一つは「固形石鹸ならではの役割を見直し、そのメリットを開発し、石鹸そのものとしての価値を上げていくこと」でした。
「石鹸」という伝統的イメージに古いといったマイナスイメージがあるとすれば、これをどう変えていくのか。石鹸のメリットを活かした新しい機能を開発して、魅力ある高付加価値石鹸を生み出そうではないか。PRの工夫で、石鹸のイメージアップで活性化を図ろう。消費者の論理や価値観とメーカーのそれとの間にあるギャップを埋めるため、生・配・販の連携を強化しよう……。
この一年、部会ではこういった論議が積み重ねられてきましたが、その基本となったものは、「石鹸は新しい価値を提案できる『夢のある』市場であると、前向きにとらえるべきだ」という各社の共通認識でした。
これまでは石鹸は作れば売れるという時代を経験してきただけに、市場が低迷するととかく悪い理由をいろいろみつけたがる、大量需要があったためメーカーサイドでの努力が足りなかったのではないという反省から、各社とも競争で良いものを作って、積極的にアピールしていこう、というのが一つの結論だったのです。
その結果も、ぼつぼつ出始めています。商品企画から石鹸のもっている味を活かした、ニーズを掘り起こしていく各社の企業努力のなかから、最近ではくすみ対応、透明洗顔タイプ、ニキビ対策、角質ケアなど、新しい機能を訴えた石鹸がヒットし注目を浴びています。

■ギフトも他業種に学んで…
わが国の油脂の総消費量は292万トンで、用途でいえばそのうちの8割が食用、原料でいえば8割が植物油脂です。非食用油脂の年間消費は40万トン。動物・植物は半々です(98年)。
もともとは油脂原料には、牛脂、豚脂、魚油の動物性のものが使われていましたが、これに’80年代後半頃からやし油、パーム油などの植物性油脂が加わり、その後はこれらの使用量が伸びています。
また、油脂も技術の進歩とともに多様化し、脂肪酸、誘導体などの分野もどんどん広がり、昔ながらの魚油で作った油脂そのものを販売していた時代からは大きく変貌し、従来の油脂化学という枠組みを拡大したオレオケミカルの時代に移っています。

■より魅力ある商品を…
実は、洗浄料のなかで液体が固形より多く使われているのは、世界的にみると日本だけのことです。それだけ各社が液体洗浄料の普及に努力した、ともいえるのですが、要は固形も液体も両方とも商品の魅力アップに切磋琢磨して、消費者にとってより魅力ある商品を作ることにつきるでしょう。
石鹸部会では、その可能性を追求するために、部会活動を単に儀礼的に終わらせず本音で話合っていこうとしています。もはや業界で拡販キャンペーンを張ろうという時代ではないので、こうした話し合いの結果、各社が努力して消費者には常に商品で理解していただくことを心がけていこうとしているのです。